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税理士が教える!会社の節税方法 18選

会社経営をしていると税金のことを考えない訳にはいきません。しかし、税金はできれば少しでも少なく済ませたいですよね。そのためには税金対策をしっかりと行わなければなりません。今回は税理士が会社でできる16の節税の方法を解説します。

 

税理士が教える!会社の節税方法 18選

 

節税とは、税金のルールに乗っ取って、事前に税金対策を講じて合法的に税金を減らすことをいいます。節税の基本的な考え方は、下記の記事をご覧ください。

(関連記事)会社の節税とは?節税する際の注意点はありますか?

それでは会社でできる税金対策・節税方法を紹介していきます。

 

1.青色申告の特例の活用

青色申告の承認申請を行い、青色申告の特例をフルに活用して節税に繋げるようにしましょう。

(関連記事)青色申告とは?青色申告のメリットは?

 

2.経費の計上漏れの確認

税金を計算するための利益(所得)は、売上等(益金)から仕入や経費(損金)を差し引いて計算します。この損金となるもの(仕入や経費等)が多いほど節税となるので、集計漏れがないかをチェックしましょう。
支払期日が到来していないため実際に支払っていなかったとしても、費用となる原因が発生し、支払わなければならないことが決まっているときは経費とすることができます。

 

3.減価償却を理解して節税を図る

一定の金額を超える備品や車などの資産を購入しても、購入した年に全額が経費になる訳ではありません。減価償却を行い、その備品や車などを使用する期間にわたって、分割して、毎年一部を経費していきます。

①資産を購入するときは中古資産に!

資産を取得したときは、資産の種類ごとに定められている法定耐用年数で減価償却を行い、経費に計上します。
しかし、中古資産を取得したときは、法定耐用年数ではなく、中古資産としての耐用年数で減価償却を行います。この年数は、法定耐用年数より短いため、より短い期間での減価償却が可能となります。

②30万円未満の少額資産の一括経費算入を活用する!

中小企業者等(資本金1億円以下の一定の法人)は、30万円未満の少額資産については購入時に全額経費とすることができます。ただし、年間合計で300万円までという上限があります。これにより、減価償却することなく、取得した年に経費にすることができ、節税に繋がります。

(関連記事)減価償却のルールを理解して節税を図ろう!

 

4.交際費の制度を理解して節税を図る

交際費については損金算入できる金額の上限が決まってるなど、損金算入を制限するルールが設けられています。

ただし、1人あたりの支出額が5,000円以下の社外飲食費については、交際費に含まなくてよいこととされ、損金算入の上限がありません。

(関連記事)接待交際費の法人税法上のルールを理解しよう!

 

5.費用の一括払いをする

家賃やサーバー代など契約に基づいて毎月継続的に支払っているものについて1年分をまとめて支払えば全額経費に計上することができます(短期前払費用の特例)。例えば、年間分をまとめて支払えば、支払った分がすべて経費となります。

(関連記事)短期前払費用の特例とは!?

 

6.使用していない資産を処分する

使用していない資産がある場合、その資産を処分すると除却損を計上できる可能性があります。また、実際に処分しなくても、一定の場合には除却損を計上することができます(有姿除却)。

なお、資産を処分した場合や有姿除却をする場合は、処分したことなどを証明できる書類を残しておくようにしましょう。

 

7.出張手当を支給する

出張がある会社であれば、出張に対して、出張旅費規程等に基づいて、出張手当を支給することができます。この出張手当は、支払った会社側は経費とはなりますが、受け取った役員や従業員も給与として課税されることはありませんので、出張がある会社は必ず実施してください。

(関連記事)出張手当(出張日当)を支払うと節税になる!?

