【令和8年度(2026年度)税制改正】インボイス制度はどう変わる?対応ポイントを解説

令和8年度(2026年度)の税制改正において、インボイス制度に関する見直しが行われます。本記事では、インボイス制度を機に課税事業者となった個人事業者や、免税事業者との取引がある企業、そして古物やリサイクル資源を扱う事業者が押さえておくべき重要なポイントをわかりやすく解説します。

 

「2割特例」の終了と「3割特例」の新設

インボイス制度の導入を機に、免税事業者から課税事業者になった個人事業者の負担を軽減するための特例が設けられていた「2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了となります。

その一方、一定の個人事業者が適用を受けることができる「3割特例」が新設されました。

 

「3割特例」とは?

インボイス発行事業者の登録を受けたことで免税事業者から課税事業者となった個人事業者は、令和9年分および令和10年分の消費税の確定申告において、納付税額を売上税額の3割とすることができる特例(3割特例)を利用できます

適用を受けるための主な要件 以下のすべての要件を満たす必要があります

・個人事業者であること

・基準期間(適用を受ける年の2年前。令和9年分なら令和7年)の課税売上高が1,000万円以下であること

・インボイス発行事業者の登録を受けていること 

 

 

簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例の見直し

2割特例や3割特例の適用を受けた後に、「簡易課税制度」へ移行する際の手続きが緩和されました。

簡易課税制度選択届出書の提出期限の緩和

これまで簡易課税制度の適用を受けるには、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書を提出する必要がありました

今回の改正により、2割特例や3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合、その適用を受けようとする課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることが可能になりました

(参考)

簡易課税制度の仕組み 簡易課税制度とは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合に、実際の仕入れにかかった消費税額を計算する代わりに、事業区分ごとに定められた「みなし仕入率(40%〜90%)」を用いて納付税額を算出できる特例です

なお、一度選択すると原則として2年間は継続して適用する必要があります

 

免税事業者からの仕入控除はどうなる?(経過措置の見直し)

インボイス発行事業者以外の者(免税事業者など)からの仕入れに対する税額控除の経過措置についても、重要な変更があります。

経過措置の適用期限が2年間延長

免税事業者等からの課税仕入れについて、その一定割合を控除できる経過措置の適用期限が2年間延長されました

控除割合は今後、時期に応じて「7割」「5割」「3割」へと段階的に見直されていきます

<改正後の控除割合>

期間 控除割合
令和8年10月1日から令和10年9月30日 70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日 50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日 30%
令和13年10月1日から 0%

 

取引先毎の上限が「1億円」に変更

7割・5割・3割控除について、特定の1事業者(一のインボイス発行事業者以外の者)からの課税仕入れ合計額(税込み)が、その年または事業年度で「1億円」を超える場合、その超えた部分の課税仕入れについては特例が適用できなくなります(改正前の上限は10億円でした)

※この限度額の見直しは、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます

 

古物商・リサイクル業者向けの新たなルール「特定金属くず特例」

昨今問題となっている金属盗難対策に関連して、消費税の仕入税額控除に関する新たな特例が創設されました。

「特定金属くず特例」の創設 金属盗対策法に規定される「特定金属くず」は、従来の古物商特例や再生資源等特例の対象から除外されます

その代わりとして、同法上の特定金属くず買受業の届出を行っている事業者が、インボイス発行事業者でない者から棚卸資産として特定金属くずを買い受ける場合、一定の事項が記載された帳簿のみの保存によって仕入税額控除を認める特例(特定金属くず特例)が新たに設けられました

帳簿への記載要件 この特例の適用を受けるには、帳簿に「特定金属くず特例の対象となる旨」および「課税仕入れの相手方の住所又は所在地」を記載する必要があります。ただし、金属盗対策法で住居等の確認が不要とされている場合は、住所の記載は不要です

 

まとめ

令和9年以降も個人事業者向けには「3割特例」や簡易課税への移行緩和といった負担軽減策が続きます

一方で、免税事業者からの仕入れが多い企業は、経過措置の延長があるものの、1億円の控除上限などに注意が必要です

また、金属くずを扱う事業者は、新たな特例と帳簿要件への対応が求められます

各事業者は、ご自身の取引規模や事業内容に合わせた適切な対応を進めていきましょう。

【2026年施行】すべての中小企業も対象!「関連者間取引の書類保存特例」をわかりやすく解説

令和8年度(2026年度)税制改正で、「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」が創設されました。グループ会社間などで取引がある場合、書類の保存要件が厳格化され、対応を怠ると「青色申告の承認取消し」のリスクもある重要な改正です。 本記事では、この新しい特例の概要と実務上の対策ポイントをわかりやすく解説します。

「関連者間取引の書類保存特例」とは?

令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から親会社や子会社等の関連者との間で取引を行う場合には、「特定事項記載書類」の取得・保存が義務化されます。

持株関係等がある関連者から特許権の譲渡・貸付けや技術指導などの役務提供(販管費等の費用の額の基因となるものに限定)を受けた際、契約書や領収書等に「対価の額を算定するために必要な事項」などの記載がない取引が対象となります
この場合、確定申告期限までに記載不足を補完する特定事項記載書類を取得等し、起算日から7年間保存する義務が生じます。
保存がないと、青色申告の取消事由に該当する恐れがあるため注意が必要です。

いつから?誰が対象になるの?

本特例は、令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度に行う関連者間取引から適用されます

対象となるのは、青色申告・白色申告や企業の規模を問わず、すべての内国法人が対象です。中小企業であっても例外ではありません

「関連者」とは?どこまでの会社が含まれる?

移転価格税制とは異なり、外国法人だけでなく国内の法人も「関連者」に含まれます

具体的には、自社との間に以下のような「特殊の関係」がある法人などが該当します

持株関係: 親会社や子会社、兄弟会社など、50%以上の株式を保有している関係

実質的支配関係: 役員の過半数を占めている、事業資金の大部分を依存しているなどの関係

どのような取引が対象(特定取引)になる?

関連者から提供を受ける取引のうち、「販売費、一般管理費その他の費用の額の基因となるもの」に限定されます。関連者からの製品の仕入など、「売上原価」となるものは対象外です

主な対象取引は以下の2つです。

・工業所有権等の譲渡・貸付け: 特許権や商標権の譲渡や使用料(ロイヤルティ)など

・一定の役務提供: 親会社が行う研究開発や広告宣伝の成果の享受、親会社システムの利用や維持管理、技術指導、マーケティング支援、会計・税務・法務支援など

何を記載し、保存しなければならないのか?

