欠損金の繰戻し還付制度の新型コロナ特例について

新型コロナ税特法により欠損金の繰戻し還付制度の適用対象法人が拡大されています。今回は欠損金の繰戻し還付制度のコロナ特例について解説します。   青色欠損金の繰戻し還付制度とは? 青色欠損金の繰戻し還付制度とは、 … 続きを読む 欠損金の繰戻し還付制度の新型コロナ特例について

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新型コロナ税特法により欠損金の繰戻し還付制度の適用対象法人が拡大されています。今回は欠損金の繰戻し還付制度のコロナ特例について解説します。

 

青色欠損金の繰戻し還付制度とは?

青色欠損金の繰戻し還付制度とは、青色申告をしている法人が赤字(欠損金)を計上したときに、前年度に納めた税金(法人税と地方法人税)の還付を受けることができる制度のことをいいます。前年度に納めた法人税と地方法人税が上限となるため、前年度も赤字で法人税と地方法人税を納めていないときは対象とはなりません。

 

この青色欠損金の繰戻還付制度は、資本金が1億円以下の中小法人等(大法人の100%子会社等を除く)が対象ですが、新型コロナ税特法により、期間限定で適用対象法人が拡大されています。

この制度で還付される金額は次の計算式で計算します。

還付される金額=還付事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額/還付事業年度の所得金額

 

なお、法人住民税や法人事業税は、欠損金の繰戻し還付制度の適用対象とはなりません。欠損金を繰越し、翌年度以降に所得が生じたときに控除していくこととなります。

 

 

新型コロナ税特法による青色欠損金の繰戻し還付制度の適用対象の拡大

新型コロナ税特法により、2020(令和2)年2月1日から2022(令和4)年1月31日までの間に終了する各事業年度については、資本⾦1億円超 10 億円以下の法⼈も青色欠損金の繰戻し還付を受けることができるようになりました。ただし、大規模法人の100%子会社や100%グループ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人等は適用対象から除かれます。

この制度を使って還付請求をする場合は、欠損金額の生じた事業年度の確定申告書 の申告期限までに還付請求書を提出する必要があります。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、申告期限までに申告や還付請求をすることが難しい場合は、期限を延長することができます。

 

 

災害損失欠損金の繰戻し還付制度

新型コロナウイルス感染症の影響により損失が発⽣した場合、災害損失⽋損⾦の繰戻しの制度を使って、法人税額の還付を受けられる場合があります。

災害損失欠損金の繰戻し還付制度とは、災害によって欠損金が生じた場合に、前年度(青色申告の場合は前々年度まで可)に納めた税金(法人税と地方法人税)の還付を受けることができる制度です。災害があった日以後に行う中間申告でも適用することができます。

欠損金の繰戻し還付制度と異なり、青色申告は要件とはなっていません。また、適用対象法人に制限はありませんが、還付を受けることができるのは、欠損金のうち、災害により生じた欠損金の部分に限られます。

例えば、新型コロナウイルス感染症に関連して生じた次のような損失は、災害損失にあたります。

<災害損失になるもの>

・飲食業者等の食材の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄した器具備品等の除却損
・施設や備品などの消毒費用
・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損 など

 

ただし、次のような損失は、災害損失とはなりません。

<災害損失にならないもの>

・客足が減少したことによる売上減少額
・休業期間中に支払う人件費
・イベント等の中止により支払うキャンセル料 など

 

 

まとめ

新型コロナ税特法により欠損金の繰戻し還付制度が使いやすくなりました。税金の還付を受けると、当然、資金繰りがよくなります。申告をすると自動で還付を受けることができるのではなく、還付請求書の提出が必要ですから、忘れないようにしましょう。