会社を設立して従業員を雇用すると、自社の福利厚生をどうするか考えることもあるでしょう。今回は福利厚生の種類やメリット・デメリットについて税理士がポイントを解説します。
福利厚生にはどのような種類がある?
福利厚生制度とは、従業員やその家族の福利(幸福と利益)を充実させるため、給料や社会保険など法律で決められたもの以外で、会社が用意する制度のことをいいます。会社によって、福利厚生が充実しているところもあれば、充実していないところもあるでしょう。
せっかく会社を設立するのだから、福利厚生制度を充実させて、従業員に長く働いてもらえるような会社を作りたいと考えられることもあるでしょう。では、福利厚生制度にはどのような種類があるのでしょうか。
例えば、従業員が社員寮や保養所、フィットネスクラブなどの福利厚生施設を利用できるようにするのも福利厚生制度の一つです。
その他にも、家賃補助、社員旅行や社員の飲み会、永年勤続表彰、慶弔見舞金などの支給も考えられます。退職金の支給も、法律で決められているものではありませんから、福利厚生となります。
また、直接お金を支払うものでなくても、特別休暇の付与なども福利厚生となります。会社によっては、家族の誕生日や結婚記念日などの記念日に特別休暇を付与したり、プレゼントを贈呈したりするところもあるようです。
福利厚生制度には様々なものがあります。これまでお勤めされた経験があるのであれば、そのときご自身が嬉しいと思った制度を、ご自身が設立された会社で導入すると従業員が喜ばれるかもしれません。
福利厚生を充実させるメリット・デメリット
福利厚生を充実させるメリット
福利厚生を充実させる一番大きなメリットとしては、従業員のモチベーションアップに繋がることでしょう。やはり、働きやすい環境を与えてくれる会社で勤務することは、従業員からするとありがたいことなので、モチベーションアップとなり、会社の業績アップにも繋がる可能性があります。また、家族も対象とした福利厚生制度があれば、家族も喜びますし、安心です。
さらに、採用の際も、福利厚生が充実していない会社よりも充実している会社の方が有利になると考えられますし、従業員の離職率の低下にも繋がるでしょう。採用もコストがかかりますし、経験値を積んだ従業員が退職すると会社に与える影響も大きいです。そのような採用コスト・退職に伴うコストを考えると、福利厚生に多少コストをかけたとしてもメリットが出てくる可能性もあります。
福利厚生を充実させるデメリット
一方、福利厚生を充実させるデメリットとしては、主に次の2つが挙げられます。
デメリットの一つ目は福利厚生にはコストがかかることです。
やはりどんな制度でも何らかのコストはかかるもの。特別休暇だったらコストはかからない、と一見考えられるかもしれませんが、実際には休暇中の給料を支払うことになるのでコストがかかっています。
もう一つのデメリットは、一度導入すると簡単にやめることができないこと、です。新しく入社する人は、その福利厚生制度があることを知って入社してきているかもしれません。それなのに簡単に廃止してしまうと、会社への信頼が失われることになってしまいます。
制度を導入する際は長期間維持できるかどうかも考えて、慎重に行う必要があるでしょう。従業員にも満足してもらえる良い会社を作りたいという思いはあるかもしれませんが、よいと思った制度をあれもこれも導入するのではなく、コストを抑えながら、できることを積み重ねていくことがよいでしょう。
福利厚生は節税にもなる!?福利厚生費の会計処理
福利厚生の多くはコストがかかるものです。その際にかかったコストは、通常は会社の必要経費となるものです。会社の必要経費となれば、その分だけ税金が少なくなります。
安定して利益が計上される会社であれば、福利厚生にコストをかけて、従業員のモチベーションアップを図りながら、節税を図ることができるようになります。
なお、福利厚生に使ったお金は、「福利厚生費」などの勘定科目(費用)で計上することとなります。仕訳を計上する際は消費税区分に注意するようにしましょう。例えば、慶弔見舞金などは消費税がかからない取引ですから、「不課税取引」や「消費税対象外取引」に区分する必要があります。
まとめ
福利厚生制度について解説しました。福利厚生が充実している会社は魅力的ですが、充実させるにはそれだけのコストがかかります。一度導入して、すぐに廃止すると、従業員からの信頼を失う可能性もあります。会社が大きくなって安定するまでは、あれもこれも導入するのではなく、コストを抑えながら、できることを積み重ねていくのがよいでしょう。