対象となる取引について、注文書、契約書、領収書などの法人が保存義務を負う書類に、「役務提供の明細」や「対価の額の計算の明細(単価などの取引条件や計算方法など)」の記載がない場合、不足している情報(特定事項)を明らかにする「補完書類(特定事項記載書類)」を取得・作成し、起算日から7年間保存することが義務付けられます。 この補完書類は、確定申告期限までに取得等する必要があります

万が一、保存されていない場合、青色申告の承認取消事由等に該当する恐れがあるため注意が必要です

実務上の安心ポイントと注意点

一見すると要件が厳しく見えますが、実務上は以下の点に留意すれば柔軟に対応可能です。

金額の妥当性(他社比較)までは不要

この制度の主な目的は「実際に役務提供が行われたか」の確認と「算定根拠の把握」です。そのため、単価などの条件や期間が記載されていれば十分であり、第三者間取引と比較して「金額が適正である理由(設定理由)」まで記載する必要はありません

複数の書類の組み合わせでOK

ひとつの契約書等にすべての事項が記載されている必要はなく、契約書や請求書など複数の書類を組み合わせて算定根拠が把握できれば、新たな補完書類の保存は不要です

電子メール等でのやり取りも有効

単価や条件等の必要な事項をメールなどの「電子取引」で取得した場合、紙の「特定事項記載書類」を改めて取得・作成する必要はありません。電子帳簿保存法に基づいて、その電子データをそのまま保存すれば要件を満たします

まとめ

令和8年4月の適用開始に向けて、まずは自社のグループ企業間取引(システム利用料、経営管理料、ロイヤルティなど)を洗い出しましょう。そして、現在の契約書や領収書等で「対価の額を算定するために必要な事項」が記載等されているかを確認し、不足があれば早めに書類の整備を進めることが重要です。

【2026年導入】防衛特別法人税を徹底解説!計算方法・適用時期・実務への影響まとめ

日本の防衛力抜本的強化の財源を確保するため、新たな税制として導入されるのが「防衛特別法人税」です。

「また増税か……」と身構える経営者の方も多いかと思いますが、実はすべての企業が対象になるわけではありません。全法人のうち約94%は対象外になると見込まれており、焦点は「自社が課税ラインの境界線にいるかどうか」です。

本記事では、2026年4月から始まるこの新税制について、計算方法から実務上の注意点、さらには税効果会計への影響まで、経理担当者が知っておくべきポイントを凝縮して解説します。

 

 

1. いつから始まる?適用時期とスケジュール

防衛特別法人税の適用は、2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度からとなります。

 

  • 3月決算企業: 2027年(令和9年)3月期決算(2026年4月〜)から対象。

  • 12月決算企業: 2027年(令和9年)12月期決算(2027年1月〜)から対象。

 

現時点では「当分の間」の措置とされており、明確な終了時期は設定されていません。長期的なコストとして計画に組み込む必要があります。

 

2. いくら払う?計算方法と「500万円」の壁

防衛特別法人税は、法人税額そのものを課税標準とする「付加税」です。

 

基本の計算式

 
防衛特別法人税額 =(基準法人税額 – 500万円) ×4%
 
 
  • 基準法人税額: 各種税額控除(試験研究費の税額控除など)を差し引いたの法人税額です。

  • 基礎控除(500万円): 中小企業への配慮として、法人税額から一律500万円が控除されます。

 

利益水準別の納税額シミュレーション

法人税率を約23%と仮定した場合、課税されるかどうかの境界線は「年間の所得(利益)約2,200万円」です。

年間の所得(利益)  概算法人税額   控除後対象額   防衛特別法人税額  
2,000万円 約460万円 ▲40万円 0円(非課税)
2,500万円 約575万円 75万円 30,000円
1億円 約2,300万円 1,800万円 720,000円

 

注意ポイント:グループ法人税制

連結納税(グループ通算制度)を採用している場合、500万円の控除はグループ全体で共有します。1社ごとに500万円引けるわけではないため、子会社が多いグループは負担が増えやすくなります。

 

 

3. 税効果会計への具体的な影響

実務担当者が最も注意すべきは、「法定実効税率」の上昇に伴う会計処理です。

① 実効税率の再計算

防衛特別法人税(4%)が加わることで、法定実効税率は従来の約30.6%から0.7%〜0.8%程度上昇します。

 

② 繰延税金資産(DTA)の評価

防衛特別法人税の導入年度以降に解消される一時差異については、新しい高い税率を適用して繰延税金資産を計算し直す必要があります。

  • 影響: 税率が上がると資産計上額が増えるため、理論上は「法人税等調整額」を通じて利益が押し上げられる方向に働きます。

③ スケジューリングの複雑化

利益が2,400万円前後を推移する企業の場合、年度によって「防衛特別法人税がかかる年(高税率)」と「かからない年(低税率)」が混在することになり、税効果会計のスケジューリングが複雑になるリスクがあります。

 

4. 実務担当者が今すぐ準備すべきこと

制度開始まであとわずかです。以下の3点を優先的に確認しましょう。

 

  1. 納税予測のシミュレーション: 直近数年の利益水準から、年間の法人税額が500万円を恒常的に超えるか確認する。

  2. システム改修の確認: 利用している会計・税務申告ソフトが、防衛特別法人税の別表(別表一 次葉一など)に対応する時期を確認する。

  3. 監査法人との合意: 税効果会計における新税率の適用タイミングについて、監査法人や顧問税理士と早期に協議しておく。

 

まとめ

防衛特別法人税は、多くの小規模企業にとっては影響がないものの、中堅以上の企業にとっては確実な負担増と実務の複雑化をもたらします。特に税効果会計への影響は決算数値に直結するため、早めのシミュレーションが欠かせません。

【2024(令和6)年税制改正】法人関係税制の改正について解説

与党である自民党より2024(令和6)年度税制改正大綱が公表されました。同大綱では「賃金上昇は、コストでなく、投資である成長の原動力」と位置付けし、賃上げ促進や国内投資促進について重点的な措置が設けられています。今回は、法人に関する税制の改正について解説します。

 

1.賃上げ促進税制の改正

物価高に負けない構造的・持続的な賃上げの動きをより多くの国民に拡げ、効果を深めるため、賃上げ促進税制が強化され、3年間延長されます。

 

改正のポイント

・従来の大企業のうち、常時使用従業員数2,000人超の大企業については、現行の賃上げ率(継続雇用者の給与等支給額の3%以上増加)の要件は維持しつつ、原則の控除率が10%(現行15%)に引き下げられる一方、賃上げ率等に応じた上乗せ措置により、最大の控除率が35%(現行30%)へ拡大されます。

