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株式会社や合同会社の設立費用はどれくらいかかる?

会社を設立するには、資本金以外に設立手続に要する費用がかかります。これは会社の形態や設立方式によって異なります。また、司法書士や行政書士などの専門家に会社設立事務の代行を依頼する場合には別途、専門家への報酬を支払うこととなります。
今回は会社設立にあたって必要となる費用について、税理士がポイントを解説します。

 

会社設立に直接必要な費用

ここでは、(1)株式会社を設立する場合、(2)合同会社を設立する場合の2つのパターンの会社設立に必要な費用を示します。

(1)株式会社を設立する場合

株式会社を設立するには、まず、定款を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。定款には収入印紙を貼り付けしなければなりません。また認証を受ける際に手数料がかかります。

さらに、法務局に設立登記の申請をする際に、登録免許税がかかります。

これらをまとめると、次のようになります。

定款に貼る収入印紙代 40,000円
公証人の定款認証手数料 50,000円
登記申請の際の登録免許税

150,000円~
(資本金の1000分の7。ただし、最低15万円)

合計 240,000円~

 

(2)合同会社を設立する場合

合同会社を設立する場合も定款を作成する必要はありますが、公証人による定款認証を受ける必要はありません。また、法務局で納める登録免許税の最低金額も株式会社よりも少なくて済みます。

これらをまとめると、次のようになります。

定款に貼る収入印紙代 40,000円
登記申請の際の登録免許税

60,000円~
(資本金の1000分の7。ただし、最低6万円)

合計 100,000円~

 

上記のように、株式会社の場合で約24万円合同会社の場合で約10万円の法定費用がかかります。会社設立費用を少しでも安くするのであれば、合同会社を設立するとよいでしょう。

(関連記事)会社設立するなら「株式会社」「合同会社」どちらがいい?

 

その他の会社設立に必要な費用

上記の他に、会社の印鑑の作成費用(材質等によるが10,000円~)や会社設立後の手続に必要な登記簿謄本・印鑑証明の発行手数料などが必要となります。

また、司法書士、行政書士、税理士といった専門家に対して、会社設立の手続を依頼する場合は、手続き報酬がかかります。報酬は、依頼する内容や専門家によって異なります。

 

会社設立に必要となる費用を安くすませるためには!?

定款には「紙の定款」と「電子定款」があります。

会社設立に直接必要な費用のうち、「定款に貼る収入印紙代」は、定款を紙で作成した場合にのみ必要となります。収入印紙というのは、印紙税法で決められた文書(紙媒体)を作成したときに必要となるものだからです。

定款を電子定款で作成すれば、「定款に貼る収入印紙代」は必要なくなります。ただし、電子定款は、単にPDFデータにするだけでは足りず、電子署名を付さなければなりません。電子定款を作成するために、ソフトウェアやカードリーダーなどが必要となります。

多くの会社設立に係る専門家は電子定款に対応しています。そのため、専門家に依頼すると、定款に貼る収入印紙代が不要となります。場合によっては、専門家に依頼してもそれほど負担が変わらないケースもあります。

また、みんなの会計事務所の会社設立プラン「みんなの会社設立」では、会社設立後の税理士顧問もお任せいただける場合は、設立手数料ゼロで、会社設立をサポートしています。

(関連記事)会社設立時の電子定款とは?メリット・デメリットは?

 

まとめ

会社設立費用がいくらかかるかについて解説しました。会社形態を株式会社にするか合同会社にするか、定款を紙で作成するか電子定款にするか、専門家に依頼するかどうかによって費用がかかってきます。うまく専門家を使いながら、スムーズに会社設立できるとよいでしょう。

 

 

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会社設立後、銀行口座はどこに開設すればいい?

会社設立後は、必ず会社(法人)の銀行口座が必要となります。この銀行口座はいつ開設できるのでしょうか?どこの金融機関に開設すればよいのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

会社設立後、銀行口座はいつから開設できる?

 

これから会社を設立する場合、銀行口座の開設は会社設立前と設立後、どちらのタイミングで行えばよいのでしょうか。また、開設するにあたってはどのような書類が必要となるのでしょうか?

まず、会社設立の際の銀行口座の開設は、会社設立登記が完了した後でなければ行うことができません。

開設するにあたっては、通常、銀行に会社の登記簿謄本(現在事項全部証明書)および会社の印鑑証明書を提出する必要があります。これらの書類を取得できるのは設立登記が完了した後となります。

会社設立の登記申請をしてから会社設立登記完了までは10日~2週間程度かかりますから、少なくともその間は銀行口座を開設できないこととなります。

また、法人が銀行口座を開設する際は、審査があります。個人が銀行口座を開設するときのように即日開設という訳にはいきません。金融機関によっても違いますが、数日から数週間かかることもあります。

営業を開始する時期が決まっているのであれば、銀行口座開設にかかる期間も踏まえて、会社設立日を決めるとよいでしょう。

 

会社設立後、資本金はどうすればいい?

定款を公証人に認証してもらった後、登記を申請する前に資本金を銀行口座に払込する必要があります。その時はまだ会社名義の銀行口座はできていませんから、資本金の払込先は発起人個人名義の口座となります。設立登記が完了し、会社名義の銀行口座が開設できたら、会社名義の口座に資本金を移す必要があります。

 

会社設立後、銀行口座はどこに開設すればいい?

