消費税の任意の中間申告制度とは?メリット・デメリットは?

消費税の任意の中間申告制度という制度はご存じでしょうか?この制度を利用すると、消費税の中間申告・納付の義務がない場合でも、自主的に中間申告・納付をすることができます。今回は、消費税の任意の中間申告制度について税理士がポイ … 続きを読む 消費税の任意の中間申告制度とは?メリット・デメリットは?

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消費税の任意の中間申告制度という制度はご存じでしょうか?この制度を利用すると、消費税の中間申告・納付の義務がない場合でも、自主的に中間申告・納付をすることができます。今回は、消費税の任意の中間申告制度について税理士がポイントを解説します。

 

消費税の任意の中間制度制度とは?

直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税額を含まない国税分の年税額)が48万円以下の事業者(個人・法人ともに)については、消費税の中間申告・納付の義務はありません。

しかし、中間申告義務のない事業者でも、届出をすることにより、自主的に中間申告・納付をすることができます。この制度のことを消費税の任意の中間申告制度といいます。

 

任意の中間申告制度を適用した場合の中間納付税額は次のいずれかとなります。

①直前の課税期間の確定消費税額の1/2の額

②仮決算による中間申告税額

 

なお、併せて地方消費税の中間納付税額も納付する必要があります。

(関連記事)法人税や消費税の中間申告とは?予定申告と仮決算の違いは?

 

消費税の任意の中間申告制度を適用するとき、とりやめるとき

任意の中間申告制度の適用を受けるためには、中間申告書を提出しようとする課税期間の開始日から6か月以内に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を所轄税務署長に対して提出する必要があります。

また、任意の中間申告制度の適用を取りやめるときは「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」を所轄税務署長に対して提出します。

 

中間申告書を提出したのに納税しなかったときはどうなる?

任意の中間申告制度を適用した場合、6月中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内に、中間申告書を納税地の所轄税務署長に提出し、その申告に係る消費税額及び地方消費税額を併せて納付します。中間申告書を提出したにもかかわらず、期限までに納付しない場合には、ペナルティ(延滞税)が課される場合がありますので注意してください。

6月中間申告対象期間とは、課税期間開始の日以後6か月間で、年1回の中間申告の対象となる期間のことをいいます。

例えば、3月31日が決算日の法人であれば、4月1日からの6か月間(つまり、4月1日から9月30日まで)のことをいいます。

 

中間申告書を提出しなかったときはどうなる?

「任意の中間申告制度を提出する旨の届出書」を提出したにもかかわらず、中間申告書を提出期限までに提出しなかった場合には、6月中間申告対象期間の末日に、任意の中間申告制度の適用をやめようとする旨を記載した届出書の提出があったものとみなされ、中間納付することができないこととなります。

取りやめの届出書の提出があったものとみなされることにより、中間申告・納税の義務がないことになりますので、この場合のペナルティはありません。

 

消費税の任意の中間申告制度のメリット・デメリット

「申告義務がないのにわざわざ申告するメリットなんてあるの?」と思われるかもしれません。

この消費税の任意の中間申告制度のメリットは、消費税を計画的に納税することができる、ということです。中間申告がなく年一回の納税では、一時の納税金額が多額となってしまいます。決算時には消費税だけでなく、法人税や所得税がかかることにもなります。

この任意の中間申告制度を利用して自主的に中間申告・納税をしておけば、その分、年度末(決算期末)の納税額が少なくなります。結果として税金が少なくなる訳ではありませんが、一度に多額の納税をするよりも、納税資金の管理の負担は楽になるでしょう。

一方、デメリットとしては、中間申告をしない場合よりも資金が先に出ていくことになること、申告と納税の事務負担が増えることが挙げられます。

 

まとめ

消費税の任意の中間申告制度について解説しました。消費税の中間申告・納付の義務がなく、毎年、決算後に大きな支出があって困る、というようなときは是非利用してみてください。