・従来の大企業のうち、常時使用従業員数2,000人以下の企業を新たに「中堅企業」と位置付け、従来の賃上げ率の要件を維持しつつ、最大の控除率が45%の中堅企業向け賃上げ促進税制が創設されます。

・中小企業については、従来の賃上げ要件・賃上げ率に応じた控除率を維持しつつ、新たに繰越控除制度が創設されます。繰越控除する年度は、全雇用者の給与等支給額が対前年度から増加していることが要件とされます。

・各制度において、子育てと仕事の両立支援や女性活躍の推進に積極的に取り組む企業に対する上乗せ措置が設けられます。

 

2.交際費等の損金不算入制度の見直し

中小企業の経済活動の活性化や、「安いニッポン」の指摘に象徴される飲食料費に係るデフレマインドを払拭する観点から、交際費の損金不算入制度の見直しが行われます。

 

改正のポイント

・接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が3年間延長されます。

・損金算入可能な社外飲食費の上限額が1人あたり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられます。

 

3.外形標準課税の対象法人の見直し

減資による外形標準課税逃れを防ぐため等を目的として外形標準課税の対象法人の見直しが行われます。

 

改正のポイント

現行の資本金1億円超の法人に加えて、次の法人が外形標準課税の対象法人となります。

①前事業年度に外形標準課税の対象であった法人で、当該事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が10 億円を超えるもの(減資への対応)

②資本金と資本剰余金の合計額が50 億円超の法人等の100%子法人等のうち、資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるもの(100%子法人等への対応)

 

①は2025(令和7)年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。

②は2026(令和8)年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。激変緩和措置あり

 

4.中小企業事業再編投資損失準備金の拡充・延長

成長意欲のある中堅・中小企業が、複数の中小企業をグループ化して経営資源を集約するとともに、親会社の強みを活かすことで、グループ一体となって飛躍的な成長を遂げることができるよう、中小企業事業再編投資損失準備金制度が拡充されます。

 

中小企業事業再編投資損失準備金制度とは?

一定の要件に基づく経営力向上計画の認定を受けM&Aを実施した際、M&A実施後に発生し得るリスクに備えるため、株式取得価額の70%以下の金額を準備金として積み立てた際、積立額を損金算入できる制度(現行)。

 

改正のポイント

・現行の制度は一定の表明保証契約を締結している場合は適用しないなどの見直しがされた上で、3年間延長されます。

・現行の制度に加えて、産業競争力強化法の特別事業再編計画(仮称)の認定を受けM&Aを実施した際、株式取得価額の最大100%を準備金として積み立てし、積立額を損金算入ができる措置が設けられます。据置期間は現行の5年から10年に延長されます。

 

5.イノベーションボックス税制の創設

我が国における研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的として、国内で研究開発の成果として生まれた知的財産から生じる所得に対して優遇するイノベーションボックス税制が創設されます。

 

改正のポイント

企業が国内で自ら研究開発を行った特許権またはAI分野のソフトウェアに係る著作権について、当該知的財産の国内への譲渡所得または国内外からのライセンス所得に対して、所得の30%の所得控除を認める制度が設けられます。

 

6.その他の主な改正

①中小企業倒産防止共済の掛金の損金算入の特例の改正

中小企業倒産防止共済の共済契約を解除し、再び共済契約を締結した場合、解除の日から2年を経過する日までの間に支出する共済契約に係る掛金は、損金算入ができないこととなります。

この改正は、2024(令和6)年10月1日以後の共済契約の解除について適用されます。

 

②中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長

対象法人から常時使用従業員数300人超の電子申告義務化法人を除外した上で、適用期限が2026(令和8)年3月31日まで2年間延長されます。

 

③中小企業者等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置

不適用措置の対象から銀行等保有株式取得機構を除外した上で、適用期限が2026(令和8)年3月31日までの間に終了する事業年度まで2年間延長されます。

 

④譲渡制限等のある市場暗号資産の期末評価方法の見直し

一定の譲渡制限の市場暗号資産の期末評価方法に「原価法」が選択できるようになります。

 

 

まとめ

2024(令和6)年税制改正のうち、法人に関する改正について解説しました。賃上げ促進税制や交際費等の損金不算入制度など多くの企業に関係する税制の改正も行われますので、経理に携わる方は理解しておきましょう。

 

年末年始休暇のお知らせ

年の瀬も押し詰まり、とりわけご繁忙のことと拝察いたします。
日ごろは弊所に多大なご芳情を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、誠に勝手ではございますが、弊所では年末年始の期間、下記のとおり、お休みを頂戴いたします

年末年始休暇】
  2023年12月28日から2024年1月4日まで

メールにてお問い合わせいただきましたら、2024年1月5日以降、担当者より速やかにお返事差し上げます

皆様にご不便をおかけいたしますが何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

本年も一年間、大変ありがとうございました。
良い新年を迎えられますよう、みなさまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。

10月18日~19日 臨時休業のお知らせ

日ごろは弊所に多大なご芳情を賜り、厚く御礼申し上げます。
 
さて、誠に勝手ではございますが、
弊所では社内研修のため、下記のとおり、お休みを頂戴いたします。

◆休業期間◆
2023年10月18日(水)~2023年10月19日(木)

なお、休業期間中にお問合せいただいた件につきましては、
2023年10月20日(金)以降、担当者より速やかにお返事差し上げます。

皆様にはご不便とご迷惑をおかけいたしますが
何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
秋麗の候、皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。

2023年(令和5年)度税制改正 電子帳簿保存制度関係の改正を解説

2023年(令和5年)度税制改正で、電子帳簿保存制度関係では、優良な電子帳簿の対象帳簿の範囲の合理化・明確化、スキャナ保存制度の要件の緩和、電子取引データの保存制度の猶予措置の創設の3つの改正が行われています。今回は、電子帳簿保存制度関係の改正について解説します。

 

優良な電子帳簿の対象帳簿の範囲の合理化・明確化

会計ソフトを使うなどして自身で最初から一貫してパソコンで作成している帳簿や書類で、モニターや説明書等を備え付けるなどの要件を満たしているときは、印刷せずに電子データのまま保存することができます(電子帳簿保存)。

さらに、その帳簿が「優良な電子帳簿」の要件を満たしている場合で、事前に税務署への届出をしているときは、税務調査等で、その電子帳簿に関連する過少申告が判明した場合の過少申告加算税が5%軽減されるという特典が設けられています。

「優良な電子帳簿」は、「モニター・説明書等を備え付ける」などの電子帳簿として保存するための要件に加えて、① 訂正削除履歴の保存、 ② 帳簿間の相互関連性 ③ 日付・金額・相手方による検索機能、という3つの要件を満たしている必要があります。