 

銀行口座をどこに開設するかは、①地域 ②利用目的 ③インターネットバンキングの利用 ④融資のスタンス の4つの要素で検討するとよいでしょう。

 

・地域について

会社の近くの銀行(金融機関)の方がよいことは言うまでもありません。遠方だとそもそも開設できませんし、少し遠方でも通帳記入やその他手続きで足を運ぶのが手間となります。

・利用目的について

売上の入金先口座として利用するのであれば、信用力も高く、利用している会社も多い都市銀行を利用するとよいでしょう。

一方、都市銀行などは支払の際の振込手数料が割高となっています。また、毎月の維持管理料がかかることもあります。一回あたりの振込手数料は少額でも、支払件数が多くなると、馬鹿にできない金額となります。振込手数料が比較的安いインターネット銀行を利用するとコスト削減を図ることができます。

・インターネットバンキングの利用について

インターネットバンキングを利用すれば、利用明細の照会や振込などの銀行取引をインターネットで行うことができます。都度、銀行に出向く必要がないので、大変便利です。

都市銀行や地方銀行においてもインターネットバンキングを利用できますが、月額料金がかかる場合がほとんどです。また、アクセス可能な時間で比較すると、都市銀行や地方銀行は平日の早朝や土日祝の特定日など、インターネットバンキングへのアクセスができない時間帯を設けていますが、インターネット銀行の場合は基本24時間365日(メンテナンス時を除く)アクセス可能となっていることが多く、急を要する場合でも安心です。

 

・融資のスタンスについて

都市銀行はやはり大規模法人がメインの取引先となります。最近は都市銀行でも創業支援を行っている場合もあります。それでも、比較的小規模の会社が大手都市銀行から融資を受けるのは難しいですし、担当者が細目に会社に足を運んでくれることもあまりありません。

一方で、地方銀行、第二地銀、信用金庫などは地域の中小企業を対象とした貸付け業務を積極的に行っています。そのため、今後、金融機関から融資を受けたいということであれば、これらの金融機関に口座を持っておくとよいでしょう。

これらを踏まえると、①都市銀行 ②インターネット銀行 ③地方銀行、第二地銀、信用金庫 にそれぞれ一つずつ銀行口座を開設し、利用目的によって使い分けることをお勧めします。

 

あと、最近では、クラウド会計ソフトに対応しているかどうかも一つの検討ポイントとなるでしょう。会社の会計帳簿を作成する際、通帳記帳をして会計ソフトに入力していく必要があります。しかし、クラウド会計ソフトに対応していれば、金融機関の取引データをインターネットで会計ソフトに直接取込をすることができるので、会計帳簿を作成する手間を大幅に削減することができます。

なお、あまり銀行口座が多くなると管理も大変になりますし、一つ一つのお付き合いが薄くなります。お付き合いする金融機関は絞って、その分、深くお付き合いしていく方がよいでしょう。

(関連記事)会社設立後に銀行口座を開設する方法、口座開設に必要な書類は?

 

 

まとめ

会社設立後、銀行口座はいつ開設できるのか?、どこに銀行口座を開設すればいいのか?等について解説しました。みんなの会計事務所のおすすめは、①都市銀行 ②インターネット銀行 ③地方銀行、第二地銀、信用金庫 にそれぞれ一つずつ銀行口座を開設し、利用目的によって使い分けることです。とはいっても、銀行はたくさんありますので、その中からどこを選ぶかは、足を運んで担当者と話をしたり、評判を聞いたりして、決めるとよいでしょう。

 

会社設立時の電子定款とは?メリット・デメリットは?

会社設立の際に必要な定款を電子定款にすると印紙代がかからないと聞いたことはありますか?この電子定款とはどういうものなのでしょうか?どのようにして作ればよいのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

 

会社設立時には定款を作成しなければならない

会社設立にあたって、会社の基本的なルールを定めた「定款」という書類を作成する必要があります。定款では、会社の事業目的(事業内容)や商号(会社名)、本店所在地、発行可能株式数などを定めます。

株式会社の場合、作成した定款は、公証人役場で認証を受けて、法務局にも提出します。この定款は、紙で作成してもよいですし、電子媒体で作成することもできます。

(関連記事)会社の定款とは?作成のポイントは?変更手続きは?

 

電子定款とは?電子定款のメリット・デメリット

電子定款とは?

以前は、定款は必ず紙媒体で作成する必要がありましたが、2004年3月より電子媒体(PDFファイル)での認証ができるようになりました。定款を、ワード等の文書作成ソフトで作成し、PDFに変換した後、電子署名を付します。これを「電子定款」といいます。

電子署名とは、作成した本人であることを証明するため、本人の電子証明書を使って、定款に署名することをいいます。

 

電子定款のメリット

ところで、印紙税という税金のことをご存じでしょうか?決められた文書を作成する際、収入印紙を貼り付けして印紙税を納めなければなりません。定款は、印紙税の課税文書と決められています。そのため、定款を作成すると、4万円の収入印紙を貼付しなければならないのです。

しかし、電子媒体で作成したものは印紙税の対象にはなりません。そのため、電子定款を作成すれば、印紙代を節約することができるというのが大きなメリットがあります。

(関連記事)収入印紙(印紙税)の基礎知識

 

電子定款のデメリット

ただし、電子定款にもデメリットがあります。

電子定款は、PDFファイルでよいといっても単に文書をスキャンすればよい訳ではありません。電子署名を付すために電子証明書やカードリーダーを取得する必要がありますし、たり、特別なソフトを購入するなど電子定款を作成するための環境を準備しなければなりません。そのため、ご自身で電子定款を利用しようとしても、手間を考えると、実際には印紙代以上のコストがかかる可能性もあります。

 

 

電子定款の作成を行政書士に依頼するメリット

このように電子定款をご自身で作成することは可能ですが、慣れていないと時間やコストが余計にかかることになります。そのため、電子定款の作成を行政書士などの専門家に依頼するのもメリットがあります。この場合、行政書士などの専門家に対して支払う手数料はかかることになりますが、一方で収入印紙代4万円が節約できるため、手数料が4万円以下であれば、費用も少なくてすみ、ご自身の手間も省けることになるでしょう。

 

 

まとめ

電子定款について解説しました。ご自身で作成するのは難しいかもしれませんが、そのようなときは専門家に相談するとよいでしょう。

会社設立時の資本金の払込はいつ、どこにすればいい?

会社設立時には資本金の払込をしなければなりません。この資本金の払込はいつ、どこにすればいいのでしょうか?注意点はあるのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

資本金の払込先の銀行口座は?ネットバンキングでも可能?

