会社設立をする際に会社名(商号)を決めなければなりません。この会社名は基本的には自由に決めることができます。しかし、会社を作るときに類似商号はよくないといわれます。似た名前をつけた場合にどんな問題があるのでしょうか。また、どうやってトラブルを避けるといいでしょうか?今回は会社設立時の類似商号について解説します。
類似商号の制限①:同一所在地で同一商号を付けることはできない
類似商号規制とは?
同一市区町村に同一商号の会社設立を禁止する類似商号規制がありました。
現在は手続きを円滑にするため、この規制はなくなっています。しかし、同一の所在地に同一商号の会社設立は禁止されています。
この同一所在地について、例えば「A県B市C区D町1-2-3 Eマンション405号」に存在する会社が「A県B市C区D町1-2-3」で既に登記登録を行っている場合、同マンション内の別室であっても同じ商号は使用できません。しかし、「A県B市C区D町1-2-3 Eマンション405号」として登記登録が行われている場合、別室であれば同一所在地にはならないため、同一商号の使用が可能です。
このように類似商号については、まず会社設立の登記の際に、他人がすでに登記している同一の住所かつ、同一の会社名を用いることは許されていません。
オリジナリティのある会社名を付けようとする場合、同一の所在地で重複する可能性は限りなく低いですが、少しよくありそうな会社名を付けたいときやバーチャルオフィスを利用するときなどで起こりえます。
類似商号調査の方法は?
なお、使用できない類似商号があることが判明すると、登記ができず、予定通りに会社設立をすることができません。そのため、事前に商号調査をしておきましょう。
商号調査をするためには次のような方法があります。
①オンライン登記情報検索サービスで検索
登記・供託オンライン申請システムで、所在地・会社名を検索することができます。なお、このシステムを利用するには、申請者IDを取得する必要があります。
②国税庁法人番号公表サイトで検索
会社には法人番号があります。国税庁の法人番号公表サイトでは、商号名と所在地を入れると法人番号が表示されます。このサービスを利用して、商号をチェックすることができます。
法人番号公表サイトは事前登録が必要ないので、商号調査にあたっては、オンライン登記情報検索サービスよりもこちらを利用する方が簡単でしょう。
類似商号の制限②:不正目的、著名な商号、商標登録済みの商号に注意
類似商号規制がなくなって同一所在地でなければ、同一商号の会社設立ができますが、悪用が許可されているわけではありません。
他社である事を誤認させる事が目的と認められれば、差し止め請求や損害賠償請求の対象になります。
また、ある地域や業種で広く認知されている既存の有名な会社名と同じ名前や、不正な目的で他社と混同しやすくする名前にすると、不正競争防止法に基づき商号使用差止めの請求や損害賠償請求をされる恐れがあります。
例えば、「ソニー」という既に家電メーカーとして広く認知されたソニーがありますから、電化製品の製造販売を目的とする会社の社名を「ソニー」とすることは止めておくべきでしょう。先に商標登録されている場合も商標権侵害とならないように注意が必要です。
意図せずにこのような事が起きる可能性は低いと考えられますが、トラブルを避けるため、会社設立時に、インターネットで「地域・業種+社名」で検索して、似た名前の会社があるかどうかくらいはチェックしておきましょう。商標については、商標権の検索サービスもあります。
(関連記事)会社設立で会社名(商号)を決めるときのルール・注意点
まとめ
会社設立に際して、社名を決めるときの注意点について解説しました。オリジナリティのある会社名を付けるときはそれほど気にする必要はないかもしれませんが、類似商号を使用していると思わぬトラブルが起こることも。商号を決めるときは注意しなければなりません。