 

この優良な電子帳簿の対象帳簿の範囲の合理化・明確化が行われ、次のようになります。

改正前

改正後

・仕訳帳
・総勘定元帳
・その他必要な帳簿

・仕訳帳
・総勘定元帳
・その他必要な帳簿(下記の対象となる帳簿の具体例に記載のもの)


<対象となる帳簿の具体例>
・売上帳、仕入帳、経費帳(賃金台帳を除く。)、売掛帳、買掛帳
(注)所得税の場合は、賃金台帳も対象
・受取手形記入帳、支払手形記入帳、貸付帳、借入帳、有価証券受払い簿
・固定資産台帳、繰延資産台帳 等

この改正は2024年(令和6年)1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。

 

スキャナ保存制度の要件の緩和

スキャナ保存制度とは、紙で受領した書類や作成した帳簿をスキャンして、スキャンしたデータを保存する方法のことをいいます。この場合も要件が定められていますが、改正により次のような要件の緩和が行われます。

 

<改正の内容>

①記録事項の入力者等の情報を確認できるようにしておくことの要件が不要となります。
②スキャナの読み取り情報(解像度・階調・大きさ)の保存の要件が不要となります。
③帳簿との相互関連性を求める書類が重要書類(資金や物の移動に直結・連動する書類(契約書、領収書、請求書等))に限定されます。

 

改正前後のスキャナ保存制度の要件は次のようになります。

 

改正前

改正後

解像度・カラー・階調情報・大きさ情報の要件

タイプスタンプの付与

入力期間の制限

入力者等情報の確認

バージョン管理

帳簿との相互関連性の保持


(重要書類のみ)

見読可能装置・システム関係書類等の備付け/整然・明瞭出力

検索機能の確保

 

この改正は2024年(令和6年)1月1日以後に保存される国税関係書類から適用されます。

 

電子取引データの保存制度の猶予措置の創設

見積書、契約書、請求書などの書類をメールなどで電子データで受け取った場合には、電子取引データの保存の要件を満たした上で、保存しておくことが必要です(電子取引データ保存)。

 

電子取引データ保存の原則的なルール

電子取引データは、原則として、次の4つの要件を満たした上で保存する必要があります。

<電子取引データ保存の要件(原則)>

①タイムスタンプ付与、履歴が残るシステムでの授受・保存、改ざん防⽌のための事務処理規程を定めて守るなどの方法でデータ改ざん防止のための措置をとる。
②「⽇付・⾦額・取引先」で検索できるようにする。
③ディスプレイやプリンタを備え付け、いつでもデータを確認できる。
④システムのマニュアル、手順書などを備え付けている。

 

ただし、準備が間に合わない会社も多かったため、2022年(令和4年)税制改正で次のような宥恕措置(経過措置)が設けられました。

<2023年(令和5年)12月31日までの宥恕措置(経過措置)>

2023年(令和5)年 12 月 31 日までに⾏う、電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしておくことが認められる。

 

この宥恕措置により、2023年(令和5)年 12 月 31 日までは、事実上、データをプリントアウトして保存しておけば、特に問題ありませんでした。この宥恕措置は期限をもって廃止されますが、その代わりに次のような期間制限のない猶予措置が設けられることとなりました。

<2023年(令和5年度)税制改正で新設された猶予措置~2024年(令和6年)1月1日以後適用~>

次の3つの猶予措置の要件を満たす場合には、原則的な保存方法によらず、電子取引データの保存することが認められます。

①電子取引データ保存の要件(原則)で保存できないことについて相当の理由がある(事前手続は不要)
②税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じることができる
③税務調査等の際にプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じることができる

 

さらに検索機能確保の要件を不要とする措置について次の改正が行われています。

従来から小規模事業者については電子取引データ保存の4つの要件のうち、税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じることができる場合には、検索機能確保の要件は不要とされています。

この対象となる検索機能確保の要件を不要とする措置の対象者が拡大されました。

改正前

基準期間(2課税年度前)の売上高が1,000 万円以下の事業者

改正後

次のいずれかの要件を満たす事業者

・基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000 万円以下の事業者

・電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日、取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている事業者

プリントアウトして、取引年月日、取引先ごとに整理している場合は、規模にかかわらず、検索要件確保の要件は不要となります。

 

まとめ

2023年(令和5年)度税制改正による電子帳簿保存制度関係の改正について解説しました。時に電子取引データ保存の経過措置の適用期限到来後はどうなるか気にされている方も多かったのではないでしょうか。猶予措置の創設によりプリントアウト+データの保存で対応することができるようになりました。これ措置を使えば対応しやすいのではないでしょうか。今後も電子帳簿保存制度については見直しが行われていくと思われますので、引き続き確認していく必要があるでしょう。

2023年(令和5年)度税制改正の全体像を知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

(関連記事)2023年(令和5年)度税制改正のポイント

法定実効税率とは?その計算方法は?

税効果会計の適用や事業計画書の作成など将来負担すべき法人税等の金額を計算する際には法定実効税率を用います。今回は法定実効税率の概要や計算式、具体的な計算例などについて解説します。

 

法定実効税率とは?

法定実効税率とは、所得に対して負担することになる法人税等の割合のことをいいます。

 

法人税等には次の税金が含まれます。

・法人税
・地方法人税
・法人住民税(法人税割)
・事業税(所得割)
・特別法人事業税

なお、外形標準課税(事業税の付加価値割、資本割)は、所得に対して課税される税金ではないため、法定実効税率には含まれません。

 

法定実効税率の計算式

法定実効税率の計算式は、企業会計基準適用指針第 28 号『税効果会計に係る会計基準の適用指針』の中で次のように定められています。

 

法定実効税率 =(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率※)÷(1+事業税率※)

※事業税率には外形標準課税を含みません。
また、事業税が課税標準となる特別法人事業税を含み、次のように計算します。

事業税率=事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率

 

事業税は損金の額に算入することができ、法人税を減らす効果があります。そのため、単純に税率を足すのではなく、上記のような事業税の損金算入効果を考慮した計算式とする必要があります。

 

法定実効税率と表面税率の違い

法定実効税率とよく似た言葉に「表面税率」というものがあります。

 

この表面税率の計算式は次のとおりです。

表面税率 = 法人税率×(1+地方税率+住民税率)+事業税率

表面税率は事業税の損金算入効果を考慮しない単純な税率の合算ということになります。

 

 

法定実効税率が利用される場面

法定実効税率は次のような場面で利用されます。

 