会社設立前の段階では会社の銀行口座はまだありませんので、発起人(会社を作る人)の銀行口座を使用します。このとき、資本金払込のために新たに銀行口座を作る必要はありません。発起人が個人で使っている既存の銀行口座を使えばよいでしょう。

また、資本金の払込先の銀行口座と会社設立後の会社の銀行口座は関係ありません。会社設立後に取引をしたい金融機関の希望があったとしても、その金融機関を使わなくてもまったく問題ありません。

会社設立後は、会社名義の銀行口座を作ることができるようになります。会社名義の銀行口座の作成後、発起人の銀行口座に払い込まれた資本金を、会社名義の銀行口座に移すことになります。

なお、以前は郵便貯金は資本金払込口座として認められていませんでしたが、現在はゆうちょ銀行の郵便貯金も資本金払込口座として使用することができます。またネット専業銀行(ネットバンキング)も使うことができます。

 

資本金の払込のタイミングは?

株式会社設立の場合、原則として、公証人による定款認証を受けた後(同日でも可)に資本金の払込みをすると問題が起こらないので、よいでしょう。

(通常の流れ)
 定款作成
  ↓
 定款認証
  ↓
 資本金の払込

 

ただし、会社法上は、定款の作成(設立時の発行株式の数を定款で定めないときは発起人全員が同意した日)の後であれば定款認証前であっても差し支えないと考えられています。この場合、法務局によっては発起人の同意書などの確認のための追加書類が必要となるケースもありますので、事前に法務局まで確認しておくとよいでしょう。

いずれにしても定款作成前に資本金の払込みを行ってしまうと、それは資本金に充てるためのものかどうかわかりませんので、一旦、銀行口座から払い出して、再度適切なタイミングで払込みしなければならないこととなります。

なお、合同会社の場合は、公証人による定款認証手続きが必要ないため、定款の作成日以後に出資金の払込みをすることとなります。

(関連記事)資本金とは何か?会社設立時の資本金の決め方

 

資本金の払込をするときの注意点

発起人の銀行口座を使う場合、その口座に資本金以上の残高があるというだけでは足りません。定款で決まった資本金の金額が実際に資本金に充てる意図を持って払い込まれたことを示す必要がありますので、面倒ですが一旦別口座から振り込みするなどの方法で通帳に金額と払込人が記載されるようにしておかなければなりません。

 

まとめ

会社設立時の資本金の払込について解説しました。特に複雑な手続きではありませんが、資本金の払込のタイミングや払込の方法には注意しましょう。

会社設立前に支出の費用は必要経費になる?

会社設立前であっても、設立準備のために支出が生じることもあるでしょう。このような設立準備のための支出は会社の経費として認められるのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

会社設立前の費用は必要経費になる?

会社設立後にすぐに事業を進めることができるように会社設立前にパソコンなどの備品を購入したり、会議を行ったりすることもあるでしょう。このように会社設立前に支出した経費も会社の費用となるのでしょうか?

会社設立前の支出であっても、事業に関連したものであれば、通常は会社設立後の会社の必要経費(費用)に計上することができます。必要経費(費用)に計上されると、会社の利益(所得)はその分減りますので、税金が少なくなります。

ただし、法人税法のルール(法人税法基本通達2-6-2)で、次のような場合は、会社の必要経費とはならないこととされています。

1.設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における設立期間中の損益

2.個人事業を引き継いで設立される場合の、当該事業から生じる損益

 

1については、設立期間が相当程度長期になるような場合の設立期間中に発生した支出は必要経費にならないということです。「設立に通常要する期間」は明確にされていませんが、一般的に会社設立に要する期間は1~3カ月程度と考えられますから、その期間を超えている場合は注意が必要です。

また、2については、個人事業から法人成りする場合の個人事業に関連した支出は、会社の必要経費ではなく、個人事業の必要経費として計上することとなります。

なお、会社設立に要した費用で、一定のものは「開業費」または「創業費」として計上します。

 

 

会社設立前の支出も請求書や領収書を残しておこう

このように会社設立前であっても、会社設立後の会社の事業に関連したものであれば、会社設立後の会社の経費にすることができます。税金を減らすことができますので、必ず領収書を残しておきましょう。

このときの領収書の宛先は社名が決まっているときは会社名にしておくとよいでしょう。まだ社名が決まっていないときは個人名でも大丈夫です。会議費であれば、会議に参加した人の名前や会議の内容を記録しておくなど、後で支出した内容がわかるようにしておく必要があります。

 

 

「創業費」「開業費」とは?

会社設立に要した一定の費用は「創業費」や「開業費」になります。

創業費とは、会社を設立するために通常必要と認められる費用のことをいい、主に次のようなものがあります。

会社設立時の登録免許税
公証人、司法書士等への手数料
会社印の作成費用 など

 

開業費とは、会社設立後、営業を開始するために特別に必要と認められる費用のことをいい、主に次のようなものがあります。

許認可取得費用
名刺の作成費など消耗品費
旅費、交通費
打合せ費用
広告宣伝費 など

 

創業費や開業費については、一旦繰延資産として処理し、税務上は任意のタイミングで償却(費用計上)することができます。任意のタイミングで償却できる創業費や開業費をうまく活用すれば節税にもなるでしょう。

 

まとめ

会社設立前の支出について解説しました。ここで解説したように、原則として、会社設立前に生じた費用でも会社設立後の必要経費になります。会社設立後、すぐに営業を始めることができるように、設立期間中にしっかりと準備を進めておきましょう。

 

会社の事業目的とは?事業目的を決めるときの注意点

これから会社を設立するなら会社の事業目的を決める必要があります。この事業目的とはどのようなものなのでしょうか?決めるときの注意点はあるのでしょうか?今回は会社の事業目的について解説します。

 

会社の事業目的とは?

会社の事業目的とは?

会社の定款には「事業目的」を記載しなければなりません。また、会社の事業目的は登記簿にも記載されることになります。

この事業目的というのは、簡単に言うと、会社がこれから行う事業活動の種類のことです。株主や債権者、取引先といった会社の利害関係者は、会社の事業目的を見ることによって、会社がどんな会社かを知ることができるのです。そのため、会社は、定款に定められた「事業目的」の範囲内でしか、事業をすることができません。
事業目的の範囲外の取引をした際に刑事罰や行政罰はありませんが、会社や役員の責任が追求される可能性もありますので、注意しましょう。

事業目的はどんなものでもいいの?

