源泉所得税を期限までに納めなかったときは不納付加算税がかかることがあります。不納付加算税は1日でも遅れるとかかってくる可能性があるため、注意しましょう。
源泉所得税の不納付加算税とは?
源泉所得税を正当な理由なく納付しなかったときは不納付加算税がかかります。
この不納付加算税の割合は次のとおりです。
税務署からの指摘で納付する場合 | 納付すべき源泉所得税額の10% |
自主的に納付する場合 | 納付すべき源泉所得税額の5% |
この不納付加算税は、納期限を一日でも遅れると全額かかりますので注意してください。
また、不納付加算税とは別に延滞税も課せられることとなります。
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不納付加算税がかからないとき
次の場合には、期限までに納税していなかったとしても、不納付加算税がかかりません。
①正当な理由があるとき
例えば、従業員が給与所得者の扶養控除等申告書などの書類を誤って記入し、その誤った申告書に基づいて控除したことによって源泉所得税額が過少となっていた場合は、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由がないと考えられるため、正当な理由があると認められる場合として取り扱われます。
また、災害等によって真にやめを得ない事由があると認められるときなどについても正当な理由があるものと認められます。
②納付する意思があると認められる場合で、法定納期限から一カ月を経過する日までに納付したとき
納付する意思があると認められる場合とは、国税通則法施行令第27条の2第2項により定められていて、法定納期限の属する月の前月の末日から起算して一年前の日までの間に税務署から納税の告知を受けたり、期限後に納付した事実がない場合のことをいいます。
わかりやすく言うと、次の2つの要件のいずれにも当てはまる場合には、不納付加算税は免除されます。
・直近一年以内に源泉所得税の納付漏れがないこと |
うっかり1度だけ源泉所得税を期限内に納付することを忘れてしまった、というときは助かります。
③少額であるとき
国税通則法第119条第4項の規定によって、加算税の金額が5千円未満となるときは、切捨てられることとされています。したがって、計算された不納付加算税の金額が5千円未満となるときは不納付加算税はかかりません。
不納付加算税を支払った時の仕訳は?損金算入できる?
不納付加算税を支払ったときは、「租税公課」または「雑損失」の勘定科目を使って仕訳を計上するのが一般的です。
(租税公課 または 雑損失)×× /(現金) ××
なお、法人税等の計算にあたって、他の加算税、延滞税と同様に不納付加算税を損金算入することはできません。
「租税公課」や「雑損失」などで仕訳計上した場合は、法人税確定申告書での調整が必要となりますので、忘れないようにしましょう。
具体的には次の調整が必要です。
・別表四(6欄「損金経理をした附帯税(利子税を除く。)、加算税、延滞金(延納分を除く。)及び過怠税」による加算・流出での加算調整
・別表五(二)(「その他」・「損金不算入のもの」・25欄「加算税及び加算金」)への記載
これらの調整を忘れないようにするために「租税公課」や「雑損失」は損金不算入の項目を補助科目で区分しておくとよいでしょう。
まとめ
源泉所得税を納付しなかったときの不納付加算税について解説しました。納期の特例を適用していたり、従業員数が多いなどで源泉所得税額が多額となると10%の割合というのは大きな金額となってくる可能性があります。なお、ペナルティも大きいので、うっかり納付を忘ないように注意しましょう。もし、うっかりと源泉所得税の納付を忘れてしまった時も、1年以内に納付漏れがなく、納期限から1か月以内に納付すれば不納付加算税は免除されます。気づいたらすぐに納付するようにしましょう。
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