平成28年度税制改正において、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、セルフメディケーション（自主服薬）推進のためのスイッチＯＴＣ薬控除（医療費控除の特例）が創設されました。セルフメディケーションは、世界保健機関（ＷＨＯ）において、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義されています。

セルフメディケーション税制（スイッチOTC薬控除）とは？

セルフメディケーション税制の概要

セルフメディケーション税制は医療費控除とよく似た制度です。
医療費ではなく、スイッチOTC医薬品という薬局・ドラッグストアなどで購入することができる一定の薬を年間で1万2千円超購入したときに所得税の計算にあたって控除を受けることができる、というものです。

詳しい要件は次のようになります。

（適用対象）
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人

（適用期間）
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間

（適用要件）
自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチＯＴＣ医薬品の購入の対価を支払った場合で、その年中に支払った額の合計額が1万2千円を超えるとき

（所得控除できる額）
その超える部分の金額について、その年分の総所得金額等から控除することができます。ただし、その超える部分の金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円が上限となります。

なお、この制度は、現行の医療費控除と併用することはできません。セルフメディケーション税制か現行の医療費控除のどちらかを選択して適用しなければなりません。

スイッチＯＴＣ医薬品とは？

ＯＴＣ医薬品とは薬局・薬店・ドラッグストアなどで販売されている医薬品をいいます。ＯＴＣとは、「Over The Counter」の略で、カウンター越しに薬を販売するかたちに由来しています。このうち、本税制の対象となるスイッチＯＴＣ医薬品とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品で、一定の成分を含むもの、です。具体的な対象医薬品の範囲等は今後公表されることとなります。

一定の取組とは？

特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診のことをいいます。

なお、この特例の適用を受けるためには、スイッチＯＴＣ医薬品を購入したときの領収書及び一定の取組を行ったことを明らかにする書類を添付して確定申告をする必要があります。

まとめ

セルフメディケーション税制は要件がいろいろとあり、適用できるケースが限られています。しかし、医療費控除が適用できるのは原則として年間10万円以上の医療費があるときですので、医療費控除は適用できないが、セルフメディケーション税制の要件は満たしているというときは、ぜひ確定申告をして控除を受けるようにしましょう。

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