 

8.自宅を社宅扱いにする

役員や従業員に対して社宅を貸与することができます。なお、社宅に入居している役員や従業員からは毎月一定額以上の家賃を受け取っておかなければなりません。一定額の家賃は社宅の規模や固定資産税の課税標準額等に応じて決定されますが、通常は、賃料相場より低くなります。そのため、会社が借りて、役員に安く貸すことでき、その差額の部分を会社の経費にすることができます。

 

9.社員旅行を実施する

従業員の福利厚生等を目的とした社員旅行を実施したときも、経費となります。日頃の従業員の貢献に対して慰労したり、コミュニケーションを深める目的でも実施を検討するとよいでしょう。

なお、社員旅行が経費として認められるためには次の要件を満たしていないといけません。

・4泊5日以内の旅行であること
・全従業員の50%以上が参加していること

 

10.決算賞与を支給する

決算で利益が出そうなので、従業員に還元してあげたい、というときは決算賞与の支給を検討しましょう。決算賞与は、次の要件を満たすときは、実際に支払う前でも経費に計上することができます。

(決算賞与をその期の経費にするときの要件)

・事業年度度終了までに従業員全員に賞与の額を伝えること
・翌事業年度の最初の1ヶ月以内に支給すること
・決算賞与の額を未払金として経費に計上していること

なお、役員に対する賞与は、一定の場合を除き、経費にすることができませんので注意してください。

 

11.役員賞与の支給を検討する

役員賞与は、いつ、いくらの金額を支払うかを事前に税務署に届け出ることで経費にすることができ、節税に繋がります。届出の提出期限は、次のうち、いずれか早い日となります。

・株主総会等の決議があった日から1ヵ月を経過する日まで
・その会計期間開始の日から4ヵ月を経過する日まで

(関連記事)役員報酬を支給するときの法人税法上の注意点

事前届出が必要なため、期末付近に利益が出そうだからといって役員賞与を支給しても経費にはなりません。しかし、予測して、先に届出を提出しておけば、節税になるでしょう。

 

12.即時費用処理できる将来への投資を行う

広告宣伝目的のホームページ制作費用は、原則として、支出時に経費になります。しかし、宣伝効果は翌期以降も出てくるはずです。求人に要した費用なども実際に求人を行ったときに経費となりますが、入社後長期間にわたって戦力として活躍してくれるでしょうから、翌期以降の収益に貢献することになります。利益が出ているときに将来の投資を積極的に行うことで、節税にも繋がり、将来の収益への貢献ともなります。

 

13.貸倒引当金の繰り入れ、貸倒損失の計上

中小法人(資本金1億円以下の一定の法人)は、取引先の倒産などに備えて、期末の債権に一定の率を乗じた金額を貸倒引当金(一括評価債権)として計上することができます。また、回収見込みが低いものとして一定の要件を満たす特定の債権についても貸倒引当金(個別評価債権)を計上することができます。
さらに、債権について、貸倒と認められる一定の事実が生じたときには、貸倒損失を計上することができます。
これらを計上しても債権を回収することができる訳ではありませんが、貸倒引当金繰入や貸倒損失の経費が増えるため節税となります。

 

14.共済・退職金制度への加入

①小規模企業共済への加入

小規模企業のオーナーや個人事業者が事業を廃止した場合に、その後の生活の安定や事業の再建などのための資金をあらかじめ準備するための共済制度(小規模企業共済制度)に加入することができます。毎月1,000円から70,000円の範囲で拠出した掛金が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)できるため、節税しながら資金の準備をすることが可能となります。
この共済は会社ではなく個人で加入するものです。そのため、共済掛金に見合う金額だけ役員報酬を引き上げれば、増額した分だけ法人の経費が増えることとなります。一方で、受け取った個人は共済の控除を受けることができ所得税は変わりません。そのため、節税となります。ただし、社会保険料は変わる可能性があります。

②確定拠出年金への加入

掛金を預貯金や投資信託などで運用し、運用結果に応じて老後に年金を受け取ることができる個人型確定拠出年金に加入することができます。支払った掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となり節税になります。また、将来年金として受け取ることができます。
確定拠出年金も、小規模企業共済と同様に会社ではなく個人で加入するものです。支払額を直接、会社の経費とすることはできませんので、役員報酬を調整するなどして経費に計上することとなります。

③中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)への加入

取引先企業の倒産の影響によって、中小企業等が連鎖倒産することを防止する共済制度(中小企業倒産防止共済制度)に加入することができます。毎月5,000円から200,000円の範囲(合計800万になるまで)で拠出した掛金を経費にすることができます。一定期間経過後に解約した場合、拠出した掛金は返ってきますので、節税を図りながら、外部に積立することができます。この共済は会社で加入することができますので、支払った共済金が経費となります。

(関連記事)経営セーフティ共済とはどんな制度?メリットは?