事業目的は広く多様なものが認められますが、「適法性」「営利性」「明確性」の3つの要件を満たすものでなければなりません。

「適法性」・・・例えば、麻薬の売買や殺人など違法行為を事業目的とすることはできません。

「営利性」・・・会社は営利目的で設立するものなので、非営利のもの(例えば、ボランティア活動など)を事業目的とすることはできません。

「明確性」・・・事業目的は一般の人でも理解できる明確なものでなければなりません。

なお、事業目的の数に制限はありませんので、何個でも記載しておくことができます。

 

 

事業目的を決めるときの注意点

事業目的を決める際には次のような点に注意しましょう。

同業他社の事業目的を参考にする

事業目的を決める際には同業他社の参考にするとよいでしょう。事業目的は、3つの要件を満たしていればある程度自由に決めることができますが、公証人や法務局でもチェックされ、適切な文言でなければ修正を求められることもあります。同業他社が広く使用している文言であればそのようなことにはならないでしょう。

 

許認可に適合している文言を使う

特に許認可が必要となる業種については注意が必要です。許認可の審査の際に定款の事業目的が確認されますが、許認可の要件で求められているとおりの事業目的となっていなければ許認可が取得できないこともあります。そうなると、事業目的を変更する手続きをしてから、再度許認可申請をしなければならないこととなり、事業の開始が遅れることになってしまいます。ky
許認可が必要な業種の場合は、事前にしっかりと事業目的を確認しておくようにしましょう。許認可を申請する官公庁に事前に確認しておくとよいでしょう。

将来行う予定の事業も含めておく

事業目的を変更するには、定款変更をした上で、登記変更の手続が必要となります。変更の手続には時間もかかりますし、登記変更にあたっては登記費用もかかります。

事業目的は現在行っている事業に限られませんので、将来行う予定の事業も先に含めておくとよいでしょう。

特に小規模なベンチャー企業を設立する場合には、事業を開始してからの業界動向などによって、事業内容を変更することもあるでしょうから、あまり絞り過ぎずに、定款の事業目的は幅広く記載しておくとよいでしょう。

最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」の一文を挿入

事業目的の最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」といった一文を挿入しておくとよいでしょう。ほとんどのケースで事業目的にこの一文が挿入されています。これがあることにより、柔軟に事業目的を解釈する余地を持たせることができます。

 

まとめ

会社設立時に決めなければならない事業目的について、その意味や注意点を解説しました。難しく考える必要はありませんが、会社にとっては重要な事項ですので、しっかりと理解してから決めるようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

会社の定款とは?作成のポイントは?変更手続きは?

株式会社や合同会社を設立する際は、必ず「定款」を作成する必要があります。この「定款」とはどのような意味をもつものなのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

定款とは?定款はなぜ必要?

株式会社や合同会社を設立する際は、必ず「定款」を作成しなければなりません。この「定款」とは、会社の組織や運営等に関する基本的なルールを記した書類のことをいいます。

例えば、株式会社の場合、株主総会で選任された取締役が会社を経営します。では、取締役は好き勝手に経営してもよいものなのでしょうか?そういう訳ではありません。株主の意向に沿って経営をする必要があります。その株主の意向のようなものを定款で定め、取締役は定款の決まりの中で経営をしていかなければなりません。

会社の商号(会社名)や事業目的、本店の所在地、決算期はもちろん、会社設立時の資本金はいくらで誰が出資しているのか、株式譲渡制限の有無、役員の定数、任期などが記載されるもので「会社の憲法」とも言われます。

会社の基本的事項を定めるものなので、すべての会社が必ず作成しなければなりません。

また、一度決めた定款を変更する際には、株主総会での承認手続などが必要となります。

この定款は、社内規程の位置づけですが、会社設立時には法務局に提出しますし、会社設立後には税務署等に届出を行う際に併せて提出する必要があります。

 

定款作成のポイント

定款とは、その会社の組織や運営等に関する基本的なルールを記した書類で、会社設立の際に必ず作成する必要があります。そして、一度決めた定款を変更するときは、会社法の規定に従って、株主総会での承認手続きが必要となります。

そのため、定款をできるだけ変更しないで済むように、将来を見据えて必要な事項を予め記載しておくことが必要です。

 

定款作成のポイントは次のとおりです。

  • 事業目的

事業目的は後から追加することもできますが、その場合は登記申請が必要となります。そのため、最初に行う事業のみではなく、近い将来に考えている事業も含めておきましょう。また、最後に、「前各号に付帯する一切の事業」の一文を入れておくと目的を広く解釈することができます。

(関連記事)会社の事業目的とは?事業目的を決めるときの注意点

  • 商号

会社の正式名称は略字を使用せずに記載します。英語表記も定めておくとよいでしょう。また類似商号にも注意が必要です。

(関連記事)会社設立時の類似商号規制と商号調査の方法について

  • 本店所在地

定款では最小行政区画(市区町村)までを記載すればよいことになっていますので、最小行政区画までの記載とするのがよいでしょう。番地まで定款で定めることもできますが、その場合は、本店を移転する際に、必ず定款変更手続きが必要となります。最小行政区画までとしておけば、同一市区町村内での移転であれば、定款変更は必要ありません。

  • 発行可能株式総数

会社が発行できる最大の株式数で、この数を超える増資はできません。

特に制限はありませんので、将来の増資を見越して、多めに設定しておくとよいでしょう。

(関連記事)会社設立時の発行株式数の決め方、発行可能株式総数との違いは?

