株式会社を設立する際には発起人が必要です。この発起人とはどのような人な役割を持つ人のことを言うのでしょうか?また、どのような人がなれるのでしょうか?株式会社を設立する際の発起人について解説します。
会社設立を行う時に必要になる発起人とは?
そもそも発起人とは?
株式会社を設立するには、まず、発起人を決めるところから始まります。発起人とは、どのような会社にするのかを考え、設立にあたっての事務手続きを行う役割を持つ人のことをいいます。つまり、発起人がいなければ、会社設立の手続きが進みません。
発起人は最低1名以上いればよく、上限はありません。また、個人でも法人でもなることができますし、未成年者であっても発起人になることができます。
なお、会社設立が終わると、発起人という地位はなくなり、会社の経営は発起人が任命した設立時取締役(または取締役会)が行っていくこととなります。
発起人はどんな役割を負っているの?
発起人には次のような役割があります。
①資本金を出資する
発起人は必ず1株以上出資をしなければなりません。なお、全額出資する必要はありません。発起人が全額出資する場合を「発起設立」、発起人が一部出資する場合を「募集設立」といいます。
②重要事項を決定する
発起人は会社の事業目的、本店所在地、資本金など会社設立にあたっての重要事項を決めなければなりません。また、会社設立時に取締役を誰にするかを決めるのも発起人が行います。もちろん発起人がそのまま取締役になることもできます。
③定款を作成する
会社の定款の作成や公証役場で認証を受ける手続きも発起人が行います。
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④設立登記申請を行う
設立登記申請も発起人が行います。
これらのすべてを発起人自身で手続きをしなければならない訳ではなく、専門家に手続きを委任することも可能です。
なお、この他にも、会社設立前にオフィスの賃貸借契約を締結しなければならないときは、発起人名義で契約が必要となるなど、設立前の会社の事務手続きを行うのも発起人となります。
発起人の責任
発起人には主に次のような責任があります。
①出資の履行責任
現物出資が行われた場合で、その評価額が定款に記載された金額よりも著しく不足する場合は発起人が不足額を支払わなければなりません。
②損害賠償責任
発起人が会社設立について任務を怠ったことにより会社に生じた損害や、その職務を行うにあたって悪意または重過失があり、第三者に生じた損害を賠償しなければなりません。
③会社不成立の場合の責任
会社が設立できなかったときは、発起人が設立費用を負担しなければなりません。
これらの発起人の責任は、発起人が連帯して負うこととなります。
発起人にはどんな人がなればいいの?
発起人は1人以上いればよいので、これから1人で起業しようとする場合は、その人が発起人になるだけで問題ありません。
複数名での共同経営をする場合は、そのうちの1人のみが発起人になるケースもありますし、全員が発起人になるケースもあります。なお、発起人が複数名いる場合は、1名のときよりも必要書類は増えますし、重要事項も発起人が協議して決めなければなりません。
発起人と会社設立後の株主、取締役とは別々のものですが、通常は密接にリンクしてくるもの。自身が中心となり経営を行いたいという場合でしたら、株式(議決権)の過半数は自分で引き受けて、議決権を確保しておくとよいでしょう。株式(議決権)の3分の2以上を確保しておくと会社にとっても重要事項についても意思決定することができます。
共同経営・共同出資についてはこちらの記事も参考にしてください。
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まとめ
会社設立の際の発起人について解説しました。1人で起業しようとするのであれば、発起人についてそれほど難しく考える必要はありません。ただし、会社設立にあたっては検討しなければならない重要な事項がたくさんあります。発起人だけで検討や手続を進めるのが難しければ、専門家に相談するとよいでしょう。