会社を設立した後に、税金に関して各諸官庁に届出が必要となります。税金に関する届出は、届出期限を超えてしまうと適用を受けることができず、不利な取扱いが為されることもあります。それぞれの届出の提出期限と自社が必要な届出を確認し、忘れずに提出しておきましょう。
会社設立後に必要な税務届出について
税金に関する届出は、税務署へ提出するものと地方自治体(都道府県、市区町村)に提出するものがあります。
1.税務署に提出する届出
(1)すべての法人で届出すべきもの
下記書類はすべての法人で提出しておくべきもの、または、提出しておいた方が有利になるものです。届出期限までに忘れず提出するようにしましょう。
・法人設立届出書(会社設立から2か月以内)
定款の写し、株主名簿、設立時の貸借対照表などの書類を添付します。2017/4/1以降、登記事項証明書の添付は不要になりました。
・給与支払事務所等の開設届出書(会社設立から1か月以内)
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(特例を受ける月の前月末まで、任意だが届出しておくと有利)
源泉所得税は、原則として、源泉徴収した月の翌月10日までに納付しなければなりませんが、特例の承認を受けると、半年ごと(7月、1月)の納付が可能になります。
・青色申告の承認申請書(会社設立から3か月以内、任意だが届出しておくと有利)
青色申告法人として、税務上の優遇制度が利用できるようになります。
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(2)消費税の課税事業者・簡易課税制度を選択するとき
すべての法人で提出する必要はありませんが、提出することにより有利になる可能性があります。提出の要否をしっかりと検討しましょう。
・課税事業者選択届出書(会社設立した事業年度の末日まで)
多額の設備投資を予定していたり、輸出を行う事業者など、課税仕入れが多くなり、課税事業者を選択することによって消費税の還付を受けることができる事業者は、課税事業者選択届の提出が必要です。
・消費税簡易課税制度選択届(会社設立した事業年度の末日まで)
資本金が1,000万円以上で、設立1期目から課税事業者となる場合で、簡易課税制度を利用した方が消費税の納税額が少なくなる見込みであるときは、消費税簡易課税制度選択届を提出しておくとよいでしょう。
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(3)その他(主なもの)
すべての法人で提出する必要はありませんが、該当する場合に提出が必要です。
・事前確定届出給与に関する届出
役員賞与を支給する予定があるときに提出が必要です。
・棚卸資産の評価方法の届出
棚卸資産を法定評価方法である「最終仕入原価法(原価法)」以外の方法で評価するときは届出が必要です。
・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
有価証券の種類毎に、一単位当たりの帳簿価額の算出方法(移動平均法または総平均法)を選定し、届出をします。
・減価償却資産の償却方法の届出
減価償却資産を資産の種類毎に決められた法定評価方法以外の方法で評価するときは届出が必要です。
2.都道府県、市区町村に提出する届出
(1)すべての法人で届出すべきもの
・法人設立届出書
登記簿謄本、定款の写しを添付します。
法人設立ワンストップサービスでまとめて届出OK
法人設立ワンストップサービスという、法人設立時の各種手続について、インターネットを使って、ワンストップで行うことができるサービスがあります。
法人設立時には、税務署の他にも年金事務所やハローワークでの手続きが必要となることがあります。受付窓口は別なので、これまでは別々に手続きが必要でした。しかし、
このサービスを利用すれば、パソコン(ICカードリーダーが必要)またはスマートフォンを使って、税務署の他年金事務所やハローワークなどに対する手続をまとめて行うことができますので、大変便利です。
なお、法人設立ワンストップサービスを利用するには、法人代表者がマイナンバーカードを持っていなければなりません。
まとめ
税務関係の届出は期限が設けられています。特に青色申告の承認申請書は期限を過ぎると、一年目から青色申告の適用を受けることができなくなってしまいます。大きなデメリットになる可能性がありますので、忘れずに提出するようにしましょう。
みんなの会計事務所でももちろん会社設立から設立後の税務届出までサポートしていますので、お気軽にご相談ください。