  • 発起人の住所など

住所は印鑑証明書と一字一句同じように記載しなければなりません。

番地を「○○町1-1」というように省略して記載することはできません。

 

 

定款は変更できる?定款変更するときの手続き

定款はあくまで会社内部のルールですから、変更することもできます。

ただし、定款の文書を勝手に書き換えればいいのではなく、会社法の規定に従って変更手続きをしなければなりません。定款は会社の大事なルールですから、それを変更する際は、株主総会の特別決議が必要となります。

 

特別決議が成立するには次の2つの要件を満たさなければなりません。

・議決権の過半数を有する株主が出席していること
・出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成していること

 

普通決議は2分の1以上の賛成が要件ですから、それより重い要件とされています。

また、事業の目的や発行可能株式総数の変更など変更した内容によっては、登記申請が必要となりますので、注意してください。

(関連記事)会社設立後に定款変更するときに必要な手続きは?

 

 

定款を紛失したときはどうなる?

定款は会社の重要な書類です。ただ、普段あまり見る書類ではないので、紛失してしまうこともあるでしょう。定款を紛失した場合はどうすればよいのでしょうか?

会社設立時に作成する定款を「原始定款」と言います。この「原始定款」は設立時に法務局や公証人役場(株式会社の場合)に提出しています。一定期間(法務局5年、公証人役場20年)であれば、法務局や公証人役場に申請することにより「原始定款」を閲覧することができます。

ただし、「原始定款」を変更している場合、変更後の定款は、法務局や公証人役場には残されていません。定款変更手続きを司法書士などの専門家に依頼していた場合は、その専門家に問合せをすれば残っているかもしれません。ご自身で変更された場合は、株主総会の議事録などがあればそれを見ればわかりますが、株主総会議事録も残っていない場合はどうしようもありません。この場合、実務的には法務局または公証人役場で「原始定款」を閲覧し、それをもとに、株主総会特別決議を行って変更するという対応になるものと思われます。

 

 

まとめ

「定款」について解説しました。普段あまり見るものではありませんが、とても重要な書類です。定款の役割、意味をしっかりと理解しておきましょう。

 

 

会社設立するならどの会社形態がいい?有限責任と無限責任とは?

いざ、起業をしようとしても、会社にはいくつかの種類があることをご存じでしょうか?

会社の種類毎に特徴があるので、自身にピッタリあった会社形態を決める必要があります。今回は会社形態について税理士がポイントを解説します。

 

会社には主に4つの種類(会社形態がある)

起業の決意が固まると、どのような会社を設立するのか、会社形態を決めることが必要です。

 

現行法の下で設立できる会社には、主に次の4種類があります。

株式会社
合同会社(LLC)
合名会社
合資会社

 

この4種類は、責任の形態(有限責任か無限責任か)と経営方法が違います。

さらに、会社形態ではありませんが、有限責任事業組合(LLP)という選択肢もあります。このうち合名会社・合資会社については、出資者が無限責任を負うというデメリットがあり、新設される会社でこの形態を取ることはほとんどありません。したがって、株式会社もしくは合同会社(LLC)のどちらかの形態を採用することが一般的です。

株式会社は、以前は1,000万円という最低資本金の規定があり、会社設立の高いハードルとなっていました。しかし、現在は最低資本金の規定は廃止され、1円からの出資で会社設立ができます。株式会社・合同会社はともに1円からの出資で設立ができ、出資者の責任は有限であるという特徴を持ちます。

(関連記事)会社設立するなら「株式会社」「合同会社」どちらがいい?

 

 

有限責任・無限責任とは?

ここまでに何度か出てきた「有限責任」「無限責任」とはどういう意味なのでしょうか?

 

無限責任とは、会社の責任がすべて個人(出資者)にも及ぶことを言います。

これに対して、有限責任では、会社の責任は、出資額の範囲で個人(出資者)に及ぶこととなります。

例えば、事業に失敗して会社に借金が残ったときや事故を起こして会社が損害賠償請求をされたとき、無限責任形態の会社では、会社が倒産しても個人が会社の借金や損害賠償義務を引き継ぐことになります。事業で失敗すると個人に責任が及ぶ訳ですから、個人の財産を失ったり、個人で破産をしたりしなければならないこととなります。これでは安心して経営などできませんし、下手に出資することもできませんよね。そこで有限責任形態の会社が設けられています。

有限責任形態の会社では、会社が倒産した場合、個人の出資額は返ってこなくなりますが、それ以上の債務を出資者である個人が負うことはありません。

無限責任形態の会社はデメリットが大きいので、新たに会社を設立する場合には、有限責任形態の会社(株式会社 または 合同会社)を選ぶのが一般的です。ただし、有限責任形態の会社でも、銀行から融資を受ける際などは代表者の連帯保証を求められることも多く、そのような場合には、実質的には個人も会社の責任を負うこととなります。

 

 

まとめ

株式会社、合同会社(LLC)、合名会社、合資会社の4つの会社の種類(会社形態)について解説しました。これから会社設立するなら、株式会社か合同会社にするのがよいでしょう。それぞれのメリット・デメリットについては次回解説します。

会社設立後に必要な手続き、やるべきことについて|会社設立前に知るべきこととは

法務局での会社設立の登記が終わったら、ようやく会社が設立できた訳ですが、会社設立に関係した手続きはこれで終わりではありません。今回は会社設立後に必要な手続きややるべきことについて解説します。

 

会社設立後に必要な主な手続き

会社設立後、下記の手続きはほぼ必須です。速やかに進めるようにしましょう。

①銀行口座の開設

会社を設立して事業を行うには、会社名義の銀行口座が必要となるでしょう。銀行口座がなければ、取引先からの入金をしてもらうこともできません。
会社名義の銀行口座は、登記簿ができるまでは開設する手続きができません。法務局で登記簿ができあがってから、口座を開設しようとする銀行の窓口に行き、開設手続きを進めることとなります。銀行によっても異なりますが、口座の開設までに数日から数週間程度かかることがあります。

(関連記事)会社設立後、銀行口座はどこに開設すればいい?

