会社設立の際に悩むのが役員報酬についてです。役員報酬は原則として1年間は固定金額(定期同額給与)でないと経費として認められません。期中で役員報酬を増額・減額すると経費として認められなくなり、法人税が余分にかかる事になります。そのため、会社設立後は、そのことを見据えて役員報酬を決める必要があります。
会社設立後の役員報酬の決め方
会社設立後の役員報酬は次のように決めるとよいでしょう。
1.会社の年間利益を予測する。
会社に利益がでなければ役員報酬を支払うことができません。
生活のために毎月、最低●万円かかるから毎月役員報酬を●万円以上としなければならない、といっても、会社に利益が出なければ支払うことができないのです。
まず、会社に役員報酬支給前の利益がどれくらい出るかを予測しましょう。通常は事業計画を策定します。
特に会社を設立した期は、初期投資があったり、売上が思ったように伸びないこともありますので、保守的に利益を予測した方がよいでしょう。
2.年間利益の中から会社にいくら利益を残すかを決める。
1で予測した会社の年間利益の中から役員報酬を支給し、残ったものから税金を差し引いたが会社の最終的な利益(当期純利益)となります。
当期純利益をどれくらい残す必要があるかを考えましょう。
今後金融機関からの借入などを使って事業拡大をしよう、と考えている場合は、一定程度の利益を残す必要があります。多額の借入を考えている場合は、利益も多いに越したことはありません。
また、内部留保を蓄積して、将来設備投資などをしようと考えている場合も、その計画に応じて利益を残す必要があります。
逆に個人会社なので、税金が少なくなるのなら黒字決算でなくてもよい、と考えるのであれば、会社に多くの利益を残す必要はありません。
例えば、年間で2,000万円の役員報酬支給前・税引前利益が出ると予測したとします。会社に税引前で500万円の利益を残す必要があるのであれば、役員報酬の源資は1,500万円となります。1,000万円の利益を残す必要があるのであれば、役員報酬は1,000万円までしか支払うことができません。
3.税金・社会保険料のシミュレーションをする。
1と2で役員報酬の源資がどれだけあるかを考えることができました。
役員報酬を増やすと、個人の所得税・住民税・社会保険料等があがります。その一方で、会社の利益は減ることとなるため、会社の法人税等は減ります。
逆に役員報酬を減らすと、個人の所得税・住民税・社会保険料等が減り、会社の法人税等は増えることとなります。
役員報酬の金額は社会保険料の会社負担分にも影響があることを忘れないようにしましょう。また、税金や社会保険料以外にも児童手当や保育料などに影響を与えることがあります。
これらの個人と会社の税金、社会保険料を何パターンかシミュレーションし、その中で適当と判断したパターンの役員報酬を選択しましょう。
(関連記事)役員報酬を支給するときの法人税法上の注意点
まとめ
会社を設立したときの役員報酬の決め方について解説しました。役員報酬をいくらに設定するかで税金や社会保険料が変わりますし、今後の会社の成長戦略に影響を与えることもあるのです。適当に決めるのではなく、しっかりと検討してから決めるようにしましょう。よくわからないときはみんなの会計事務所までお気軽にご相談ください。