税効果会計の適用

税効果会計の適用にあたって、繰延税金資産や繰延税金負債の計上額を計算する際に、法定実効税率を用いることとなります。

事業計画書を策定する場面

将来の事業計画書の中には、将来の利益やそれに対する法人税等も織り込む必要があります。その際の法人税等を計算する際に法定実効税率を用いることができます。

 

法定実効税率の限界

法定実効税率には次のような限界があります。

 

法人税や事業税の軽減税率は考慮しない。

中小法人の場合、法人税率の軽減措置が設けられており、所得のうち年800万以下の部分については軽減税率が適用されます。事業税率も、軽減税率適用法人については、課税標準の金額によって段階的に軽減税率が設定されています。これらの軽減税率を考慮すると、法定実効税率の計算式が複雑になるため、考慮しません。

主たる事業所が所在する住民税率や事業税率を用いる。

住民税率や事業税率は地方自治体が条例で定めるため、地方自治体によって少し異なります。複数の地方自治体に事業所がある場合、事業所毎に法定実効税率を計算するとあまりにも複雑になります。そのため、主たる事業所が所在する地方自治体の住民税率や事業税率を用いて法定実効税率を計算することとなります。

事業税の損金算入効果が生じる時期を考慮しない。

事業税は支払った時期に損金算入が可能となるため、通常は所得が生じた期と損金算入されるタイミングにズレが生じます。しかし、法定実効税率の計算にあたってはそのようなタイミングのズレは考慮されていません。

住民税の均等割額は考慮しない。

住民税の均等割も所得に応じて課税されるものではないため、法定実効税率の計算式では考慮されていません。

 

このように法定実効税率は計算上の便宜を図った上で計算されるものであるため、実際に計算された法人税等の金額と、法定実効税率を用いて計算した金額が一致することはほとんどありません。

 

2023年3月期の法定実効税率のパターン

2023年3月期に適用される法定実効税率をいくつかのパターンで計算すると次のようになります。

 

(1)東京都(特別区内)、外形標準課税適用法人住民税・事業税は超過税率適用

法人税:23.2%
地方法人税:10.3%
法人都民税法人税割:10.4%(超過税率)
事業税(所得割):1.18%(超過税率)
特別法人事業税:事業税(標準税率)1.0%×260%

(23.2%×(1+10.3%+10.4%)+1.18%+1.0%×260%)÷(1+1.18%+1.0%×260%)=30.62%

 

(2)東京都(特別区内)、外形標準課税非適用、法人都民税・事業税は超過税率適用

法人税:23.2%
地方法人税:10.3%
法人都民税法人税割:10.4%(超過税率)
事業税(所得割):7.48%(超過税率)
特別法人事業税:事業税(標準税率)7.0%×37%

(23.2%×(1+10.3%+10.4%)+7.48%+7.0%×37%)÷(1+7.48%+7.0%×37%)=34.59%

 

(3)大阪府大阪市、外形標準課税適用法人住民税・事業税は超過税率適用

法人税:23.2%
地方法人税:10.3%
法人住民税法人税割(超過税率):大阪府2.0%+大阪市8.2%=10.2%
事業税(所得割):1.18%(超過税率)、
特別法人事業税:事業税(標準税率)1.0%×260%

(23.2%×(1+10.3%+10.2%)+1.18%+1.0%×260%)÷(1+1.18%+1.0%×260%)=30.58%

 

(4)大阪府大阪市、外形標準課税適用なし、法人住民税・事業税は超過税率適用

法人税:23.2%
地方法人税:10.3%
法人住民税法人税割(超過税率):大阪府2.0%+大阪市8.2%=10.2%
事業税(所得割):7.48%(超過税率)
特別法人事業税:事業税(標準税率)7.0%×37%

(23.2%×(1+10.3%+10.2%)+7.48%+7.0%×37%)÷(1+7.48%+7.0%×37%)=34.55%

 

このように法定実効税率は事業所の所在地、外形標準課税適用法人かどうか、超過税率が適用される法人かどうかなどによって様々なパターンがあります。自社の状況を正しく判断して法定実効税率を計算する必要があります。また、最新の税率を確認するようにしましょう。

 

まとめ

法定実効税率について解説しました。法定実効税率の計算にあたっては間違いやすいポイントがたくさんありますので、一つ一つ理解し、自社の適用される税率を確認しながら、丁寧に計算する必要があるでしょう。

なお、本投稿は、投稿日時点で最新の情報に基づいて作成していますが、記載内容に誤りがあったとしても責任は負いかねますので、ご了承ください。

2023年(令和5年)度税制改正のポイント

2023年3月28日、2023年(令和5年)度税制改正法案が成立しました。
今回は2023年(令和5年度)税制改正のポイントを解説します。

個人に関する税金

個人に関する税金は主に次のような改正が行われます。

少額投資非課税制度(NISA)の拡充・恒久化

・少額投資非課税制度(NISA)の非課税保有期間が無期限化され、口座開設可能期間の期限も撤廃され、NISA制度は恒久的な措置となります。

・「つみたて投資枠」は現行のつみたてNISAの年40万円から年120万円に拡充されます。

・現行の一般NISAに代えて「成長投資枠」が設けられ、「つみたて投資枠」との併用が可能となります。「成長投資枠」の年間投資上限額は、現行の一般NISAの年120万円から年240万円まで拡充されます。

・年間投資額とは別に、総額1,800万円(内、成長投資枠 1,200万円)の一生涯における非課税限度額が設けられます。

 

資産に関する税金

資産に関する税金は主に次のような改正が行われます。

相続時精算課税制度の改正

相続時精算課税制度の特別控除額2,500万円に、年110万円の基礎控除額が設けられることとなりました。これにより、相続時精算課税制度選択後も、年110万円まで課税されずに贈与を行うことが可能となります。2024年(令和6年)1月1日以後の贈与について適用されます。

相続開始前贈与の加算期間の改正

相続開始前贈与の加算期間が現行の3年間から7年間に延長されます。なお、延長された4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産から控除する措置が講じられます。
この改正は2024年(令和6年)1月1日以後の贈与により取得する財産に係る相続税について適用されます。

教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与 3年延長

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、節税的な利用が行われないように一定の見直しが行われた上で、適用期限が2026年(令和8年)3月31日まで3年間延長されます。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、節税的な利用が行われないように一定の見直しが行われた上で、適用期限が2025年(令和7年)3月31日まで2年間延長されます。

 

法人に関する税金

法人に関する税金は主に次のような改正が行われます。

研究開発税制の改正

一般試験研究費の額に係る税額控除制度について、税額控除率や控除税額の上限について見直しが行われた上で、適用期限が2026年(令和8年)3月31日までに開始する事業年度mで3年延長されます。

