これから会社を設立するなら会社の事業目的を決める必要があります。この事業目的とはどのようなものなのでしょうか?決めるときの注意点はあるのでしょうか?今回は会社の事業目的について解説します。
会社の事業目的とは?
会社の事業目的とは?
会社の定款には「事業目的」を記載しなければなりません。また、会社の事業目的は登記簿にも記載されることになります。
この事業目的というのは、簡単に言うと、会社がこれから行う事業活動の種類のことです。株主や債権者、取引先といった会社の利害関係者は、会社の事業目的を見ることによって、会社がどんな会社かを知ることができるのです。そのため、会社は、定款に定められた「事業目的」の範囲内でしか、事業をすることができません。
事業目的の範囲外の取引をした際に刑事罰や行政罰はありませんが、会社や役員の責任が追求される可能性もありますので、注意しましょう。
事業目的はどんなものでもいいの?
事業目的は広く多様なものが認められますが、「適法性」「営利性」「明確性」の3つの要件を満たすものでなければなりません。
「適法性」・・・例えば、麻薬の売買や殺人など違法行為を事業目的とすることはできません。
「営利性」・・・会社は営利目的で設立するものなので、非営利のもの(例えば、ボランティア活動など)を事業目的とすることはできません。
「明確性」・・・事業目的は一般の人でも理解できる明確なものでなければなりません。
なお、事業目的の数に制限はありませんので、何個でも記載しておくことができます。
事業目的を決めるときの注意点
事業目的を決める際には次のような点に注意しましょう。
同業他社の事業目的を参考にする
事業目的を決める際には同業他社の参考にするとよいでしょう。事業目的は、3つの要件を満たしていればある程度自由に決めることができますが、公証人や法務局でもチェックされ、適切な文言でなければ修正を求められることもあります。同業他社が広く使用している文言であればそのようなことにはならないでしょう。
許認可に適合している文言を使う
特に許認可が必要となる業種については注意が必要です。許認可の審査の際に定款の事業目的が確認されますが、許認可の要件で求められているとおりの事業目的となっていなければ許認可が取得できないこともあります。そうなると、事業目的を変更する手続きをしてから、再度許認可申請をしなければならないこととなり、事業の開始が遅れることになってしまいます。ky
許認可が必要な業種の場合は、事前にしっかりと事業目的を確認しておくようにしましょう。許認可を申請する官公庁に事前に確認しておくとよいでしょう。
将来行う予定の事業も含めておく
事業目的を変更するには、定款変更をした上で、登記変更の手続が必要となります。変更の手続には時間もかかりますし、登記変更にあたっては登記費用もかかります。
事業目的は現在行っている事業に限られませんので、将来行う予定の事業も先に含めておくとよいでしょう。
特に小規模なベンチャー企業を設立する場合には、事業を開始してからの業界動向などによって、事業内容を変更することもあるでしょうから、あまり絞り過ぎずに、定款の事業目的は幅広く記載しておくとよいでしょう。
最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」の一文を挿入
事業目的の最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」といった一文を挿入しておくとよいでしょう。ほとんどのケースで事業目的にこの一文が挿入されています。これがあることにより、柔軟に事業目的を解釈する余地を持たせることができます。
まとめ
会社設立時に決めなければならない事業目的について、その意味や注意点を解説しました。難しく考える必要はありませんが、会社にとっては重要な事項ですので、しっかりと理解してから決めるようにしましょう。