印紙税が課税される契約書とは?その注意点

契約書には印紙税の課税文書となるものと、そうでないものがあります。今回は印紙税が課税される契約書や注意点について、税理士がポイントを解説します。   1.印紙税が課税される契約書とは? 一定の契約書には、印紙税 … 続きを読む 印紙税が課税される契約書とは?その注意点

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契約書には印紙税の課税文書となるものと、そうでないものがあります。今回は印紙税が課税される契約書や注意点について、税理士がポイントを解説します。

 

1.印紙税が課税される契約書とは?

一定の契約書には、印紙税が課税されます。課税される契約書は、課税物件表に掲げられている次のような契約書となります。

不動産等の譲渡、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡、消費貸借、運送に関する契約書 (第1号文書)
請負に関する契約書 (第2号文書)
合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書(第5号文書)
継続的取引の基本となる契約書 (第7号文書)
信託行為に関する契約書 (第12号文書)
債務の保証に関する契約書 (第13号文書)
金銭又は有価証券の寄託に関する契約書 (第14号文書)
債権譲渡又は債務引受けに関する契約書 (第15号文書)

請負の契約書は印紙税の課税文書とされていますが、委任の契約書は印紙税の課税文書ではありません。このように内容によって取扱いが異なりますので注意しましょう。

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2.印紙税における契約書とは?

契約書とは、契約当事者間で契約の成立、更改、内容の変更や補充の事実を証明する目的で作成される文書をいい、その文書のタイトルを問いません。つまり、「契約書」となっていなくても、実質的に契約書に該当する文書であれば、印紙税の課税文書となることがあります。

また、写し、副本または謄本等であっても、契約の成立等を証明するものは課税文書に該当しますし、念書や請書などのように契約の当事者の一方のみが作成する文書などでも、当事者間の了解や商慣習に基づいて契約の成立等を証明する目的で作成されるものは契約書に含まれることとなります。

 

3.申込書や注文書でも、契約書に含まれることとなる場合がある

申込書、注文書、依頼書などは、一般的には契約の申込みの事実を証明する目的で作成されるものなので、通常は印紙税法における契約書には該当しません。

ただし、次のようなものは、実質的に契約の成立を証明する目的で作成される文書に該当し、契約書に含まれることとなりますので注意してください。

①基本契約書や約款などに基づく申込みであることが記載されており、その申込みによって自動的に契約が成立することとなっている場合の申込書等
②見積書などに基づく申込みであることが記載されている申込書等
③契約当事者双方の署名または押印があるもの

 

4.外国の会社と契約書を作成したとき

印紙税法は日本の国内法であり、その適用地域は日本国内に限られます。そのため、国外で課税文書が作成される場合には、その文書に基づく権利の行使が国内で行われたり、国内でその文書を保存していたとしても、印紙税は課税されません。

そのため、国外の会社と契約書を作成する場合には、いつ、どこで作成したか(当事者間の意思の合致を証明するとき)が判断基準となります。

例えば、国内の会社が契約書を作成し署名押印したものを国外の会社に送付したときは、国外の会社が署名等をするときに契約の成立が証明され課税文書が作成されたこととなります。その作成場所は国外であり、この契約書には印紙税法は適用されません。このような場合には、後日のトラブルを防止するために、契約書上に作成場所を記載しておくとよいでしょう。これとは逆のケースになる場合は、契約書に印紙税法が適用されることとなります。

 

5.不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書の軽減税

2020年3月31日までの間に作成される「不動産の譲渡に関する契約書」と「建設工事の請負に関する契約書」のうち、一定の要件に該当する契約書については、印紙税の軽減措置が設けられています。

 

まとめ

印紙税が課税される契約書について解説しました。このように印紙税における契約書には多くの論点がありますので、注意してください。特に契約書とはなっていなくても、実質的に契約書と判断されるものは、税務調査でもよく論点となりますので注意してください。