中小企業者等が、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画を作成し、認定を受けておくと、金融支援や税制優遇を受けることができます。今回は経営力向上計画や作成するメリットについて税理士がポイントを解説します。
経営力向上計画とは?作成するメリットは?
経営力向上計画は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など会社の経営力を向上させるための取組をまとめた書類のことをいいます。
事業計画書とよく似ていますが、中小企業等経営強化法という法律に基づいて作成するもので、作成すると金融支援や税制上の優遇措置の適用を受けることができる点が異なります。
法律に基づくものですので、書類の様式が決まっています。また、単に作成するだけではなく、国(管轄の大臣)の認定を受けておかなければなりません。とはいっても、枚数も少ないですし、記載例もありますので、それほど難しいものではありません。また、経営力向上計画の作成や申請にあたって認定経営革新等支援機関のサポートを受けることもできます。
この制度の対象となるのは「中小企業者等」には資本金や従業員数の規模の制限があります。
①会社・個人事業主・医療法人等
資本金10億円以下 または 従業員数2,000人以下 ②社会福祉法人・特定非営利活動法人 従業員数2,000人以下 |
経営力向上計画の作成方法。認定を受けるまでの流れ
経営力向上計画の作成から認定を受けるまでの流れは次のとおりです。
1.事業分野別指針の確認
経営力向上計画は、事業分野ごとに定められた「事業分野別指針」を踏まえて策定する必要があります。
まず、「日本標準産業分類」で該当する事業分野を確認し、中小企業庁ホームページで公表されている「事業分野別指針」を確認しなければなりません。「事業分野別指針」が策定されていない事業分野については「基本方針」を踏まえて経営力向上計画を策定します。
2.経営力向上計画申請書の作成
中小企業庁ホームページで公表されている「経営力向上計画申請書」を入手し、必要事項を入力していきます。
経営力向上計画申請書には次の事項を記載します。
①企業の概要 ②現状認識 ③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標 ④経営力向上の内容 ⑤事業承継等の時期及び内容 など |
3.主務大臣への経営計画書の提出
作成した経営力向上計画申請書に必要書類を添付し、各事業分野の主務大臣に提出します。
認定されると主務大臣から計画認定書と計画申請書の写しが交付されてきます。なお、申請から認定までは30日~45程度かかります。また、書類に不備などがあるともっと日数がかかることもあります。
税制上の優遇措置を受けるときには、原則として、設備を取得する前に認定を受ける必要がありますので、期間には十分余裕をもって提出するようにしましょう。
経営力向上計画の認定を受けたときのメリット
経営力向上計画の認定を受けると、計画を実行するための次のような支援措置を受けることができます。
1.税制上の優遇措置
①認定を受けた経営力向上計画に基づいて、合併や事業承継を通じて不動産を含む事業用資産等を取得し、一定の要件を満たすときには、登録免許税や不動産取得税の軽減を受けることができます。【2020年3月31日まで】
②認定を受けた経営力向上計画に基づいて一定の設備を取得し、一定の要件を満たすときには、法人税(または所得税)について、即時償却か取得価額の10%の税額控除が選択適用できます(中小企業経営強化税制)。【2021年3月31日まで】
2.金融措置
①政策金融機関(日本政策金融公庫や商工中金)から低利融資を受けることができます。
②民間金融機関から融資を受けるとき、信用保証協会による信用保証のうち、通常枠とは別枠での追加保証や保証枠の拡大を受けることができます。
まとめ
経営力向上計画の概要や作成するメリットについて解説しました。中小企業の場合は作っておいて損はありません。ぜひ活用してください。みんなの会計事務所では、経営力向上計画の作成・認定のサポートを行っています。お気軽にご相談ください。