 

15.生命保険を活用する

①個人で加入している生命保険の見直し

個人で加入している生命保険があれば、法人で加入できないか検討してみましょう。個人の場合の所得税の生命保険料控除は上限がありますが、法人で加入する場合は金額的な上限はありません。個人で生命保険料控除の上限を超える保険料を支払っている場合は、法人で加入し全額経費処理した方が節税に繋がる可能性があります。

②養老保険・逓増定期保険・がん保険等への加入

養老保険・逓増定期保険・がん保険等に加入すると、支払保険料の一部または全部を損金算入することができ、利益を圧縮することができます。ただし、保険金や解約返戻金を受け取ると利益となり課税されます。保険は課税を先に延ばす手段として用いられます。

保険金や解約返戻金を受け取ったときは利益になりますが、解約返戻金が高い保険商品を使うと、役員の退職時に解約することで、その解約返戻金を役員退職金に充当することができます。
このように用いれば、解約返戻金と役員退職金が相殺され、解約時に利益として課税されることはなくなります。

 

16.在庫品や貯蔵品を見直しする

在庫品や貯蔵品で不要なもの、販売できないものがあれば、処分すると、必要経費に入れることができます。処分するなんてもったいないと思うかもしれませんが、売れる可能性が低いのであれば処分して税金を減らすことで少しでもお金を回収し、そのお金で売れるものを仕入すれば事業にプラスになります。

 

17.決算期を変更する

例えば、3月決算の会社で、3月に多額の利益が臨時的に計上されることがあります。こうなると、決算までの期間が短く、十分な対策を行うことができません。このような場合、決算月を前倒し(この場合であれば2月など)すれば、多額の利益が計上される前に決算を迎えることができるようになります。

 

18.特例をフルに活用する

ここまで紹介してきた節税方法以外にも、税制改正で、特定のケースに当てはまったときに減税となる特例が創設されることがあります。例えば、一定の資産を購入したとき、従業員の給与を増やしたとき、従業員の数を増やしたときなどに減税となる制度がこれまで創設されてきました。これらは適用する際の要件が細かく定められていて、期間も区切った上で導入されます。
このような特例が自社で適用できるときは必ず適用しないと損をしてしまいますので、特例の情報をしっかりとキャッチアップしておく必要があります。

 

 

まとめ

会社の節税の方法を解説しました。節税のために税金対策は必須。しかし、税金対策は簡単にすぐにできるものばかりではありません。決算の着地見込みを予測して、事前にしっかりと準備をして、適切なタイミングで税金対策を進めていく必要があります。

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経営セーフティ共済とはどんな制度?メリットは?

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)という制度をご存知でしょうか?節税ができて、いざというときの備えにもなるとてもメリットの大きな制度です。さらに、国の政策を実施する機関である中小機構が運営しているから長期的にも安心でもあります。事業を行っている方は必ず知っておきましょう!

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)とは?

制度の概要

事業を行っていると取引先が倒産し、代金を回収できなくなる可能性もあるでしょう。そんなとき、運転資金が十分でなければ、仕入れ代金なども払えなくなり、連鎖倒産になってしまう恐れもあります。

経営セーフティ共済とは、そのような事態に備えた共済制度です。

この経営セーフティ共済に加入していると、取引先が倒産した場合に、次のいずれか少ない金額について、無利子・無担保・無保証での貸付を受けることができます。

1 これまでに納付した掛金の10倍(最高8,000万円)

2 取引先企業の倒産によって回収困難となった売掛金債権の額のいずれか少ない額

取引先が倒産後、スムーズに借入れすることができるので、いざというときの保障ともなるでしょう。

経営セーフティ共済に加入すると、毎月5,000円~20万円の掛金の支払が必要ですが、この掛金は積み立てられており、将来解約した場合に、解約手当金として受け取ることができます(40ヵ月以上加入すると、掛金の全額が返ってきます。)。この掛金はいつでも変更することができます。

掛金が本当に返ってくるのか心配になりそうですが、この制度は中小機構という国の政策を実施する機関が運営しているので、基本的には安全と考えてよいでしょう。

加入できる人

経営セーフティ共済に加入できるのは、1年以上継続して事業を行っている中小企業者で、業種ごとに資本金や従業員数の基準が定められています。詳しくは中小機構のホームページをご覧ください。

その他のメリット

経営セーフティ共済は、基本的には取引先の倒産時にこれまで拠出した掛金以上に借入を受けることができる制度です。しかし、取引先の倒産がなくても、これまで拠出した掛金の範囲で借入を受けることも可能です。この場合は、利子がかかりますが、いざというときの備えにはなるでしょう。

また、次に説明するように、うまく活用すれば、節税ができるという大きなメリットもあります。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は節税にもなる!?