また、特別試験研究費の対象となる試験研究費の額や試験研究費の範囲についての見直しが行われます。

この改正は2023年(令和5年)4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

 中小法人に対する法人税の軽減税率の特例の期限延長

 中小法人に対する法人税の軽減税率の特例(所得金額年800万円まで15%)の適用期限が2025年(令和7年)3月31日までに開始する事業年度まで2年間延長されます。

中小企業投資促進税制の期限延長

中小企業投資促進税制について、対象資産から、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外するなど一定の見直しが行われた上で、適用期限が2025年(令和7年)3月31日まで2年間延長されます。

暗号資産の評価方法等の改正

暗号資産の評価方法等について次の見直しが行われます。

①暗号資産の時価評価の対象から、自己が発行した暗号資産で発行の時から継続して保有しているものであること等一定の要件に該当する暗号資産が除外されます。

②自己が発行した暗号資産の取得価額は、発行に要した費用の額となります。

③法人が暗号資産交換業者以外の者から借り入れた暗号資産を譲渡した場合で、譲渡した日の属する事業年度終了の時までにその暗号資産と同じ種類の暗号資産の買戻しをしていないときは、買戻しをしたものとみなして譲渡損益を計算します。

これらの改正は2023年(令和5年)4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

 

インボイス制度に関する改正

インボイス制度に関しては、主に次のような見直しが行われています。

小規模事業者に係る納税額の負担軽減措置(2割特例)の創設

免税事業者がインボイス制度対応のためにインボイス発行事業者を選択した場合の負担軽減を図るため、3年間、負担軽減措置が設けられます。

一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)

基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間、税込価額が1万円未満の課税仕入れの場合は、一定事項を帳簿に記載することで仕入税額控除が認められることとなります。

インボイス制度の登録手続きの見直し

インボイス制度の登録手続きに関する期限、登録日について次のように改正が行われます。

 

改正前

改正後

免税事業者が課税期間の初日から登録を受けようとする場合の申請期限

当該課税期間の初日の前日から起算して1月前の日

当該課税期間の初日から起算して15日前の日

適格請求書発行事業者が翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合の申請期限

その提出があった課税期間の末日から起算して30日前の日の前日

当該翌課税期間の初日から起算して15 日前の日

登録に関する経過措置期間*中の登録日

登録完了日

提出する日から 15 日を経過する日以後の日で登録を希望した日

*2023年(令和5年)10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間

なお、これらの改正の趣旨等を踏まえて、2023年(令和5)年 10 月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する困難な事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないこととされます。

 

電子帳簿保存法制度の改正

電子帳簿保存制度に関しては、主に次のような見直しが行われています。

・電子取引データの保存制度に関して、現行の経過措置は2023年(令和5年)12月31日の適用期限をもって廃止された上で、2024年(令和6年)1月1日以降は、次の猶予措置が設けられます。

(猶予措置の内容)
相当の理由があると認める場合には、その電子取引データの出力書面の提示・提出の求め及びその電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、保存要件を不要として、電子取引データの保存が可能となります。

また、検索機能の確保の要件の緩和措置が設けられます。

・スキャナ保存制度について、入力者等の情報の確認要件、スキャナの読取情報(解像度・階調・大きさ)の保存要件は廃止されます。また、相互関連性の要件は重要書類に限定されます。

・優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の対象帳簿の範囲の合理化・明確化が行われます。

現行

仕訳帳、総勘定元帳、その他必要な帳簿(全て)

改正後

仕訳帳、総勘定元帳、次に記載する対象帳簿

<対象帳簿>
・売上帳、仕入帳、経費帳(賃金台帳を除く。)、売掛帳、買掛帳(注)所得税の場合は、賃金台帳も対象となる。
・受取手形記入帳、支払手形記入帳、貸付帳、借入帳、有価証券受払い簿
・固定資産台帳、繰延資産台帳 等

電子帳簿保存制度関係の改正について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

(関連記事)2023年(令和5年)度税制改正 電子帳簿保存制度関係の改正を解説

 

その他の改正

無申告加算税の加重措置の創設

追徴税額(増差税額)が300万円を超える場合の無申告加算税の割合が20%から30%に引き上げられます。

また、前年度及び前々年度に無申告加算税または重加算税(無申告)を課される者が、更なる無申告行為を行った場合、無申告加算税または重加算税が10%加重されます。

これらの改正は、2024年(令和6年)1月1日以後に申告期限が到来する国税について適用されます。

 

まとめ

2023年(令和5年)度税制改正について解説しました。インボイス制度や電子帳簿保存制度の改正は多くの会社に共通して影響があるため、理解しておきましょう。

なお、今回の改正はありませんが、防衛力の強化に係る財源を確保するため、今後、法人税、所得税、たばこ税等について増税される方針が示されています。今後の動向についても注意していく必要があります。 

給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供とは?

給与所得の源泉徴収票等は一定の要件を満たした場合、電子メール等での方法で電子交付することができます。今回は給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)について解説します。

 

源泉徴収票等の電子交付制度の概要

源泉徴収票等は書面で交付するのが原則ですが、受給者からあらかじめ電子交付の同意を得ている場合には、給与所得の源泉徴収票や給与等の支払明細書等を電子交付(電磁的方法による提供)することができます。

 

電子交付の対象となる書類は次のとおりです。

給与所得の源泉徴収票、給与等の支払明細書

退職所得の源泉徴収票、退職手当等の支払明細書

公的年金等の源泉徴収票、公的年金等の支払明細書

オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書

配当等とみなす金額に関する支払調書

上場株式配当等の支払通知書

特定口座年間取引報告書

特定割引債の償還金の支払通知書

未成年者口座年間取引報告書(契約不履行等事由が生じた場合に限る)

 

なお、給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、公的年金等の源泉徴収票を電子交付する場合は、摘要欄に「電子交付」と表示して電子交付であることをわかるようにしておく必要があります。

 

源泉徴収票等を電子交付するメリット

源泉徴収票等の電子交付には次のようなメリットがあります。

 

メリット1:コストカットできる

書面で交付する場合には、印刷費用、封筒の購入費用、送付費用(郵送等の場合)がかかりますが、電子交付の場合はこれらのコストが不要となり、コストカットを図ることができます。

 

メリット2:事務負担を削減できる

書面で交付する場合には、印刷、封入、送付のための事務負担がかかりますが、電子交付の場合はこれらの事務負担の必要がなくなります。

 

メリット3:受給者が紛失することがなくなる

受給者(電子交付を受ける者)にとっては、紛失等のリスクがなくなります。また、データが残るため、過去分が必要となった場合も探しやすくなります。

これは交付者側にとっても再交付の手続きの必要がなくなります。

 