 

②許認可を取得するための手続き(必要業種のみ)

許認可の必要な事業を行うために、会社後に所轄官庁に対して許認可の申請等の手続きを行わなければなりません。許認可の申請等の手続きにあたっては、書類の準備のために時間がかかりますし、役所に申請をしてからその許認可が下りて営業ができるようになるまでにはかなりの時間を要することにもあります。会社設立にあたっては、手続きの手間や時間のことを計算に入れておかなければなりません。

また、業種によって許認可の内容も大きく異なるので注意してください。役所への「届出」や「登録」で済む業種もあれば、申請書を出して審査を受けねばならない「許可」、もしくは申請書を出して認められればいい「認可」を要する業種、さらには一定の資格要件を備えていて「免許」を取得しなければ行えない業種、といった違いとなっているのです。

多くの業種で許認可が必要とされています。許認可が受けることができないと、会社設立したはいいものの、事業が行えないということにもなりかねませんので、許認可を受けるために必要な要件は必ず会社設立前に確認しておくようにしましょう。

(関連記事)営業許認可とは?会社設立時に注意すべき点はある?

 

③税務署等への届出

会社設立に関連する届出や青色申告など特例を適用するための届出等を税務署、市町村役場、都道府県税事務所へそれぞれ提出する必要があります。届出には提出期限があり、期限までに提出しないと特例等の適用をすぐに受けることができないこともありますから、注意しましょう。

(関連記事)会社設立後に必要な税務届出について

 

④社会保険への加入

会社を設立すると、原則として、社会保険に加入しなければなりません。また、従業員を雇用する場合は労働保険等への加入も必要です。社会保険関係の手続きは、提出先が、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどに分かれていますので、提出先に注意してください。また、定められた期限までに手続きを行わないと追加で書類が必要となることもあります。なお、社会保険に加入するにあたっては、役員の報酬や従業員の給料を先に決めておかなければなりません。

(関連記事)社会保険の手続きについて|会社設立前に知るべきこととは

 

「法人設立ワンストップサービス」を利用すると便利

ここまで説明したように、会社設立後に、様々な手続きが必要となります。それぞれ提出先も異なるので、すべての手続きを終わらせるためには、それなりに手間と時間がかかります。
しかし、「法人設立ワンストップサービス」というオンラインサービスを利用すれば、③税務署等への届出と④社会保険への加入については、オンライン上で一度の手続きで行うことができます。なお、このサービスを利用するためには、法人代表者のマイナンバーカードが必ず必要です。便利なシステムなので、ぜひ活用しましょう。

 

その他会社設立後にやるべきこと

①名刺、パンフレット、挨拶状の作成

会社を設立したことを知らせるための挨拶状やパンフレット、会社の名刺を作る必要があるでしょう。ワードやパワーポイントなどで作成することもできますが、印象をよくするためにデザインに凝るのであれば時間もかかります。会社設立前から準備しておいてもよいでしょう。

②法人名義のクレジットカードの作成

これは必須ではありませんが、法人名義のクレジットカードがあると、経費の精算などがスムーズにできるようになり、便利です。なお、クレジットカードの種類によっては、会社設立後すぐに作成できないものもあります。

③各種契約の切り替えなど

会社名義で契約できないため、個人名義で契約していたものを会社名義に切り替えることが必要となる場合もあるでしょう。また会社で必要なインフラなどについて契約をしていくことになります。

 

まとめ

会社設立後に必要な手続きについて解説しました。会社が設立できたら、それですぐに事業を開始できる訳ではなく、会社設立後も様々な手続きが必要です。うっかり忘れてしまうと損をしたり、うっかりペナルティを受けることもあります。会社設立後に必要な手続きのことも理解しておきましょう。

 

会社設立をするときの発起人とは?その役割や責任、選び方について

株式会社を設立する際には発起人が必要です。この発起人とはどのような人な役割を持つ人のことを言うのでしょうか?また、どのような人がなれるのでしょうか?株式会社を設立する際の発起人について解説します。

 

会社設立を行う時に必要になる発起人とは?

そもそも発起人とは?

株式会社を設立するには、まず、発起人を決めるところから始まります。発起人とは、どのような会社にするのかを考え、設立にあたっての事務手続きを行う役割を持つ人のことをいいます。つまり、発起人がいなければ、会社設立の手続きが進みません。

発起人は最低1名以上いればよく、上限はありません。また、個人でも法人でもなることができますし、未成年者であっても発起人になることができます。

なお、会社設立が終わると、発起人という地位はなくなり、会社の経営は発起人が任命した設立時取締役(または取締役会)が行っていくこととなります。

 

発起人はどんな役割を負っているの?

発起人には次のような役割があります。

 

①資本金を出資する

発起人は必ず1株以上出資をしなければなりません。なお、全額出資する必要はありません。発起人が全額出資する場合を「発起設立」、発起人が一部出資する場合を「募集設立」といいます。

②重要事項を決定する

発起人は会社の事業目的、本店所在地、資本金など会社設立にあたっての重要事項を決めなければなりません。また、会社設立時に取締役を誰にするかを決めるのも発起人が行います。もちろん発起人がそのまま取締役になることもできます。

③定款を作成する

会社の定款の作成や公証役場で認証を受ける手続きも発起人が行います。

(関連記事)会社の定款とは?作成のポイントは?変更手続きは?

④設立登記申請を行う

設立登記申請も発起人が行います。

 

これらのすべてを発起人自身で手続きをしなければならない訳ではなく、専門家に手続きを委任することも可能です。

なお、この他にも、会社設立前にオフィスの賃貸借契約を締結しなければならないときは、発起人名義で契約が必要となるなど、設立前の会社の事務手続きを行うのも発起人となります。

 

 

発起人の責任

発起人には主に次のような責任があります。

①出資の履行責任

現物出資が行われた場合で、その評価額が定款に記載された金額よりも著しく不足する場合は発起人が不足額を支払わなければなりません。

②損害賠償責任

発起人が会社設立について任務を怠ったことにより会社に生じた損害や、その職務を行うにあたって悪意または重過失があり、第三者に生じた損害を賠償しなければなりません。

③会社不成立の場合の責任

会社が設立できなかったときは、発起人が設立費用を負担しなければなりません。

 

これらの発起人の責任は、発起人が連帯して負うこととなります。

 

 

発起人にはどんな人がなればいいの?

