消費税軽減税率制度

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消費税軽減税率の簡易課税制度への影響

2019年10月1日より消費税率が10%に引き上げられ、それと同時に軽減税率制度が導入されました。この軽減税率制度は簡易課税を適用している事業者にも影響があります。今回は簡易課税を適用している場合の変更点について税理士がポイントを解説します。

 

1.簡易課税制度のみなし仕入率の変更

消費税の軽減税率制度の実施に伴い、2019年10月1日から、食用の農林水産物の販売に係る事業のみなし仕入率が70%から80%に変更されます。

変更後の簡易課税のみなし仕入率は次のようになります。

業種 2019年10月から
卸売業 90%(第一種)
小売業 80%(第二種)
農林水産業(食用)
農林水産業(非食用) 70%(第三種)
鉱業・建設業・製造業
料理飲食業等 60%(第四種)
金融業及び保険業 50%(第五種)
運輸・通信業
サービス業
不動産業 40%(第六種)

 

(関連記事)
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2.簡易課税制度を適用する場合の売上税額計算の特例

軽減売上割合の特例を使うことができる

簡易課税では、課税売上をもとに消費税を計算します。軽減税率制度の導入後は、この課税売上について、標準税率と軽減税率に区分して計算しなければなりません。
しかし、標準税率と軽減税率に分けて売上税額計算をすることが困難な中小事業者は、売上税額計算の特例を利用することができます。簡易課税制度選択を適用する場合でも、「軽減売上割合の特例」を用いることができます。

軽減売上割合の特例とは、標準税率と軽減税率の区分計算を簡易的に行う方法です。
まず、その課税期間中の通常の連続する10営業日について、標準税率の売上と軽減税率の売上を区分して集計し、軽減売上割合(課税売上全体に占める軽減税率対象品目の売上の割合)を計算します。そして、この軽減売上割合を使って、課税期間における消費税の計算を行います。

この方法を使えば、任意に10営業日だけ標準税率の売上と軽減税率の売上を区分して集計しておけば、残りの期間は区分して集計する必要がありませんので、事務負担は少なくてすみます。

この特例を利用できるのは「区分ごとの売上税額計算が困難な中小事業者」とされていますが、困難な程度は問われていません。そのため、本人が困難と考えているかどうか、によることとなります。

 

軽減売上割合の特例も困難なときは軽減売上割合を50/100とすることも可能

なお、連続する10営業日の区分毎の集計も困難な中小事業者で、主として軽減税率対象品目の譲渡等を行う事業者は、軽減売上割合を 50/100 として、消費税の計算をすることができます。この方法を適用すれば、これまでどおり課税売上を集計するだけで消費税の計算をすることができます。しかし、適用できるのは主として軽減税率対象品目を取扱う事業者であり、軽減売上割合を50/100で計算すると、実際よりも消費税が多くなる可能性がありますので、注意しましょう。

 

3.簡易課税制度の届出の特例

簡易課税制度の適用を受けるためには、適用を受けようとする日の課税期間の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。

この提出期限に特例が設けられ、次の事業者については、2019年10月1日から2020年9月30日までの日の属する課税期間については、「簡易課税制度選択届出書」を提出した課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

 

簡易課税制度の届出の特例の適用を受けることができる事業者

課税仕入れを標準税率・軽減税率の税率ごとに区分して合計することが困難な中小事業者

困難かどうかについては、明確な基準が設けられていないため、あくまで自身で判断することとなります。

 

例えば、3月決算法人で事業者の要件に該当する場合には、2019年4月1日から2020年3月31日までの課税期間(2020年3月期)について、2019年3月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出しなかったとしても、2020年3月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、2020年3月期から簡易課税を適用することができます。

 

まとめ

今回は簡易課税を適用している場合の消費税軽減税率制度の影響について解説しました。簡易課税制度の届出の特例は、1年限りで、区分が困難な事業者に限定されていますが、事前の届出がなくても当課税期間から簡易課税制度を適用することができますので、忘れないようにしておきましょう。

消費税軽減税率制度への対応 メニュー・料金表の表示は?