メリットが大きい一方、受給者も自身で印刷すれば書面交付と同様の書類を用意できるため、大きなデメリットはないとも言えます。

 

源泉徴収票等を電子交付するために必要な要件

源泉徴収票等を電子交付するためには次の要件を満たす必要があります。

 

要件①:事前承諾を得ていること

あらかじめ電磁的交付の種類と方法を示し、電磁的方法または書面で承諾を得ておく必要があります。一度、同意を得た場合は、電子交付を都度承諾を得る必要はありません。

 

要件②:電子交付の方法が一定の要件を満たすこと

次の要件を満たした形で電子交付をする必要があります。

イ)パソコン等で表示や書面への出力ができること

ロ)電子交付したことを通知すること(直接送信する場合や記録媒体を交付する場合は除く)

 

なお、受給者が希望する場合には書面で交付する必要があります。また、一旦承諾を得た場合でも、書面交付への変更を希望した場合には、それ以後は書面で交付しなければなりません。

 

源泉徴収票等の電子交付の方法

源泉徴収票等の電子交付の方法には次のような方法があります。

 

①電子メールを利用する方法

源泉徴収票等を電子メールで直接送付する方法です。

 

②社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧に供する方法

源泉徴収票等のデータをインターネット上にアップし、受給者がアクセスして、閲覧する方法です。

 

③CD等の媒体に記録して交付する方法

源泉徴収票等のデータをCD等の媒体に記録して、受給者に交付する方法です。

 

電子交付する場合に、データを改変できないようにする措置を講じることまでは求められていませんが、データの真実性を担保するため、電子署名を付し電子証明書を添付するなどしておくことが望まれます。

 

源泉徴収票等を電子交付の事前承諾を得るときの注意点

事前承諾を得る際の書式については特に決められたものはありませんが、次の事項について示した上で、受給者から「電子交付を承諾する旨、承諾日、氏名」などを記入してもらうことが考えられます。

 

①電子交付する書類の名称(給与所得の源泉徴収票、給与等の支払明細書の別等)

②電磁的方法の種類やその具体的な方法

③受信者ファイルへの記録方法(XML形式、PDF形式、暗号化して受信者ファイルに記録する旨及びその復号化方法等)

④交付予定日(毎年○月○日までに交付、給与支給日に交付等)

⑤交付開始日

⑥その他参考となる事項

 

なお、2023年(令和5年)度税制改正により、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、電子交付の承諾を得ようとする際に、「回答期限内に回答がないときは承諾があったものとみなす」旨の通知を行っていた場合には、回答がなくても電子交付の承諾があったものとみなされることとなります。回答期限について、「何週間」といった決まりはなく、受給者の方の勤務状況等を考慮し、回答に必要な期間を見積もった上で設定すればよいこととされています。

 

まとめ

給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供について解説しました。紙媒体での交付は手間がかかるもの。電子交付の方法によることによってコストや事務負担を削減することが可能になります。制度を理解して、活用するとよいでしょう。

 

経理代行、アウトソーシングを活用しよう!経理業務が面倒な方へ

事業をしている、避けては通れないことが経理業務です。特に月末や決算の時期は、経理における対応に時間を割かれるでしょう。

そこでおすすめしたいサービスが「経理代行(経理アウトソーシング)」です。経理代行へ依頼することで、仕事に集中できる時間と環境を確保しましょう。今回は経理代行について徹底解説します。経理の負担が大きくなってきた方は、参考にしてください。

 

経理代行(経理アウトソーシング)とはどんなサービス

経理代行(経理アウトソーシング)は、経理業務を代わりに対応してくれる頼れるサービスです。

経理業務は、会計処理や帳簿管理、税務申告、資金繰りの管理などがあり煩雑で、本来の事業のリソースを奪ってしまう場合があります。そのような時に経理代行を活用すると便利です。

経理代行会社には専門的な知識と技術を持ったスタッフが在籍しています。プロ集団がクライアントから依頼されて受け取った記帳や伝票データをもとに、会計処理、帳簿管理、税務申告などの業務を代行する仕組みです。

 

依頼内容次第では、支払いや請求の管理まで行ってもらえます。

コンプライアンスの面でも、正式に守秘義務などの約束が含まれた契約書を交わすことが原則のため、安心です。

 

混同されがちな「経理代行」「税理士」「記帳代行」ですが、それぞれ内容は違っています。

 

経理代行

経理代行は、経理業務を代行する業務で、帳簿の整理、入力、伝票の仕訳、起票、確定申告書類の作成、税務申告の準備などに対応しています。

 

税理士

税理士は、税務に関する業務に対応しています。確定申告書類の作成、税金の計算、そして税務相談も含まれます。また、税務に関する法律や法改正にも精通しているため、クライアントに最適な税務戦略のアドバイスもできます。

 

記帳代行

記帳代行は、クライアントの帳簿管理業務に対応しています。記帳代行は経理代行と同様に経理に対応しますが、税務申告などには対応しません。

 

経理代行(経理アウトソーシング)の相場

経理代行(経理アウトソーシング)の相場は、基本的には仕訳数や従業員数などによって変動します。

 

相場感は事前に認識しておきましょう。

以下に具体例を示します。

 

  • 1仕訳あたり:100円〜200円
  • 給与計算従業員1人あたり:1,000円〜2,000円
  • 年末調整代行:2,000円〜3,000円
  • 決算代行:10万円〜20万円

 

経理代行(経理アウトソーシング)の料金について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も、参考にしてください。

(みんなの経理部)経理業務のアウトソーシングの料金体系や相場について解説

 

経理代行(経理アウトソーシング)を使うメリットデメリット

経理代行(経理アウトソーシング)を使うともちろん良いこともありますが、デメリットもあります。

メリットとデメリットの両方を知って、トラブルなく有効活用できるようにしましょう。

 

経理代行を使うメリット

経理代行を使うメリットは、下記が想定されます。

  • コストを削減できる
  • リソースの確保が可能
  • ミスや不正を防止できる
  • 税務関係の業務も依頼できる場合がある
  • 本来の業務に集中できる
  • 経営判断を迅速にできる

 

  • コストを削減できる

経理代行は、コストを削減できます。経理のために従業員を雇用している場合、この人件費が不要となります。経理代行へ支払う報酬は、従業員の給料よりも安く済みます。

  • リソースの確保が可能

経理代行に依頼すればリソースを確保でき、フリーランスの仕事の時間を奪われずに済みます。従業員がいる場合は、経理とほかの業務を兼務している従業員の経理リソースをカットでき、その分ほかの業務にリソースを割けるようになります。