発起人は1人以上いればよいので、これから1人で起業しようとする場合は、その人が発起人になるだけで問題ありません。

複数名での共同経営をする場合は、そのうちの1人のみが発起人になるケースもありますし、全員が発起人になるケースもあります。なお、発起人が複数名いる場合は、1名のときよりも必要書類は増えますし、重要事項も発起人が協議して決めなければなりません。

発起人と会社設立後の株主、取締役とは別々のものですが、通常は密接にリンクしてくるもの。自身が中心となり経営を行いたいという場合でしたら、株式(議決権)の過半数は自分で引き受けて、議決権を確保しておくとよいでしょう。株式(議決権)の3分の2以上を確保しておくと会社にとっても重要事項についても意思決定することができます。

 

共同経営・共同出資についてはこちらの記事も参考にしてください。

(関連記事)会社設立で共同出資を成功させるためには!?共同出資のメリット・デメリット、

 

 

まとめ

会社設立の際の発起人について解説しました。1人で起業しようとするのであれば、発起人についてそれほど難しく考える必要はありません。ただし、会社設立にあたっては検討しなければならない重要な事項がたくさんあります。発起人だけで検討や手続を進めるのが難しければ、専門家に相談するとよいでしょう。

会社設立にはどれくらいの期間がかかる?最短期間と標準的な期間

これから会社設立をする場合、どれくらいの期間がかかるか気になるでしょう。会社設立にかかる期間は、設立したい会社の種類や設立準備がどの程度進んでいるかによっても変わってきます。今回は、会社設立にかかる期間について税理士がポイントを解説します。

 

会社設立の大まかな手順・流れ

会社を設立するには様々な手続きが必要です。

1.会社の基本的事項を決める

まずは会社の基本的な事項を決定します。最初に決めなければならない主な事項は次のとおりです。

・会社の商号(会社名)
・事業目的(何をやるか)
・本店所在地
・事業年度(決算月)
・資本金額
・会社設立の際に発行する株式数
・発行可能株式総数

会社の商号を決める際には、類似商号の調査を行います。これは、同一住所に同じ商号があっては会社設立ができないというルールがあるからです。類似商号の有無は、法務局のオンライン登記情報検索サービスなどですぐに調べることできます。また、商標権侵害とならないように、商標登録されているかどうかも確認しておいた方が良いでしょう。

(関連記事)会社設立で会社名(商号)を決めるときのルール・注意点

なお、事業年度(決算月)や資本金額については、設立1期目~2期目の消費税の納税義務者判定に影響を与えることになりますので、事前に税理士へご相談されることをお勧めします。弊所でもご相談を多数お受けしています。

2.会社印を作成する

次に印鑑の作成を行います。
最低限必要になるのは次の3つです。1つ目は社長個人の実印、2つ目は会社実印、3つ目は会社銀行印です。会社銀行印は、設立登記では使いませんが、銀行口座を開設するときに必要となるので、一緒に作っておくとよいでしょう。また、社長個人の実印の印鑑証明書も必要です。印鑑証明書の必要部数は、その立場により異なりますので、注意してください。代表取締役の場合、公証役場と法務局への提出用に計2通が必要になります。

3.定款を作成する

続いては定款の作成です。定款とは会社の目的、株式に関する事項、資本金を払い込む金融機関などを記載するものです。

定款は3部作成し、捺印・割印が必要です。この定款への捺印は、印鑑登録された個人の実印でなければなりません。

(関連記事)会社の定款とは?作成のポイントは?変更手続きは?

4.公証人の定款認証を受ける

定款ができたら、公証人役場に提出し、認証を受けます。

認証を受けられる公証役場は、設立予定の会社の本店所在地と同一都道府県内にあるものに限られますので、事前に日本公証人連合会のホームページで確認しましょう。公証人の定款認証手数料が5万円、定款に貼る収入印紙代が4万円、謄本交付料が2千円かかります。電子定款の場合は収入印紙代が不要になります。そして出資金(資本金)を払い込み、払込証明書を作成します。なお、合同会社を設立する場合は、公証人役場での定款の認証の手続きは必要ありません。

(関連記事)公証人の定款認証手続きとは?|会社設立前に知るべきこととは

5.出資金(資本金)の払い込みをする

 出資金(資本金)を払い込み、払込証明書を作成します。この時点で会社名義の銀行口座は存在しませんので、発起人(複数人いる場合は発起人総代)の個人名義の口座を使用します。なお、払込証明書の作成には通帳のコピーが必要になりますので、通帳のある銀行口座を使用しましょう。

(関連記事)会社設立時の資本金の払込はいつ、どこにすればいい?

6.法務局に登記申請をする

最後に、法務局に設立登記申請書を提出します。この設立登記申請書の提出日が会社の設立日となります。設立登記申請時に、法務局の窓口で、登記完了の予定日が伝えられますから、不備がなければ、伝えられた日以降に会社の登記簿謄本を取得することができます。これで無事に会社設立が完了します。

書類の作成だけでも日数を要しますが、法務局の審査が完了するまでに最低でも1週間かかります。会社設立には日数を多めに見ておくことが必要です。行政書士などに依頼すれば日数が短くなります。

 

会社設立にかかる最短期間と標準的な期間

先ほど解説したように、会社設立には様々な手続きが必要です

これから会社設立の準備を始めるのであれば、先ほどの1~5までの手続きにかかる期間として、少なくとも2週間~3週間程度みておくとよいでしょう。社長1人の会社であれば自分だけで進めることができますが、出資者や役員が多くなるとその人たちとの調整も必要となりますから、時間もかかります。

すでに会社設立に必要な書類や印鑑、資金も揃っている状態であれば、最短で3日程度でも可能です。公証人役場へ連絡して、定款の事前にチェックをしてもらい、認証を受け、資本金の払込み、法務局への設立登記申請という手順になりますから、急げば3日程度でも可能です。合同会社であれば、公証人の定款認証が必要ないので、もっと早く登記申請をすることもできます。

