2020年12月に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」において、税務関係書類への押印が原則として不要にする改正を行う方針が示されています。その趣旨を踏まえて、法律の改正前であっても、一定の書類を除いて、押印がない税務関係書類も、有効に税務署で受け付けられることとなりました。
税務関係書類への押印が原則不要に!
これまで、法人税、所得税、相続税などの申告書や各種届出書類を紙媒体で税務署に提出する場合には、書類に提出者等の押印をする必要がありました。
しかし、閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」で、納税手続の負担軽減のため、これまで押印が必要とされていた税務関係書類について、印鑑証明書などで本人確認が厳格に求められる一定の書類を除き、押印を不要とすることが示されました。
<引き続き押印が必要となる一定の書類>
・担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類(担保提供の承諾書など) ・相続税・贈与税の特例を受ける場合の添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類(遺産分割協議書など) |
この改正は、税制改正に関する法律の成立後、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類より適用される予定です。
しかし、国税庁は、法律改正前であっても、改正の趣旨を踏まえて、一定の書類を除いて、押印のない申告書や届出等であっても有効に受付けをすることを公表しました。
このため、2020年分の所得税の確定申告書を押印なしに提出することもできます。
電子申告をしている場合はどうなる?
e-Taxで電子申告をする場合には、引き続き、電子証明書による電子署名が必要(所得税の確定申告などの場合は、ID・パスワード方式によることも可能)です。
地方税関係書類はどうなる?
地方税関係書類についても、国税と同様に、原則として押印義務が廃止される予定ですが、法律施行前の取扱いは各地方公共団体に確認してください。
まとめ
「脱はんこ」の動きが加速しています。2020年6月には内閣府、法務省、経済産業省が「押印に関するQ&A」を公表し、「原則として、契約書に押印をしてなくても契約の効力に影響は生じないこと」を明確化しています。さらに、税務関係書類への押印も原則として不要になりました。今後もこのような動きは加速し、ビジネスのスピードもアップしていくことになるでしょう。