  • ミスや不正を防止できる

経理代行はプロです。フリーランス自身で経理に対応するよりも正確に処理してもらえます。従業員に任せている場合は不正を疑うこともありますが、経理代行に頼めば不正防止を徹底できます。

  • 税務関係の業務も依頼できる場合がある

経理代行によっては、税務関連の業務も依頼できます。専門知識が必要な業務ですが、税理士に依頼すれば安心です。税理士に経理代行を依頼する場合は、税務署類の作成、税務申告の代行までも依頼できます。税務に関するアドバイスも受けられるため、心強い存在です。

  • 本業に集中できる

経理代行を利用することで経理に使う時間を削減でき、本業に集中できます。経理業務の量が増えれば増えるほど、やはり経理代行に依頼することが先決です。

  • 経営判断を迅速にできる

フリーランスの事業として経営判断が必要になった場合、経理情報が必要なことがほとんどです。常に経理代行に業務を依頼しておけば、いつでも経理情報を参照することができるため、経営判断の際にデータがないといったリスクを回避できます。

 

経理代行を使うデメリット

反対に経理代行を使うデメリットとしては、下記が考えられます。

  • 経理に精通できない
  • セキュリティ面のリスク

 

  • 経理に精通できない

最初から経理代行を頼ると、経理に長けた従業員がいない状況が続きます。事業内容にかかわらず、まず自身や従業員が経理業務を覚えておくことも重要です。経理代行へ依頼することは、コストが嵩んできたタイミングでも遅くありません。

 

  • セキュリティ面のリスク

経理代行は、責任を持って代行する事業者ですが、それでも外部に委託する点で情報漏洩のリスクは拭えません。依頼する場合は「どこに依頼するか」を慎重に検討することが重要です。

 

経理業務のアウトソーシング(経理代行)のメリット・デメリットについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

(みんなの経理部)経理業務をアウトソーシングするメリット・デメリット

(みんなの経理部)経理業務のアウトソーシング(経理代行)でコスト削減は可能になる?

 

経理代行(経理アウトソーシング)サービスの選び方

優秀な経理代行を見極めるために以下の条件を大切にしてください。

  • 経験と実績が豊富である
  • 専門性がある
  • サービス内容が経理代行に合致している
  • セキュリティが万全である
  • コミュニケーション能力が高い

上記の条件を揃えている業者は、比較的安心して依頼することができるでしょう。ただし企業の特徴によって合う合わないがあるため、すり合わせをして自分に合ったところを見つけることがベストです。

 

おすすめの経理代行(経理アウトソーシング)サービス

みんなの会計グループでは、従業員数が10名までの会社様向けの「みんなの会計事務所 記帳代行・経理代行サービス」従業員数が10名〜500名までの会社様向けの経理アウトソーシングサービス「みんなの経理部」を提供しています。

どちらも会計事務所が監修する高い品質で、従業員数数名のベンチャー企業から上場企業までご利用いただいています。お気軽にご相談ください。

 

まとめ:経理代行(経理アウトソーシング)で作業時間を確保しよう

経理代行は、忙しいフリーランスにとって実に頼れる存在です。現在の事業の状況に合わせて、経理の一部の依頼、丸投げの選択ができる点も柔軟性があり魅力です。事業を成長させることに集中するためにも、経理代行を有効活用してください。

アウトソーシングで経理のお悩みから解放!『みんなの経理部』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社ネイチャーオブシングス

Q.会社の事業について教えてください。

大切な人に、感謝と愛情の気持を一冊の絵本の手紙にして届けるレターギフトサービス「シカケテガミ」を展開しています。

オンデマンド型のECサービス。イラストやストーリー設定、伝えたいメッセージ等を選択/入力するだけで、「自分」が主人公のかわいい1冊ができあります。

コンセプトは「いい大人のためのラブレター」。

近しい相手ほど、改まって自分の気持ちを伝えるのは難しいこともあるでしょう。特に男性なら尚更そうなのではないでしょうか。

欲しいと思っていたがどこにもなかったから、自分自身でサービスを作って始めました。

事業開始間もなくからテレビやインターネットメディアで取り上げられ話題となり、その反響の大きさには自分自身が一番驚きました。

シカケテガミ:いい大人のラブレター

 

Q.いま積極的に取り組まれていることはどんなことでしょうか?

当初は、プロポーズや結婚記念日などに、「男性から女性へ」贈ることをサービスを開始していましたが、徐々に商品を増やし、現在は「親から子供へ」「女性から男性へ」を追加、合わせて3種類で展開しています。

新しい商品の認知度の向上に取り組んでいます。

 

Q.みんなの会計事務所を顧問税理士にお選びいただいたきっかけは何でしょうか?

私の場合はみんなの会計事務所の税理士を知っていたこともあり、顧問契約をすることにしました。

弊社は東京で、みんなの会計事務所は大阪が拠点なので、距離はありますが、メールでのやりとりや定期的なWeb面談でコミュニケーションを図っており、特に問題を感じることはありません。直接会って面談となると構えてしまいます。むしろ、それくらいの方がよいかなとも感じています。

 

Q.顧問税理士がいて良かったと感じることはありますか?

税務に関して素人なので、どの範疇までを自分でやるべきで、どこからが相談すべきか、そもそも判断がつかないことだらけ。まさにわからないことがわからないという状況です。本来は自ら調べるべきこともあるとは思うし、そうした方がよいとは思うが、この調べる時間にこそ時間がとられてしまいます。

なにかわからないことがあれば、みんなの会計事務所に相談することで、いろいろなことが最短・最速で解決しています。だからいつも、ほんの些細な事でも、ちょくちょく問い合わせを入れるようにしています。いつも淡々と、的確な答えをもらうことができて、とても満足しています。

 

Q.顧問税理士に今後もっと期待したいことを教えてください。

私にとって、顧問税理士は、ファイナンスパートナー、会社の参謀という位置付けで考えています。引き続き、専門家の観点で適宜、適切なアドバイスをいただけると助かります。

 

Q.最後に、会社の今後の展望などをお聞かせください。

今年、「N:1(複数の人:1人)」のレターギフトサービスを始動させます。

現行の「シカケテガミ」は、記念日や人生の節目に主な需要があるため、リピーターを獲得しづらく、単価設定もこれ以上は難しいと感じています。

もっと気軽に利用できればグループ「みんな」が参加がしやすくなり、会社の送別会や部活の壮行会など、ブライダルシーン以外で幅広い需要を見込むことができます

海外での展開も視野に入れ、利用者のすそ野をどんどん広げていきたいと考えています。

 

 

株式会社ネイチャーオブシングス 濱本 智己 様