会社法の規定によって、会社は株主名簿を作成する必要があります。この株主名簿とはどういうものなのでしょうか?どのような場面で使われることになるのでしょうか?
株主名簿とは?
会社法の規定によって、会社は株主名簿を作成しなければなりません。では、会社法の規定を見ていましょう。
会社法第121条
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つまり、株主名簿とは、株主の氏名や住所など、株主や株券に関する事項を記載した書類のことをいいます。
株式会社における株主は、会社に対して様々な権利を行使することができるため、「誰が会社の株主であるか」はとても重要な事項です。そのため、会社が株主の管理を行うために株主名簿の作成が義務付けられています。
この「株主名簿」は、会社設立時に官公庁へ提出すると共に、会社の本店で据え置き・管理されます。
また、株式名簿管理人がある場合には、その営業所において、株式名簿の作成、据え置き、管理を行を行います。株主及び債権者は、必要な時に「株主名簿」の閲覧・コピー(謄写)を請求することが出来ます。
株主名簿は誰にでも見せなければならない?
会社設立をした場合、さまざまな場面で株主名簿を見せなければならないことがあります。会社設立をした後、株主名簿を見せるように請求された場合に、必ず見せなければならないのでしょうか?
株主名簿は会社にとって重要な書類ですので、誰にでも見せる必要はありません。閲覧を請求することができるのは、一定の範囲内の人に限られています。
一定の範囲内の人とは、株主名簿に記載されている株主や、当該会社に対して債権を有している者などで、閲覧請求する際は理由を明らかにしなければなりません。特別な関係のない人物から株主名簿の閲覧を請求されても、閲覧させる必要はないのです。
株主や債権者以外の者が株主名簿の閲覧を請求してきたとしても、会社法上の規定上は、株主名簿を閲覧させる必要はありません。しかし、債権者ではなくてもこれから融資を申込みする金融機関から求められることや取引先から求められることもあります。このような場合、会社法の規定上は閲覧させる必要はありませんが、取引を円滑に進めるためには任意で閲覧させることは可能です。
株主名簿を使用する場面
会社設立に当たっては、様々な事務手続きが必要であり、会社設立時に最低限届出の必要なところとして、税務署、県税事務所、市区町村役場があります。会社設立後2か月以内に届出が必要な書類としては「法人設立届出書」がありますが、株式会社を設立した際には、「法人設立届出書」の添付書類として「株主名簿」を作成し提出しなければなりません。
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また、一定の商業登記をする際は、登記申請書に「株主リスト」を添付することが求められています。この「株主リスト」は株主名簿をもとにして作成します。
まとめ
会社設立後は株主数も少ないことが多く、シンプルな株主名簿となります。しかし、その後、相続などがあると、株主が誰かわからなくなる、という事態も起こり得ます。株主名簿は会社法でも求められている書類ですので、必ず作成し、株主に異動があった場合には更新するようにしておきましょう。