【2020年度税制改正】会社にかかわる税金の改正など

2020年度税制改正のうち、会社にかかわる税金の改正について解説します。 1.連結納税制度が見直しされ「グループ通算制度」に! 連結納税制度とは、企業グループを一体とみて親会社と100%子会社の所得通算等を行い、申告・納 … 続きを読む 【2020年度税制改正】会社にかかわる税金の改正など

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2020年度税制改正のうち、会社にかかわる税金の改正について解説します。

1.連結納税制度が見直しされ「グループ通算制度」に!

連結納税制度とは、企業グループを一体とみて親会社と100%子会社の所得通算等を行い、申告・納税をする制度をいいます。この連結納税制度について、企業の事務負担の軽減等の観点から簡素化等の見直しを行い、グループ内で損益通算をする基本的な枠組みは維持しつつ、親会社、完全子会社のそれぞれが個別に法人税額等の計算及び申告を行う『グループ通算制度』に見直しされます。
2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

 

2.消費税の申告期限の1か月延長が可能になります

法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人は、事前に届出をすることにより、消費税の申告期限を1月延長することができるようになります。この改正は2021年3月決算の会社から適用することができます。なお、原則的な申告期限までに見込み納付をしない場合には利子税がかかります。

 

3.居住賃貸建物の仕入税額控除が不可になります

居住用賃貸建物を取得したときの仕入税額控除の適用が無くなります。

これにより、金地金の売買を繰り返すことで、消費税の課税売上割合を高め、居住用賃貸建物を取得したときに消費税の還付を受けるスキームが封じられることになりました。

ただし、取得後一定期間内に、譲渡した場合や住宅の貸付け以外の貸付けの用に供することとなった場合は、一部について仕入税額控除ができるような調整が行われます。

この改正は2020年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合(2020年3月31日までに契約を締結している場合を除く)に適用されます。

 

4.各種特例が延長されます

次のように特例の要件見直しと期限延長が行われました。

・中小法人の交際費課税の特例措置の延長
中小法人が交際費を年間800万円まで全額損金算入することができる交際費の特例が、2022年3月31日まで2年間延長されました。

ただし、対象法人から「資本金の額等が100億円超の法人」が除外されました。

・中小企業者等の少額減価償却資産の特例の延長

30万円未満の減価償却資産を年300万円まで即時償却することができる少額減価償却資産の特例が、2022年3月31日まで2年間延長されました。

ただし、対象法人から「連結納税適用事業者と従業員500人超の法人」が除外されました。

 

5.電子帳簿保存制度の見直しされます

電子帳簿保存制度とは、一定の要件を下に、原則として紙での保存が求められる帳簿書類等について、電子媒体での保存が認められるというものです。

電子帳簿保存をするには、改ざん防止のため、電子化したデータに受領者が、認証機関のタイムスタンプを付与することが要件とされています。

しかし、次の場合にはタイムスタンプの付与をしなくてもよいこととなりました。

①発行者側でタイムスタンプを付与している場合
②ユーザーが自由にデータ改変できないクラウドシステム等を使用している場合

この改正は2020年10月1日から適用となります。

まとめ

2020年度税制改正のうち、会社に関わるものについて解説しました。2020年度税制改正では、大きく増税や減税となるような制度の創設・改正はなく、会社に大きな影響を与えることはないでしょう。

ただし、連結納税制度の適用している場合は、グループ通算制度への制度改正のタイミングに合わせて、改めて移行した方が有利かどうかを検討することができます。

また、法人税等の申告期限の延長をしている場合は、消費税の申告期限の延長を利用することができるようになり、利便性が高まるでしょう。