これから会社を設立して事業を立ち上げるなら運転資金のことを忘れる訳にはいきません。運転資金とはどういうものなのでしょうか?どれくらい用意すれば大丈夫なのでしょうか?税理士が解説します。
運転資金とは?
運転資金とは、事業を進める上で必要な資金のことをいいます。
会社を運営するにあたっては、様々なコストがかかります。店舗や事務所を借りれば、賃料や光熱費がかかります。従業員を雇っているならお給料や社会保険料を支払わなければいけません。コピー機や電話などのレンタル料や通信費も月々かかっていくものです。物を販売するのであれば、先に商品を仕入れておかなければなりません。先に持ち出しとなるような資金も運転資金です。
このように会社運営に必要な様々なコストを支払うための資金のことを運転資金といいます。
多くのケースで、会社設立後、黒字化するには時間がかかるでしょうから、黒字化するまでの間は、資金の持ち出しが続きます。やがて運転資金が不足すると、仕入もできない、経費も支払えないという状態に陥ります。
運転資金のことをしっかりと考えていないと、黒字化する前に運転資金が尽きて倒産してしまうことも・・・会社を設立したら、こうした運転資金の確保が出来るかが最も重要です。
運転資金の目安は?どれくらいあれば大丈夫?
先ほど説明したように運転資金が不足すると、仕入もできない、経費も支払えないという状態となり、あっという間に会社は機能不全に陥ってしまいます。そのため、余裕をもって運転資金を確保しておくことが重要です。
では、どれくらいの運転資金を確保しておけば大丈夫なのでしょうか?
理想は『毎月の固定費×6か月分』の運転資金を確保しておくことです。
売上がなくても6カ月間固定費を払い続けることができれば、その間に何らかの対策を講じて、ピンチを乗り切ることができるのではないでしょうか?
とはいっても、『毎月の固定費×6か月分』というのはかなりの資金になるでしょうから、中小企業ではその水準で確保することが難しい場合もあるでしょう。
その場合でも、『毎月の固定費×3か月分』の運転資金は見ておきましょう。
運転資金がこれより下回ると、例えば、急に業況が悪化した、クレームが出て売上代金が入ってこない、得意先が倒産して売上代金が入ってこない、など不測の事態が起きると、すぐに運転資金が不足することになるでしょう。
不測の事態があっても、事業を継続できるようにしておくのがリスク管理です。
運転資金を金融機関から借りることはできる?
十分な運転資金が確保できていないと、会社を設立して事業を立ち上げたとしてもすぐに行き詰まるリスクがあります。自身で十分な運転資金を準備できないときは金融機関から借入することもできるのでしょうか?起業前と後ではどちらのタイミングで借りたらいいでしょうか?
日本政策金融公庫の新規開業資金や新創業融資制度など、これから事業を始める方が比較的利用しやすい融資制度もあります。事業内容や将来性に問題がなければ、運転資金を金融機関から借りることは十分可能です。なお、実際に金融機関に対する借入の申し込みは起業後に行うことができます。
いざ起業をして借入できなかったら困る、というような場合は、起業前に金融機関や税理士などの専門家に相談しておくとよいでしょう。
まとめ
運転資金の考え方や目安について解説しました。運転資金を金融機関から借りる際は、借入の申し込みの際に、これまで培ってきた経験および実績を最大限にアピールすることがポイントです。