消費者に商品の販売等をする場合、その料金は税込価格で表示することが義務付けられています。では、複数税率と軽減税率の双方を取り扱う事業者の場合、どのように価格を表示すればよいのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

原則は「税込表示(総額表示)」しなければならない

消費税の総額表示義務とは?

消費者に対して商品の販売やサービスの提供を行う事業者は、原則として、消費税額(地方消費税額を含む)を含めた金額で値札やチラシなどに料金を表示しなければなりません(総額表示義務)。

 

次のように表示することが「総額表示」となります。

110円(税込)
110円(税抜価格100円)
110円(うち消費税額等10円)
110円(本体100円、消費税額等10円)

つまり、『110円』を必ず入れておかなければならない、ということですね。

税抜価格が表示されていると、消費者は自分で消費税額を計算しなければ消費税額も含めた支払総額を把握することができませんよね。それに、お店によって、税抜表示か税込表示かが統一されていないと価格の比較をすることも困難です。そのために、消費税は総額表示することが義務付けられています。

 

消費税の総額表示義務の特例

ただし、2021年3月31日までの間は、表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じている場合に限って、税抜価格を表示してもよいこととされています。

これは、2014年4月、2019年10月の2度にわたる消費税率の引上げの際の値札の張り替え等の事務負担に配慮した特例です。

「税込価格であると誤認されないための措置」には、例えば、次のような方法が考えられます。

①値札やチラシ等に次のように表示すること

100円(税抜価格)
100円(本体)
100円+税 など

 

②値札等は税抜価格で表示し、店内に別途「税抜価格であること」を明瞭に掲示すること

 

 

軽減税率と標準税率のどちらも扱う事象者はどうなる?

2019年10月1日以降は消費税の複数税率制度が導入され、8%の軽減税率と10%の標準税率の複数税率となります。軽減税率対象と標準税率対象のどちらも取扱う事業者はどのように表示すればよいのでしょうか。

①両方の税込価格を表示する方法

両方の税込価格を表示しておけば何の問題もありませんね。

例えば、次のような表示が考えられます。

(『消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について』より引用)

テイクアウト等(軽減税率)とイートイン(標準税率)が同程度の割合で利用される場合は、両方の税込価格が表示されている方が、消費者にとっての利便性は高いと言えます。

 

②どちらか片方の税込価格を表示する方法

事業者の判断により、どちらか片方の税込価格を表示することも認められています。例えば、テイクアウト等(軽減税率)とイートイン(標準税率)のいずれかの利用割合が高い場合に、その利用割合が高い方の税込価格を表示する場合が考えられます。

次のような表示です。

(『消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について』より引用)

イートインよりも低くなるテイクアウト等の税込価格のみを表示する場合は、イートインで利用する消費者が実施の価格よりも安いと誤認しないようにしなければなりません。利用方法が異なる場合には、別の税込価格となるという注意喚起を表示するようにしましょう。

なお、イートインスペースのある小売店等が顧客の意思確認のために「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」と掲示している場合などでは、意思確認の掲示と併せて「異なる税率が適用される旨」を掲示することができます。

 

③税込価格を統一する方法

テイクアウト等の場合の税抜価格を上げる、あるいは、イートインの場合の税抜価格を下げることにより、税込価格を統一することが考えられます。

例えば、次のように価格設定することが考えられます。

テイクアウト等 税込価格110円(税抜価格102円、消費税額8円)
イートイン   税込価格110円(税抜価格100円、消費税額10円)

 

事業者がどのような価格設定をするかは任意ですから、このような方法も認められています。

テイクアウト等の税抜価格を上げる場合には、配送料や容器包装等のコストを上乗せすることが考えられます。また、イートインの税抜価格を下げる場合には、イートインの需要を喚起するために値下げすることが考えられます。

従業員教育の簡素化を図ったり、お客様にわかりやすくするためには、この税込価格を統一する方法が最もよいのではないでしょうか。

なお、イートインの場合の税抜価格を下げる場合であっても、「消費税は8%しか頂きません。」というような表示は、事実ではないため、禁止されています。

(関連記事)消費税率引上げと軽減税率制度の導入に備えよう!