先ほど、毎月の掛金の支払が説明しました。この掛金は、法人の場合は損金に、個人事業者の場合は必要経費に計上することができます。つまり、掛金を支払うと税金を減らすことが可能になります。

一方、この掛金は掛け捨てではなく、積み立てされていますから、うまく活用すれば、節税を図りながら、積み立てをしていくことができるのです。

また、掛金を一年分前払いすることも可能です。
例えば、利益が出そうなときに、一年分の掛金(20万円×12か月分=最大240万円)を前払いすると、その分だけ損金や必要経費を増やすことができます。税率が30%と仮定すると、240万円×30%=72万円の節税を図ることができます。掛金は変更できるので、翌期に利益が少なければ掛金を減らして加入を継続するとよいでしょう。

このように、掛金の拠出時に節税を図ることができますが、将来、共済を解約して、解約手当金等を受け取ったときにはその分を所得・利益に計上しなければなりません。つまり、解約をしたときには、これまで繰り延べられていた税金を支払わなければならない可能性があります。そのため、将来、解約したときにどうするのかも考えておく必要があります。

赤字のときに解約をしたり、法人の場合は役員退職金の支払い時に解約するなど、解約して利益が出るときにそれに見合うような経費が出るようにプランニングしておくと、上手に節税を図ることができるでしょう。

まとめ

経営セーフティ共済について説明しました。中小事業者(特に法人の場合)にとってはメリットの大きい制度ですから、月額掛金を少なくしてでも加入することをおすすめします。

【法人税等の節税テクニック】減価償却のルールを理解して節税を図ろう!

事業をしていくと、車や備品、機械などが必要となります。これらは購入したときにお金が出ていきますが、すべてがその時の経費(損金)になる訳ではありません。減価償却というルールに従って、複数年で分割して経費に計上することとなります。今回は減価償却の仕組みについて税理士がポイントを解説します。

減価償却とは?なぜ減価償却しなければならないの?

一定の金額を超える備品や車などの資産を購入しても、購入した年に全額が経費(損金)になる訳ではありません。減価償却を行い、その備品や車などを使用する期間にわたって、分割して、毎年一部を経費(損金計上)にしていきます。

発生主義の会計の考え方の下では、長期間にわたって使用することができる資産であれば、その期間にわたって経費計上していくのが正しい、と考えられるからです。

税務上は、原則として、取得価額が10万円以上で1年以上使用可能なものが減価償却の対象(減価償却資産)となります。使用可能な期間については、業種、使用状況、補充状況などから一般的にどうかを判断します。車を毎回1年未満で乗り捨てることとしていたとしても、それは一般的ではないため、認められず、減価償却資産として計上する必要があります。

減価償却の主な方法には、①毎年、一定額の減価償却費を計上する「定額法」と②毎年、一定の率で減価償却費を計算する「定率法」があります。

また、何年で減価償却するかについても会社が自由に決めることができると不公平なので、、資産の種類毎に決められています。この決められた年数のことを法定耐用年数といいます。

 

定額法と定率法の違い。それぞれの減価償却費の計算方法は?

①定額法とは?計算式は?

定額法とは、毎年、一定額の減価償却費を計算する方法で、次の算式により計算した金額が減価償却費(償却限度額)となります。

 

減価償却費(償却限度額)=取得価額×定額法の償却率

 

定額法の償却率は、原則として、1÷法定耐用年数で計算することができます。
たとえば、法定耐用年数が8年であれば、1÷8=0.125が償却率となります。

 

②定率法とは?計算式は?

