会社が毎期作成しなければならない計算書類の一つに個別注記表があります。この個別注記表にはどのようなことを記載するのでしょうか?なぜ必要なのでしょうか?税理士がポイントを解説します。
個別注記表とは?
個別注記表とは、会社が作成しなければならない計算書類の一つです。
会社法により、株式会社と合同会社は、毎期、計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記法)とその附属明細書を作成しなければならないこととされています。作成した計算書類は、毎期、株主総会で株主に開示した上で(株式会社の場合)、会社で10年間保存しておかなければなりません。
この個別注記表には次の事項を記載する必要があります。
(1)継続企業の前提に関する注記 (2)重要な会計方針に係る事項 (3)会計方針の変更に関する注記 (4)表示方法の変更に関する注記 (5)会計上の見積りの変更に関する注記 (6)誤謬の訂正に関する注記 (7)貸借対照表等に関する注記 (8)損益計算書に関する注記 (9)株主資本等変動計算書に関する注記 (10)税効果会計に関する注記 (11) リースにより使用する固定資産に関する注記 (12) 金融商品に関する注記 (13) 賃貸等不動産に関する注記 (14) 持分法損益等に関する注記 (15) 関連当事者との取引に関する注記 (16) 一株当たり情報に関する注記 (17) 重要な後発事象に関する注記 (18) 連結配当規制適用会社に関する注記 (19) その他の注記 |
たくさんありますが、多くの中小企業が該当する会計監査人設置会社以外の非公開会社(株式譲渡制限のある会社)は、上記のうち(1)・(5)・(7)・(8)・(10)~(18)を省略することができます。つまり、多くの中小企業で記載が必要となるのは次の事項となります。
(2)重要な会計方針に係る事項 (3)会計方針の変更に関する注記 (4)表示方法の変更に関する注記 (6)誤謬の訂正に関する注記 (9)株主資本等変動計算書に関する注記 (19) その他の注記 |
さらに、(3)、(4)、(6)、(19)は該当する事項がなければ、項目自体を省略することができます。
個別注記表の役割。なぜ個別注記表が必要なのか?
個別注記表は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書を見る上での参考情報のような役割を持っています。
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書だけでも多くの情報がわかります。しかし、例えば、減価償却や引当金はどのように計算しているのか、などより詳しい情報があった方が計算書類を見た人はより深く会社の決算の状況を理解することができます。また、会計方針は複数ありますから、他の会社と比較するときも、個別注記表に記載されている情報が役立ちます。
個別注記表を作成しないとどうなる?
中小企業の場合、貸借対照表と損益計算書は作成しているけど、個別注記表は作成していないケースも多いと思われます。個別注記表を作成していなくてもそれ自体でペナルティが課せられることはありません。
しかし、金融機関や保証協会などから決算書の提出を求められた場合に個別注記表が付いていないと、計算書類が不足しているとして融資がスムーズに進まない場合があります。また、許認可などを受けるために決算書の提出を求められた場合も、スムーズに進まない可能性もあります。個別注記表がないということは、会社法を守っていないことになるからです。
一度作成すると、翌年度以降は少し更新するだけでそれほど複雑なものではありません。決算の際には個別注記表も作成するようにしましょう。
個別注記表の記載例(サンプル)
個別注記表 自〇年〇月〇日 至〇年〇月〇日 1.この計算書類は、「中小企業の会計に関する指針」によって作成しております。 2.重要な会計方針に係る事項 (2)固定資産の減価償却の方法 ② 無形固定資産 (3)引当金の計上基準 ②賞与引当金 ③退職給付引当金 (4)その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項 ②消費税等の会計処理 消費税等の会計処理は、税込方式(または税抜方式)によっております。 3.株主資本等変動計算書に関する注記 (1)当該事業年度の末日における発行済株式の数 ・・・ 〇〇〇株 (2)当該事業年度の末日における自己株式の数 ・・・ 〇〇〇株 (3)当該事業年度中に行った剰余金の配当に関する事項 ・・・ 該当なし (4)当該事業年度の末日後に行う剰余金の配当に関する事項 ・・・ 該当なし |
記載例は、会計方針の変更、表示方法の変更、誤謬の訂正、その他の注記がなし、配当なしのケースを想定しています。
自社の実情に応じて適宜修正してご利用ください。
まとめ
個別注記表について解説しました。軽視されがちでありますが、会社の決算の状況を正確に把握するために重要な役割を持っています。会社法・会社計算規則で作成が義務づけられているものですから、毎期必ず作成するようにしましょう。