 

まとめ

消費税の複数税率制度が導入された場合の価格の表示方法について解説しました。解説したようにいくつかの方法が考えられます。トラブル等を防止するためにも、その中から、消費者に一番よいと思われる方法を選択する必要があるでしょう。

 

 

消費税率引上げと軽減税率制度の導入に備えよう!

2019年10月1日の消費税の10%への引上げと同時に軽減税率制度が実施されます。消費税の軽減税率制度が導入されると、とても大きな影響があります。制度の概要を知って、導入に備えましょう!

 

消費税率はどうなる?

消費税率はどうなる?

2019年10月1日から消費税の原則的な税率は10%となります。
なお、軽減税率制度(複数税率制度)が導入され、『酒類、外食を除く飲食料品』と『週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)』は、8%の軽減税率が適用されることとなります。

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(関連記事)消費税軽減税率制度の対象となる「飲食料品」とは?

 

 

外食かどうかの判断はどうする?

外食にあたる事例、あたらない事例を見てみましょう。

(政府広報オンライン ホームページより)

 

では、店内で飲食(イートイン)もできるし、持ち帰り販売(テイクアウト)もできる場合は、どうなるのでしょうか?このような場合に、軽減税率が適用されるかどうかの判定は、飲食料品を提供する時点で意思確認等の方法によって行われます。

店内での飲食となるは「店内に飲食設備(テーブル、椅子、カウンター等)がある場合」に限られます。

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで、店内にイートインコーナーが設けられている場合などでは、販売時に意思確認が必要となります。なお、例えば、コンビニエンスストアなど持ち帰りが大半であるような場合は、毎回、お客様に質問をしなくても、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして意思確認をすることも認められています。

 

 

軽減税率制度はどのような影響がある?

飲食料品や新聞を取扱う事業者にはとても大きな影響があります。

例えば、弁当販売も行う飲食店であれば、次のようになります。

課税売上も課税仕入も、標準税率と軽減税率が入り混じり、とても複雑になります。

そうでない事業者も、新聞の購読や会議用の茶菓の購入などは軽減税率の対象となるため、税率に応じて会計処理することが求められます。また、軽減税率制度の導入に伴って「適格請求書保存方式(インボイス制度)」という新しいルールが導入されることとなるため、この新しいルールへの対応が求められます。

(関連記事)消費税軽減税率制度の導入で請求書の記載が変わる!

(関連記事)消費税軽減税率制度への対応 メニュー・料金表の表示は?

 

軽減税率制度で日々の経理業務はどう変わる?

軽減税率に対応するため、日々の経理業務で次のような対応が必要となります。

①日々の業務のうち軽減税率が関係する事項を確認する。

②軽減税率対象品目の売上や仕入(経費)がないかを確認する。

③(区分記載請求書等保存方式の場合)受領した請求書等へ記載項目が不足していれば、追加記入する。

④売上と仕入(経費)を税率ごとに区分して帳簿等に記帳する。

⑤必要事項を記載した請求書等を得意先に交付できるようにする。必要に応じて、複数税率に対応したレジを導入・改修する。

なお、中小企業・小規模事業者等が、複数税率に対応するためにレジやシステムの導入・改修をする際は「軽減税率対策補助金」により、経費の一部補助を受けることができます。

(関連記事)軽減税率対策補助金を使って消費税軽減税率制度に対応しよう!

 

 

軽減税率制度実施後は消費税の計算方法も変わる!

軽減税率制度実施後の消費税の計算は、売上と仕入についてそれぞれ税率ごとに区分して税額計算を行う必要があります。

なお、売上や仕入を税率ごとに区分することが困難な中小事業者については、軽減税率制度実施後の一定期間、簡便な方法により消費税の計算を行うことが認められています。

 

 

まとめ

消費税軽減税率制度の基本について解説しました。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、飲食業など軽減税率が直接関係してくる事業者は早く準備しておかなければなりません。そうでない事業者であっても、軽減税率対象かどうか、今後導入されるインボイス制度などについては知っておきましょう。

みんなの会計事務所発行『TAX NEWSLETTER』2019年夏号でも解説しています。ご希望の方は、お問い合わせページより「ニュースレター希望」と明記の上、お申込みください。

 

消費税軽減税率制度の導入で請求書の記載が変わる!