定率法とは、毎年、一定の率で減価償却費を計算する方法で、次の算式により計算した金額が減価償却費(償却限度額)となります。

 

減価償却費(償却限度額)=(取得価額-既に償却した額)×定率法の償却率

ただし、この算式で計算した金額(調整前償却額)が定められた償却保証額に満たない場合は、次の算式により計算した金額が減価償却費(償却限度額)となります。

減価償却費(償却限度額)=改定取得価額×改定償却率

定率法の但書きのところは、少し複雑なので、完全に理解しておかなくても大丈夫です。
この定率法の償却率については、「200%定率法」というルールが採用されており、定額法の償却率を2倍した償却率を用いることとなります。

 

(定額法と定率法の減価償却費の違い)

上記のように定額法と定率法では、定率法の方が初年度に多く減価償却費を計上できるので、節税に繋がります。

しかし、資産の種類によっては定率法が適用できなかったり、税務署に届出をしないと適用できなかったりしますので注意してください。

 

中古資産を購入した方が節税になる!

「資産を購入するときは中古資産にした方が節税になる」という話を聞いたことはありますか?ある面においては実際にそのとおりなのです。
先ほど説明したように資産を取得したときは、資産の種類ごとに定められている法定耐用年数で減価償却を行い、経費に計上します。
しかし、中古資産を取得したときは、法定耐用年数ではなく、見積使用可能期間で減価償却を行います。また、使用可能期間を見積もることができないときは、次の年数で減価償却を行います。

中古資産の場合は、法定耐用年数より短い年数で減価償却をすることができますので、その分、経費は多くなり、法人税等の節税に繋がります。

 

中小企業は30万円未満の少額資産の一括経費算入できる!

中小企業者等(資本金1億円以下の一定の法人)は、30万円未満の少額資産については購入時に全額経費とすることができます。ただし、年間合計で300万円までという上限があります。これにより、減価償却することなく、取得した年に経費にすることができ、節税に繋がります。

 

減価償却の注意点

減価償却は月割りで行う

減価償却は月割りで行います。そのため、決算で利益が出そうだからと決算前に慌てて資産を購入しても、月割り計算した減価償却費でしか経費計上(損金算入)できません。

 

取得価額は通常1単位として取引される単位で判定する

よく取得価額が10万円未満や30万円未満になるように請求書を細分化してもらう、ということが行われます。しかし、取得価額は通常1単位として取引される単位ごとに判定する必要があります。例えば、応接セットであれば、通常、テーブルとイスがセットで取引されるため、それらをセットで取得価額を考えます。工事などで、細かく分解したとしても、それが通常の取引単位でなければ、合計して考えなければなりません。

 

まとめ

減価償却のルールについて解説しました。減価償却の仕組みを理解していなければ、大きな資産を買ってお金はないのに、経費(損金)にならず、税金を払わないといけない、ということにもなりかねません。逆に理解していれば、節税を図ることができる場面もあります。しっかりと理解しておきましょう。

(関連記事)税理士が教える!会社の賢い節税 16の方法

 

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【法人税等の節税テクニック】出張手当(出張日当)を支払うと節税になる!?

出張手当を支給すると節税になる、ということは聞いたことはありますか?今回は、出張手当を利用した節税について、税理士がポイントを解説します。

 

出張手当(出張日当)を支払うと節税になる

出張がある会社であれば、出張に対して、出張手当(出張日当)を支給することができます。この出張手当は、支払った会社側は経費とはなり、受け取った役員や従業員も給与として課税されることはありませんので、出張がある会社は実施するとよいでしょう。

出張に行くと、食事代や取引先への手土産代など、普段ならかからない経費がかかってくるものです。出張手当はそのような経費を補填する目的で支給されるものですので、受け取った役員や従業員の給与にはならないこととされています。
なお、出張手当は日帰り出張の場合でも支給することができます。

 

出張手当の相場は?出張手当を支給するにはどうすればよい?

