個人事業主の方が会社設立(法人成り)することも多くあります。会社設立にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
会社設立のメリット
会社設立する大きなメリットは、次の4つ挙げられます。
①個人事業主よりも会社の方が信用力が高い
一般的には、個人事業者よりも会社の方が対外的な信用力は高いと言えます。そのため融資やベンチャーキャピタルからの出資など資金調達の可能性は広がりますし、人材の獲得や取引先の拡大でも会社の方が有利となるでしょう。会社でないと株式上場もできません。
トヨタや楽天のような巨大な事業は会社でないとできないでしょう。
②有限責任となる
個人事業の場合は、事業で借金をすればそれはそのまま個人の借金となり、個人資産を取り崩してでも借金を返済したりしないといけないときもあります。このため、万が一、事業に失敗した場合などは、個人の生活まで制限されてしまうことになりかねません。
しかし、株式会社では、出資者(個人)の責任と会社の責任が切り離されます。例えば、事業に失敗して会社に借金が残ったときや事故を起こして会社が損害賠償請求をされたときでも、個人の出資額は返ってこなくなりますが、それ以上の債務を負うことはありません。
銀行から融資を受けるときに個人保証を求められることもありますし、会社にしたからといって、個人の責任がすべて解放されるわけではありませんが、これは会社を設立する大きなメリットと言えます。
③税金面で有利となるケースがある。
法人税率は所得税の最高税率より低いため、事業から生じる利益によっては税負担が軽くなるケースがあります。また役員報酬について給与所得控除を受けたり、退職金を支給したりすることによって、税負担をさらに軽くすることができる場合もあります。
④事業の承継がスムーズになる。
たとえば、事業主が死亡したときなどの場合、個人事業であれば事業を構成する個々の資産などを個別に譲渡していくこととなります。会社であれば、株式を後継者に譲渡することにより円滑に事業を承継することができます。持株比率を調整することで、会社への関与の度合いを調整することもできます。
会社設立のデメリット
一方で会社設立には次のようなデメリットもあります。
①会社設立費用や設立後の均等割がかかる
設立に要するコストは、株式会社の場合で約25万円、合同会社の場合で約6万円です。
定款の作成や登記などやらなければならない事務手続も多くあります。また設立後には利益があるかどうかに係らず一定の税金(法人住民税の均等割)を支払う必要があります。
(関連記事)法人住民税とは?法人税割と均等割の違い
②経理処理に負担がかかる
経理処理は当然、個人事業主の場合でもやらないといけないものです。しかし、会社の経理処理は個人事業のときよりも煩雑になります。税金の申告をする際も、法人税の申告書の他、事業税・住民税の申告書、法人事業概況説明書、勘定科目内訳明細書を作成しなければなりません。
これらを税理士などに委託するときは、税理士顧問料などのコストがかかることとなります。
③社会保険に加入しなければならない
会社を設立すると、国民年金は厚生年金に、国民健康保険は健康保険に切り替える必要があります。
社長1名であっても、これらの社会保険に加入しなければなりませんし、従業員がいるときは従業員の社会保険料の会社負担分が発生することとなります。
忘れられがちですが、社会保険料の負担はバカになりません。会社設立前に認識するようにしておきましょう。
まとめ
会社設立のメリット・デメリットを解説しました。コストや手間というデメリットはありますが、対外的な信用力が増し、個人とは切り離された会社という存在が認められるということは、会社としてそれだけの責任を負わなければならない、ということです。一方で事業を拡大していく上では、法人成りは必須であるとも言えます。メリット・デメリットをよく考えて、法人成りする適切なタイミングを図りましょう。
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