2019年10月より消費税率10%への引上げと併せて、消費税軽減税率制度が導入されます。

この消費税軽減税率制度が導入されると、請求書の記載も変わるということをご存じでしょうか?今回は消費税軽減税率制度導入後の請求書の記載について解説します。

 

2023年9月30日までは区分記載請求書等保存方式

2019年10月1日から2023年9月30日までは「区分記載請求書等保存方式」と呼ばれる制度が導入されます。消費税の課税事業者が、仕入税額控除の適用を受けるためには、区分経理に対応した帳簿と区分記載請求書等の保存が必要となります。

 

この区分記載請求書には、現在の請求書への記載事項に加えて、①軽減税率の対象品目である旨と②税率ごとに合計した対価の額を記載します。

ただし、取引先から①や②の記載がない請求書等を受け取った場合でも、受け取った事業者が①や②の情報を追記すればよいこととされています。

 

2023年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)

2023年10月1日以降は、区分記載請求書ではなく、適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件となります。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入後は、適格請求書の発行事業者として登録された事業者が発行する適格請求書(インボイス)を保存しておくことが要件となります。

(1)適格請求書発行事業者の登録はどうすればよい?

適格請求書を交付できるのは、税務署長に対して「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受けた適格請求書発行事業者です。適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入後は、適格請求書に登録番号を記載しなければなりません。登録を受けていないと、取引先が仕入税額控除の適用を受けることができなくなるため、ほとんどの事業者は登録を受けなければならないこととなります。

この登録は消費税の課税事業者しか受けることができません。免税事業者は登録を受けることができないため、登録を受けるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者とならなければなりません。

なお、適格請求書発行事業者の登録申請の受付は2021年10月1日から開始されます。

 

(2)請求書の記載事項はどうなる?

適格請求書(インボイス)とは、適用する税率、税額など決められた項目が記載されている請求書のことをいい、これまでよりも請求書に記載する項目が多くなっています。

これまでの請求書では、消費税を商品毎に区分して記載せずに、税込の合計金額が記載しても問題ありません。しかし、軽減税率制度が導入により複数税率となると、取引明細ごとに適用税率や税額がわからないと正確に仕入税額控除することができません。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入は、取引明細ごとの消費税を正確に把握できるようにして、正しい消費税の計算が行うことができるようにすることが目的とされています。

適格請求書発行事業者は、請求書等に次の事項を記載する必要があります。

①発行者の氏名または名称

②取引年月日

③取引内容

④取引の相手方(受領者)の氏名または名称

⑤適格請求書発行事業者の登録番号

⑥軽減税率の対象品目である旨(「※」印等をつけることにより明記)

⑦税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率

⑧税率ごとに区分して合計した消費税額等

 

<適格請求書(インボイス)のイメージ>

原則として、事業者は上記のすべての項目が記載された適格請求書を発行しなければなりません。しかし、小売業、飲食業、タクシー業等の場合は、不特定多数の人に対して販売等するため、取引の相手方を都度、記載することが困難です。そのような一定の事業者については、取引の相手方の氏名等を省略した「適格簡易請求書」を発行することが認められています。

 

(3)免税事業者等からの仕入れは仕入税額控除できなくなる

適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されると、免税事業者や消費者などの適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについては仕入税額控除することができなくなります。

ただし、仕入税額控除が一切できなくなるのは、2029年10月1日からで、それまでの間は経過措置により一定割合を仕入税額控除することができます。この一定割合は段階的に縮小されます。

<免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置>

期間 割合
2023/10/1~2026/9/30 仕入税額相当額の80%
2026/10/1~2029/9/30 仕入税額相当額の50%
2029/10/1~ 仕入税額控除できない

 

(関連記事)消費税率引上げと軽減税率制度に備えよう!

 

まとめ

消費税軽減制度の導入と適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入により、消費税に関する事務負担が大きく増加する可能性があります。消費税に関する事務は会社のお金にかかわる重要な事務です。間違って消費税を計算しないためにも、制度を理解し、事前にしっかりと準備をしておきましょう。システム改修が必要なときは軽減税率対策補助金の活用も検討してみましょう。

 

消費税軽減税率制度の対象となる「飲食料品」とは?