出張手当を支給できるからといって、いくらでも支給できる訳ではありません。出張旅費規程を定めて、その範囲で、一般的に合理的と認められる金額について経費計上することができます。一般的に合理的と認められる金額を超えて支給した場合は、役員報酬や給与として課税されることとなる可能性があります。

産労総合研究所が実施した「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」によると、国内の宿泊出張の際の日当の平均は、社長4,799円、専務4,042円、常務3,759円、取締役3,518円、部長クラス2,809円、課長クラス2,593円、係長クラス2,337円、一般社員2,222円となっています。この調査結果は、一例に過ぎませんが、一般的に合理的と認められる金額を考えるときの一つの目安にはなります。

なお、出張手当を支給する際には、取締役会や株主総会等で承認された出張旅費規程等に基づいた取扱いをする必要があります。

 

出張手当を支払ったときの勘定科目

出張手当は「旅費交通費」の勘定科目を使用するとよいでしょう。
出張手当を支払ったときの仕訳は次のようになります。

(旅費交通費) ×× / (現金預金) ××

仕訳を計上する際には、後で出張手当だけを抽出できるように、「出張手当」の補助科目を設けておくとよいでしょう。

 

出張手当を支払うときのその他の注意点

国内出張と国外出張で消費税の取扱いが異なる

国内出張に際しての出張手当は消費税の課税仕入れとなります。一方、国外出張に際しての出張手当は原則として、消費税の課税仕入れとはなりません。消費税の取扱いが異なる点に注意が必要です。

 

出張報告書や出張旅費精算書等を残さなければならない

出張手当を支給する際は、必ず出張報告書や出張旅費精算書等を残し、実際に出張に行ったという記録を残しておくようにしましょう。出張報告書や出張旅費精算書等には、最低限、出張先、出張の目的、出張の日程等を記載しておく必要があります。

 

役員だけなど、特定の人だけに支給するようなことはできない

出張旅費規程等で、特定の人だけに出張手当を支給するように定めることはできません。例えば、中小企業のオーナー社長が、自分だけ出張手当が支給されるように規定を制定して支給した場合、その手当はオーナー社長に対する役員報酬として取り扱われる可能性があります。特定の人だけに支給するということは出張手当の支給の目的からして合理的ではないからです。

 

個人事業主が自分に支払った出張手当は事業経費とはならない

個人事業主の方が自分に支払った出張手当は事業経費とはなりません。ただし、個人事業主の方でも、規程等に基づいて従業員に対して出張手当を支払った場合には事業経費となります。

 

まとめ

出張手当は、支給すると法人税の節税となり、受け取った役員や従業員にも所得税が課税されない、という便利なものです。出張の多い会社であれば、検討するとよいでしょう。
ただし、税務調査があると、出張日当の金額が一般的に合理的と認められる金額かどうか、カラ出張などがないか、というような観点からチェックをされる可能性があります。適正な規程を定め、実際に出張に行ったことがあとで説明できるように必ず記録を残しておくようにしましょう。

(関連記事)税理士が教える!会社の賢い節税 16の方法

 

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【法人税等の節税テクニック】短期前払費用の特例とは!?

発生主義会計のもとで、経費は支払ったときではなく、役務提供等を受けたときに費用計上されます。しかし、一定の要件を満たすものについては特例(短期前払費用の特例)が設けられており、支払ったときに費用計上(損金算入)することができます。この短期前払費用の特例を使うことによって法人税等の節税にも繋がりますので、理解しておきましょう。

 

費用を前払したときの原則的な会計処理

例えば、翌月分の家賃を前払いしたり、一年分の保険料をまとめて支払ったりするようなことがあります。このようなとき、家賃や保険料が必要経費となるのは、原則として、その役務提供等を受けたときです。そのため、役務提供等を受けるまでは、前払費用(資産)に計上しておく必要があります。
翌月分の家賃を前払いしたときの仕訳は次のようになります。

・3月に4月分の家賃(50万円)を前払いしたとき
(前払費用) 50万円 / (現金預金) 50万円

・4月に入ったとき
(地代家賃) 50万円 / (前払費用) 50万円

(関連記事)【仕訳解説】前払費用とは?長期前払費用との違いをわかりやすく解説

 

短期前払費用の特例とは?なぜ節税になるの?

