「業務改善助成金」を使って業務改善と賃金引上げを図ろう!

事業場内の最低賃金が低い中小企業が、業務改善と最低賃金の引上げを行った場合に、業務改善にかかった費用の一部について助成金(業務改善助成金)を受給できる可能性があります。この業務改善助成金の令和2年度の申請受付が開始されて … 続きを読む 「業務改善助成金」を使って業務改善と賃金引上げを図ろう!

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事業場内の最低賃金が低い中小企業が、業務改善と最低賃金の引上げを行った場合に、業務改善にかかった費用の一部について助成金(業務改善助成金)を受給できる可能性があります。この業務改善助成金の令和2年度の申請受付が開始されています。今回は、業務改善助成金について解説します。

業務改善助成金とは?

業務改善助成金の概要

業務改善助成金とは、生産性向上のための設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)などを行い、最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資等にかかった費用の一部(事業場内最低賃金や引上げ額により、3/4または4/5)の助成を受けることができる、というものです。
なお、生産性を向上させた企業については、助成率が4/5または9/10となります。

 

ただし、支給対象は限定されていて、次の2つの要件を満たす事業場でなければなりません。

・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること
・事業場規模100人以下であること

 

つまり、事業場内の最低賃金が既に高い会社などでは使えません。

 

対象となる場合、例えば、次のような業務改善を図った上で、最低賃金の引上げを行うと、助成対象となります。

・介護事業で、福祉車両の導入をして送迎作業の時間短縮や人員配置の効率化を図る
・製造業で、コンサルタントの現場活動の導入による作業効率の改善を図る
・給与勤怠システムを導入し給与計算の自動化・作業時間の短縮を図る
・宿泊業で、食器洗浄機やロボット掃除機を導入し、清掃作業時間の短縮を図る など

 

支給要件は?

支給要件は、次のとおりです。
1.賃金引上計画を策定し、最低賃金を一定額以上引き上げ、賃金を支払うこと。
  なお、就業規則等で規定する必要があります。
2.生産性向上のための設備などを導入して業務改善を行うこと
 (ただし、経費削減のための経費、職場環境改善のための経費、通常の事業活動の経費は対象とはなりません。)
3.解雇や賃金引下げ等の不交付事由がないこと など

申請方法

業務改善助成金を申請は次のような流れで行います。

1.業務改善計画と賃金引上計画を記載した交付申請書を作成し、都道府県労働局に提出する。
2.助成金交付決定通知を受けた後、計画に基づいて、設備投資等や最低賃金の引上げを行う。
3.実施後、事業実績報告書を作成し、都道府県労働局に提出する。

審査で適正と認められれば、助成金が支給されます。

なお、令和2年度の申請締切は、令和3年1月29日までとなっています。ただし、予算がなくなった場合、申請期間内であっても募集終了となる可能性があります。

交付決定前に設備投資等や最低賃金の引上げを行った場合には、助成の対象とはなりませんので、注意してください。

 

 

まとめ

業務改善助成金について解説しました。今後も最低賃金の引上げは見込まれるので、地域別最低賃金との差額が30円以内で、支給対象となる会社であれば、この助成金を使って、業務改善を行った上で、最低賃金の引上げを今のうちに行っておくとよいでしょう。