2019年10月1日以降、消費税の軽減税率制度が導入され、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となります。今回は消費税軽減税率制度の対象となる「飲食料品」について解説します。

 

消費税の軽減税率制度の概要

2019年10月1日以降、消費税の軽減税率制度が導入され、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となります。この軽減税率の対象は、①酒類を除く飲食料品と②週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)とされています。ただし、①の「飲食料品」には、いわゆる「外食」や「ケータリング」は含まれません。

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そもそも飲食料品って何?

消費税軽減税率の対象となる「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く。)をいいます。

ここでの「食品」は、人の飲用又は食用に供されるものをいい、それ以外の用途で販売されるもの(工業用の塩など)は該当しません。

なお、食品表示法に規定する「食品」とは、全ての飲食物をいい「医薬品」や「医薬部外品」等は除かれ、食品衛生法に規定する「添加物」は含まれます。

ただし、軽減税率の対象となる「飲食料品」には、「外食」や「ケータリング」は含まれません。

 

軽減税率の対象とならない外食とは?

外食とは、飲食店業等を営む者がテーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備(飲食設備)のある場所で、飲食料品を飲食させる役務の提供をいい、例えば、レストランやフードコートでの食事の提供があります。

なお、飲食店業等を営む者とは、食品衛生法施行令に規定する飲食店営業、喫茶店営業その他の飲食料品をその場で飲食させる事業を営む者をいい、飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させる役務の提供を行う全ての事業者が該当します

(政府広報オンライン ホームページより)

 

持ち帰り販売をしている飲食店の場合

「テイクアウト」や「持ち帰り販売」は、単なる飲食料品の販売として、軽減税率が適用されます。

なお、店内飲食と持ち帰り販売の両方を行っている飲食店等は、その飲食料品を提供する時点で、「店内飲食」(標準税率)か「持ち帰り販売」(軽減税率)かを、顧客に意思確認をするなどの方法によって判定する必要があります。

 

軽減税率の対象とならないケータリングとは?

ケータリングは軽減税率対象ではありません。

ケータリングとは、相手方が指定した場所で、飲食料品の提供を行う事業者が、調理、盛り付け、食器の配膳、取り分け用の食器等を飲食に適する状況に配置するなどの役務を伴って飲食料品の提供をすることをいいます。

ただし、有料老人ホームで一定の入居者に対して行う飲食料品の提供など一定のものについては軽減税率の対象となります。

 

食品と食品以外の資産が一体となっている資産は?

では、食品と食品以外の資産が一体となっている場合はどうなるのでしょうか?例えば、おまけ付きお菓子などが挙げられます。

この食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産については、その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているもののうち、税抜価額が1万円以下で、食品に係る部分の価額の占める割合が2/3以上のものに限り、全体が軽減税率の対象となります。

 

まとめ

消費税軽減税率制度の対象となる「飲食料品」について解説しました。この他にも、国税庁が公表するQ&Aで、細かいルールが定められています。飲食料品を取り扱う事業者であれば、必ず理解しておく必要があるでしょう。

軽減税率対策補助金を使って消費税軽減税率制度に対応しよう!

2019年10月1日から消費税率の引上げに伴って、消費税の軽減税率制度が導入されます。事業者は、複数税率に対応できるレジの導入やシステム改修が必要となりますが、そのためには費用がかかります。しかし、軽減税率対策補助金を使えば、軽減税率制度への対応のための費用の補助を受けることができます。

 

軽減税率対策補助金とは?

軽減税率対策補助金とは、消費税軽減税率制度への対応が必要な中小企業・小規模事業者等が、複数税率対応レジの導入や受発注システム・請求書管理システムの改修等を行う際に、その経費の一部について補助を受けることができる制度です。消費税の軽減税率制度への対応が円滑に進むよう支援するために設けられています。

この軽減税率対策補助金の対象となる経費には、次の3つのパターンがあります。

A型:複数税率対応レジの導入等にかかる経費

B型:受発注システムの改修等にかかる経費

C型:請求書管理システムの改修等にかかる経費

 

それぞれの類型によって、事前申請または事後申請が必要となり、期限もありますので注意してください。

 