費用を前払したときの原則的な会計処理は上記で解説したとおりです。ただし、法人税法上は、短期前払費用の特例が設けられており、この特例の要件を満たす費用については支払ったときに全額を費用計上(損金算入)することができます。

例えば、家賃やサーバー代など契約に基づいて毎月継続的に支払っているものについて1年分をまとめて支払えば全額経費に計上することができます。例えば、決算前に年間分をまとめて支払えば、支払った分がすべて経費となるため、法人税等の節税に繋がります。

特にサーバー代など一ヶ月あたりの費用が大きくないものについて厳密に前払費用に計上して会計処理するのは手間がかかりますので、この特例を使うことによって、会計処理の負担も軽くなります。

 

短期前払費用の特例を適用するための要件

では、この短期前払費用の特例の要件について見ていきましょう。特例は法人税法基本通達2-2-14で規定されています。

 

【法人税法基本通達2-2-14】
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。

 

(ポイント)
「一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用」であることが必要です。これはサービスが等質等量であることが求められています。家賃や保険料、サーバー代などはサービスが毎月同じであると言えるため短期前払費用の特例を適用することができます。一方で、広告掲載料や弁護士・税理士の顧問料などは毎月のサービスが等質等量であるとは言えないため、短期前払費用の特例を適用することはできず、原則的な会計処理をしなければなりません。

「その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの」であることが必要です。例えば、2年分をまとめて支払うなど、支払った日から1年以内にサービスの提供を受けるものでない場合には、この特例の適用はなく、そのすべてが経費になりません。

「その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入していること」が必要です。したがって、短期前払費用の特例は一度適用すると、毎年継続して適用しなければなりません。多くの利益が出ている期は一年分をまとめて経費計上し、業績が悪い年は一ヶ月分だけを経費計上する、というようなことはできません。業績が悪化し資金繰りがよくないときでも適用し続けないといけませんので注意してください。

 

まとめ

短期前払費用の特例は、法人税等の節税のためには有効な手法です。一方で、適正な期間損益計算、月次決算という観点からは、やはり、原則的な会計処理によった方がよいでしょう。また、短期前払費用の特例は一度適用すると継続して適用しなければなりません。メリット・デメリットをしっかりと考えてから適用するようにしましょう。

(関連記事)税理士が教える!会社の賢い節税 16の方法

 

【法人税等の節税テクニック】接待交際費の法人税法上のルールを理解しよう!

事業をしていると取引先と食事に行ったり、お中元・お歳暮などを送ったりということは付き物です。これらにかかった費用は交際費となりますが、法人税法上、交際費には一定のルールが設けられています。このルールを理解してしなければ、税金を余分に支払うことにもなりかねません。つまり、交際費の法人税法上のルールを理解しておくことは節税にも繋がるのです。

 

交際費の法人税法上の取扱い

①原則的な取扱い

交際費とは、得意先や仕入先等に対して接待や贈答をしたときにかかった費用のことをいいます。交際費も事業を円滑に行うために必要な会社の経費ですが、これが無制限に認められると、「税金を払うくらいなら盛大に飲み食いをしよう。」というような考え方がまかり通ってしまう可能性もあります。

そのため、法人税等の計算に当たっては、原則として、交際費は損金不算入とされています。ただし、資本金が1億円以下の中小法人については、年間800万円まで損金算入することが認められています。

 

②接待飲食費の特例

上記のとおり、中小法人以外は損金不算入となり、中小法人は上限が設けられているのが原則ですが、接待飲食費に該当するものについては、その支払った金額の50%を損金算入することができる、という特例が設けられています(接待飲食費の特例)。この接待飲食費の特例は、2020年3月31日までの間に開始する事業年度において適用することができます。

ここでの接待飲食費とは、交際費のうち、社外の人と飲食をしたときの飲食費のことをいいます。しがたって、役員や従業員など社内の人だけで飲食したときの費用は接待飲食費にはあたりません。また、手土産代等も飲食費ではないため接待飲食費にはあたりません。

なお、接待飲食費の特例を使うときは、次の事項を記載した書類を保存しておく必要があります。

① 飲食等の年月日
② 飲食費に係る飲食等に参加した取引先等の氏名又は名称及びその関係
③ 飲食費の額、その飲食店、料理店等の名称及びその所在地④ その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

②については、原則として、飲食等を行った相手先の「会社名、部署、氏名、取引関係」のすべてを記載しなければなりません。ただし、一部の参加者の氏名がわからないときや多数参加したような場合は、一部の参加者の氏名等を記載し、他●名とすることも認められています。

 

少額の社外飲食費は交際費とはならない

損金算入できる交際費には上限が定められています。しかし、1人あたりの支出額が5,000円以下の社外飲食費については、そもそも交際費に含まなくてよいこととされ、損金算入の上限がありません。その場合、次の事項を記載した書類を保存しておく必要があります。