その後、法務局に登記申請を行ってから、法務局が審査を行い、登記が完了するまでは通常1週間~2週間かかります。この期間は短縮することはできません。

つまり、設立準備を始めてから、登記が完了するまでの期間は【4週間から5週間程度】はかかることとなります。

これから会社設立の準備を始めるけど、一刻も早く会社設立を完了させたい、ということであれば、専門家に相談するのも一つでしょう。専門家に依頼すると、経験が豊富ですから、素早く不備のない書類を準備することができます。

 

設立できたらすぐに事業ができるとは限らない

ここまで会社設立の流れや期間について見てきました。

しかし、設立登記が完了したからといってすぐに事業を始めることができるとは限りません。銀行口座の開設は、登記完了するまでできませんし、個人のようにその場ですぐに開設することもできません。早くとも数日から1週間程度の時間がかかります。
また、許認可の必要な業種であれば、許認可の申請をして、受けるまで事業を始めることができません。

このように会社が設立できたからすぐに事業ができる訳ではありません。いつから事業を始めたいのかをまず決めましょう。そして、会社設立手続きやそれ以外に必要な手続きに要する期間を逆算して、会社設立の準備を始めるタイミングを考えましょう。

 

会社設立について税理士に相談するメリットは?

会社設立に係る業務自体は税理士の業務ではありませんが、税理士の多くは司法書士と提携していますので、信頼できる司法書士の紹介を受けることができます。

みんなの会計事務所では、税務顧問契約を締結いただける場合は、司法書士報酬を弊所が全額負担しますので、電子定款を使って印紙代が省ける分、実はご自身でお手続きするよりもおトクに会社を設立することができます。

また、個人事業主からの法人成りの場合は、個人と法人とでの税負担額のシミュレーションや、事業用資産を移転する際の注意点などを検討することができます。その他、消費税の免税期間をできるだけ長くとる会社設立の仕方などもありますので、税理士へ相談するメリットは多いにあると言えるでしょう。みんなの会計事務所では会社設立のご相談を多数お受けしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

まとめ

会社設立にはかかる期間の目安について解説しました。急げば数日で会社設立することもできます。しかし、会社設立時には会社にとって大事な事項をたくさん決めます。急いで進めるのではなく、大事な事項についてはしっかりと検討してから進める方がよいでしょう。

 

会社設立後に銀行口座を開設する方法、口座開設に必要な書類は?

会社設立する時に必要になる口座開設をしたいのですが、口座を開くにはどのようにすればいいのでしょうか。口座は銀行で開くことができると思うのですが、銀行へ行くときにはどんなものを持っていけばいいのでしょうか。今回は会社設立後に銀行口座を開設する方法や必要となる書類について解説します。

会社設立後に銀行口座を開設する方法

会社設立時に法人口座として口座開設する場合、手続きの方法は個人口座とあまり変わりません。

1.口座開設したい銀行(金融機関)を決める

まずどこの銀行、信用組合または信用銀行などの金融機関で口座を開設するのかどうかを決めなければなりません。会社設立にあたり、これから取引を主に行なっていく金融機関で口座開設を行なうことが一般的です。

 

2.銀行(金融機関)の窓口で、口座開設手続きをする

銀行(金融機関)の窓口に出向く際に、通常は、事前に予約などをしておく必要はありません。必ず代表者が窓口に出向く必要はありませんが、出向かないときは、委任状が必要となる場合があります。
個人の銀行口座と違い、会社の銀行口座ですので、口座は法人口座になります。会社設立の法人口座開設にあたって、個人口座開設よりもいろいろと質問をしてくることが考えられます。自分の会社がどういった企業で、どういった会社との取引を予定していて、どのような目的で銀行口座を利用するのか、くらいは質問をされる可能性がありますから、答えられるように準備しておくとよいでしょう。会社のパンフレットがあれば、それを使って説明できるとスムーズです。ただし、借入をするときとは違って、事業計画を見られたり、事業に踏み込んだ質問をされることはありません。

なお、個人の銀行口座は即時に開設されることもありますが、法人の銀行口座は開設までに数日から数週間程度かかることがあります。

(関連記事)会社設立後、銀行口座はどこに開設すればいい?

 

会社名義の銀行口座の開設に必要な書類

法人口座開設に通常必要となる書類は次のとおりです。

・履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
・定款
・会社の実印、銀行印
・会社の印鑑証明書
・窓口に行く人の本人確認書類
・パンフレットなど会社の概要がわかるもの(あるとよい)など

なお、口座開設に必要な書類は銀行によっても異なるため、開設を希望する銀行へ事前に問い合わせをするか、ホームページなどを見て確認しておくとよいでしょう。

 

なぜ法人口座の開設は難しいのか?口座開設が断られるケース

会社名義の銀行口座の開設は、個人名義の口座の開設よりも難しいと言われています。なぜ、難しいのでしょうか?

会社は登記をすれば簡単に作ることができるため、会社を利用した不正もよく行われます。そのため、金融機関としては、不正に利用されないように慎重に口座開設の審査をすることとなります。審査では、その会社に実態があるかどうか(ペーパーカンパニーなどでないかどうか)、銀行口座が不正に利用される可能性はないか、といった観点でのチェックが行われます。

融資を受けるときほどの厳しい審査をされることはありませんが、会社の実態ないと判断されれば、口座開設を断られることもあります。また、会社の実態を確認するため、オフィスの賃貸借契約書や許認可証などを確認されることもあります。

このように口座開設にあたって、会社の実態の確認はされますが、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用している場合でも銀行口座が開設できない訳ではありません。
バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用する場合であっても、会社の概要や事業をきちんと説明すれば、銀行口座の開設が可能となるでしょう。また、ある銀行で断られたからといって、他の銀行でも断られるとは限りません。断られたら、他の銀行に相談してみるとよいでしょう。

 

まとめ

会社名義の銀行口座の開設する方法等について解説しました。事業をするなら必ず必要となる銀行口座ですが、個人名義の銀行口座と違って、必ずすぐに開設できる訳ではないことを知っておきましょう。

 

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