軽減税率対策補助金の補助対象期間

複数税率対応レジおよびレジシステムの導入又は改修を終え、支払いは、2019年9月30日までに終える必要があります。リースを利用する場合は、リース契約日及びリース開始日が2019年9月3日以前であることが必要です。

また、補助金申請書類の提出は2019年12月16日までに行う必要があります。

なお、補助金の累計によって、事前申請が必要であったり、業者から申請を行うなど期限や要件に違いがありますので、注意してください。

 

軽減税率対策補助金の対象となる中小企業・小規模事業等

軽減税率対策補助金の対象は、中小企業支援法に規定する中小企業者です。

中小企業支援法に規定する中小企業者とは、次に該当する個人または会社のことをいいます。

①製造業または②~④以外の業種(※ゴム製品製造業は別基準) 資本金、出資の総額が3億円以下
または 従業員数が300人以下
②卸売業 資本金、出資の総額が1億円以下
または 従業員数が100人以下
③小売業 資本金、出資の総額が5千万円以下
または 従業員数が50人以下
④サービス業 資本金、出資の総額が5千万円以下
または 従業員数が100人以下

業種は主たる事業で判定し、上記以外にも一定の組合・連合会等が対象となります。

ただし、大企業の子会社など、みなし大企業に該当する場合は補助対象外となります。

みなし大企業とは次のいずれかに該当するものをいいます。
① 発行済株式の総数または出資価格の総額の1/2以上を同一の大企業が所有している中小企業者
② 発行済株式の総数または出資価格の総額の2/3以上を大企業が所有している中小企業者
③ 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上を占めている中小企業者

 

軽減税率対策補助金の3つの申請類型

軽減税率対策補助金には、A型(複数税率対応レジの導入等支援)・B型(受発注システムの改修等支援)・C型(請求書等管理システムの改修等支援)の3つの申請類型があり、申請類型によって補助される金額や適用を受けるための要件が異なります。

A型(複数対応レジの導入等支援)

A型(複数対応レジの導入等支援)には、A-1型 レジ・導入型、A-2型 レジ・回収型、A-3型 モバイルPOSレジシステム、A-4型 POSレジシステムの4つの類型があります。

A型の補助率は、原則として2/3(3万円未満の機器を1台だけ導入する場合3/4、タブレット等の汎用端末1/2)で、補助上限額はレジ1台あたり20万円(加算あり)・1事業者あたり200万円となります。

このA型の補助対象となる主な経費は。レジ本体、レジ付属機器、機器設置費用、商品マスタの設定費用です。

 

B型(受発注システムの改修等支援)

B型(受発注システムの改修等支援)には、B-1型 受発注システム・指定事業者改修型、B-2型 受発注システム・自己導入型の2つの類型があります。

B型の補助率は原則として2/3で、補助上限額は小売事業者等の発注システム1,000万円(卸売事業者等は150万円、受注・発注両方の改修・入替が必要な場合1,000万円)となります。

このB型の補助対象となる主な経費は、データのフォーマットやコード等の改修、複数税率に対応したシステムへの入替、商品マスタ・発注・購買管理・受注管理機能のうち、複数税率対応に伴い必要となる改修や入替などです。

 

C型(請求書等管理システムの改修等支援)

C型(請求書等管理システムの改修等支援)には、C-1型 請求書管理システム指定事業者改修・導入型、C-2型 請求書管理システムソフトウェア自己導入型、C-3型 請求書管理システム事務機器改修・導入型の3つの類型があります。

C型の補助率は、改修作業費やソフトウェアが3/4で、ハードウェアは1/2、補助上限額は1事業者あたり150万円です。

このC型の補助対象となる主な経費は、改修作業費、付帯費用、ソフトウェア、ハードウェアです。

なお、B型とC型の両方の補助金を申請することもできます。

(関連記事)消費税率引上げと軽減税率制度に備えよう!

 

まとめ

軽減税率対策補助金について解説しました。期限を過ぎると補助金を受けることができませんし、申請要件や申請方法が細かく決められていますので、軽減税率対策補助金のホームページもしっかりと確認してください。消費税の軽減税率制度の対応のためにはお金もかかりますが、補助金を使えば、負担も軽減されます。軽減税率対策が必要となる中小事業者の方は必ず活用しましょう。

 

 

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