消費税軽減税率の簡易課税制度への影響

2019年10月1日より消費税率が10%に引き上げられ、それと同時に軽減税率制度が導入されました。この軽減税率制度は簡易課税を適用している事業者にも影響があります。今回は簡易課税を適用している場合の変更点について税理士が … 続きを読む 消費税軽減税率の簡易課税制度への影響

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2019年10月1日より消費税率が10%に引き上げられ、それと同時に軽減税率制度が導入されました。この軽減税率制度は簡易課税を適用している事業者にも影響があります。今回は簡易課税を適用している場合の変更点について税理士がポイントを解説します。

 

1.簡易課税制度のみなし仕入率の変更

消費税の軽減税率制度の実施に伴い、2019年10月1日から、食用の農林水産物の販売に係る事業のみなし仕入率が70%から80%に変更されます。

変更後の簡易課税のみなし仕入率は次のようになります。

業種 2019年10月から
卸売業 90%(第一種)
小売業 80%(第二種)
農林水産業(食用)
農林水産業(非食用) 70%(第三種)
鉱業・建設業・製造業
料理飲食業等 60%(第四種)
金融業及び保険業 50%(第五種)
運輸・通信業
サービス業
不動産業 40%(第六種)

 

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2.簡易課税制度を適用する場合の売上税額計算の特例

軽減売上割合の特例を使うことができる

簡易課税では、課税売上をもとに消費税を計算します。軽減税率制度の導入後は、この課税売上について、標準税率と軽減税率に区分して計算しなければなりません。
しかし、標準税率と軽減税率に分けて売上税額計算をすることが困難な中小事業者は、売上税額計算の特例を利用することができます。簡易課税制度選択を適用する場合でも、「軽減売上割合の特例」を用いることができます。

軽減売上割合の特例とは、標準税率と軽減税率の区分計算を簡易的に行う方法です。
まず、その課税期間中の通常の連続する10営業日について、標準税率の売上と軽減税率の売上を区分して集計し、軽減売上割合(課税売上全体に占める軽減税率対象品目の売上の割合)を計算します。そして、この軽減売上割合を使って、課税期間における消費税の計算を行います。

この方法を使えば、任意に10営業日だけ標準税率の売上と軽減税率の売上を区分して集計しておけば、残りの期間は区分して集計する必要がありませんので、事務負担は少なくてすみます。

この特例を利用できるのは「区分ごとの売上税額計算が困難な中小事業者」とされていますが、困難な程度は問われていません。そのため、本人が困難と考えているかどうか、によることとなります。

 

軽減売上割合の特例も困難なときは軽減売上割合を50/100とすることも可能

なお、連続する10営業日の区分毎の集計も困難な中小事業者で、主として軽減税率対象品目の譲渡等を行う事業者は、軽減売上割合を 50/100 として、消費税の計算をすることができます。この方法を適用すれば、これまでどおり課税売上を集計するだけで消費税の計算をすることができます。しかし、適用できるのは主として軽減税率対象品目を取扱う事業者であり、軽減売上割合を50/100で計算すると、実際よりも消費税が多くなる可能性がありますので、注意しましょう。

 

3.簡易課税制度の届出の特例

簡易課税制度の適用を受けるためには、適用を受けようとする日の課税期間の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。

この提出期限に特例が設けられ、次の事業者については、2019年10月1日から2020年9月30日までの日の属する課税期間については、「簡易課税制度選択届出書」を提出した課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

 

簡易課税制度の届出の特例の適用を受けることができる事業者

課税仕入れを標準税率・軽減税率の税率ごとに区分して合計することが困難な中小事業者

困難かどうかについては、明確な基準が設けられていないため、あくまで自身で判断することとなります。

 

例えば、3月決算法人で事業者の要件に該当する場合には、2019年4月1日から2020年3月31日までの課税期間(2020年3月期)について、2019年3月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出しなかったとしても、2020年3月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、2020年3月期から簡易課税を適用することができます。

 

まとめ

今回は簡易課税を適用している場合の消費税軽減税率制度の影響について解説しました。簡易課税制度の届出の特例は、1年限りで、区分が困難な事業者に限定されていますが、事前の届出がなくても当課税期間から簡易課税制度を適用することができますので、忘れないようにしておきましょう。