なお、この取扱いが認められるのは、社外の人と飲食をしたときに限られます。社内の役員、従業員やその親族のみで飲食を行ったときは適用されません。

① 飲食等の年月日
② 飲食等に参加した取引先等の氏名や名称、その関係
③ 飲食等に参加した人数
④ その費用の金額、飲食店の名称と所在地

 

 

図解でわかる交際費のルール

ここまでの解説を図解すると次のようになります。

 

ただし、上記にかかわらず、1人あたりの支出額が5,000円以下の社外飲食費(少額社外飲食費)は交際費とはならず、全額損金算入できる。

 

 

別表15「交際費等の損金算入に関する明細書」の書き方

交際費があるときの別表15「交際費等の損金算入に関する明細書」は次のように記載します。

(例)
・中小法人等の場合
・交際費の総額 15,000,000円
うち、少額社外飲食費 2,200,000円
うち、接待飲食費(少額社外飲食費を除く) 10,000,000円

 

 

まとめ

事業を進める上で、ここで解説した交際費のルールは必ず理解するようにしておきましょう。税務調査が入ると、帳簿書類に必要な事項が記載されているか、人数が正確か、といった観点でチェックされることとなります。また、場合によっては、手帳や報告書と照らし合わせて矛盾がないかの確認をされることもあります。帳簿書類に必要な記載を怠ったことによって、追加で税金を支払わなければならなくなるのはとてももったいないことです。

 

会社の節税とは?節税する際の注意点はありますか?

会社で利益が出ると法人税等を支払わなければなりません。
しかし、税金というのは見返りがあるものではありませんので、節税したいという思いも強いでしょう。節税できた法人税等を将来への投資に充てることができれば、会社の競争力を高めることともなります。そのような観点に立つと、法人税等の節税というのは必ず考えていかないといけないことでもあると言えます。

そもそも節税とは?脱税との違いは?

節税とは、税金のルールに乗っ取って、事前に対策を講じて税金を減らすことをいいます。

よく似た言葉で脱税というものがありますが、これは税金のルールに乗っ取らないものですので、全く意味合いが異なります。脱税が見つかると重いペナルティが課せられますが、節税が見つかっても税金のルールは守っていますので特に問題とはなりません。

節税の前に法人税の仕組みを理解しよう!

法人税は、大まかには次のような方法で計算することとなります。

売上(益金)から仕入・経費(損金)を差し引いた利益(所得)に税率を乗じることで税額が計算されます。

この式において、税額を減らす(節税をする)ためには、利益(所得)を減らさなければなりません。しかし、売上を減らしたり、仕入を増やすというのは意味がありません。したがって、「経費(損金)を増やす」⇒「税金を減らす」というのが節税の基本的な考え方となります。一方で、利益(所得)を減らせば、会社に残るお金(内部留保)も減りますので注意しましょう。

なお、法人税は決算期の一年間で計算します。そのため、決算日が過ぎてから、思ったより利益が出そうだからと経費を使っても、間に合いません。そうならないように、売上や経費の状況を常に把握して、計画的に節税をすることが何よりも大切です。

節税をするときの注意点

節税で注意しなければならないことがあります。節税をするための手法の多くは「お金が出ていくもの」です。

例えば、保険に加入して節税を図るという手法を講じると、税金は減りますが、その代わりに保険料を支払わなければなりません。保険の場合、貯蓄性のあるものを利用したりすると、うまく活用できれば多くのメリットがありますが、お金が出ていくことに違いはありません。そのため財政状態を考えながら、バランスのとれた節税を継続的に行っていく必要があります。今期儲かったから多額の保険に入ったとしても、保険の場合には翌期以降も保険料を払い続ける必要があります。長期的な視点を持っておくことも大切です。

もちろん「お金が出ていく節税」以外にも、特例を活用するなど「お金が出ていかない節税」もいくつかはあります。

(関連記事)税理士が教える!会社の賢い節税 16の方法

 

まとめ

会社の節税の仕方についての基本的な考え方を解説しました。節税はもちろん大切なことですが、節税しすぎて資金が足りなくなってしまうと困ります。そうならないように税理士などの専門家にもアドバイスをもらいながら、バランスを考えた節税に取り組むことが何よりも大切であると言えるでしょう。

 

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