会社設立後に定款変更するときに必要な手続きは?

株式会社などでは会社の基本的事項を定めた「定款」を会社設立時に必ず作成しています。この定款は重要なものですから、変更したいといっても、単に紙を書き換えるだけではいけません。では、定款を変更する際は、どのような手続きが必要 … 続きを読む 会社設立後に定款変更するときに必要な手続きは?

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株式会社などでは会社の基本的事項を定めた「定款」を会社設立時に必ず作成しています。この定款は重要なものですから、変更したいといっても、単に紙を書き換えるだけではいけません。では、定款を変更する際は、どのような手続きが必要となるのでしょうか?

 

定款とは?どのような場合に変更が必要?

「定款」とは、会社の組織や運営等に関する基本的なルールを記した書類のことをいいます。

会社の商号(会社名)や事業目的、本店の所在地、決算期はもちろん、会社設立時の資本金はいくらで誰が出資しているのか、株式譲渡制限の有無、会社の機関、役員の定数や任期などが記載されています。

 

例えば、次のような場合で定款の変更が必要になります。

・会社名を変更したいとき
・会社の事業目的を変更したいとき
・本社を移転したいとき
・決算期を変更したいとき
・発行可能株式数を変更したいとき
・取締役会非設置会社から取締役会設置会社になるなど会社の機関を変更したいとき
・役員の任期を変更したいとき など

 

このように見ると、会社にとって大切な事項を変更するときは、まず「定款」変更が必要ないかどうかを考える必要があるでしょう。

なお、取締役や監査役の氏名などは通常は定款に記載することはありませんから、変更する際も定款変更の手続きは必要ありません。

(関連記事)会社の定款とは?作成のポイントは?変更手続きは?

 

定款を変更するための手続きは?

定款は会社の基本的事項を定める重要なもので、役員等が株主の方針を無視して、好き勝手に経営をしないように株主が定めるものです。そのため、株式会社の場合には、定款を変更する際は、株主総会で定款変更の決議をする必要があります。
また、株主総会での決議は、普通決議ではなく、より要件の厳しい特別決議によらなければなりません。

 

特別決議が成立するには次の要件を満たしている必要があります。

・議決権の過半数を有する株主が出席していること
・出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成していること

 

株主総会で決議された場合には、議事録を作成して、保管しておくようにしましょう。

株主間で意見が割れたとき、普通決議であれば、1/2超を保有する株主の意見が尊重されますが、特別決議が必要な定款変更は、2/3超を保有していなければ、自身の意見を通すことができないということになります。

なお、会社設立時に作る定款(原始定款ともいいます)は公証人の認証を受けることが義務づけられています。公証人の認証を受けて初めて定款はその効力を持つこととなります。

会社設立後に定款の内容を変更する際は、株主総会でその内容を決議すればよく、通常は公証人の認証を受ける必要はありません。 

 

定款を変更すると登記は必要なの?

定款に記載されている事項がすべて登記事項となっている訳ではありません。そのため、登記が必要かどうかは、変更した内容によります。

 

登記事項となる定款変更の例

・会社名を変更したとき
・会社の事業目的を変更したとき
・本社を移転したとき
・発行可能株式数を変更したとき
・取締役会非設置会社から取締役会設置会社になるなど会社の機関を変更したとき など

 

登記事項とならない定款変更の例

・決算期を変更したとき
・役員の任期を変更したとき など

 

なお、会社名や本社を変更したときは、法務局への登記申請以外にも税務署や都道府県・市区町村役場への届出など各種手続きが必要です。また、決算期を変更したときは、登記は必要ありませんが、税務署や都道府県・市区町村役場への届出は必要となります。

このように定款変更に関連して、各種手続きが必要となることもありますから、注意しましょう。

 

まとめ

どのような場合に定款変更が必要なのか?定款変更の際の手続きについて解説しました。会社にとって重要な事項ですから、正しい手順を踏んで、定款変更をするようにしましょう。また、どれが最新の定款かわからないということもよく起こりますので、定款変更履歴の管理をしておくことも大切です。