平成28年度の税制改正において、いわゆるスキャナ保存の要件について、次の改正が行われました。これらの改正により、今後、受領した領収書を社外でスマホで読み取ることも可能となります。
1.スキャナについて、「『原稿台と一体型』に限る」要件が廃止
これまで、国税関係書類の読み取りを行うスキャナについては、「原稿台と一体型に限る」という要件がありましたが、この要件が廃止されました。
2.領収書等の受領者等が読み取る場合の要件を整備
領収書や請求書等について、その受領者や作成者が読み取る場合、受領後、その者が署名の上、3日以内にタイムスタンプを付すことが要件とされました。また、書類の大きさがA4以下であるときは、大きさに関する情報の保存が不要とされました。
3.小規模企業者の特例が創設
保存義務者は、いわゆる適正事務処理要件(①相互けんせい、②定期的なチェック、③再発防止策)に関して、事務手続や規程を整備し、これらに基づいた事務処理を行う必要がありますが、保存義務者が小規模企業者の場合で、②の「定期的なチェック」を税務代理人が行うときは、①の「相互けんせい」の要件が不要となります。
改正後の要件でスキャナ保存しようとする場合には、電子データの保存により書類の保存に代える日の3か月前までに「申請書」を提出する必要があります。この改正による申請書の受付は、平成28年9月30日からとなります。なお、既にスキャナ保存の承認を受けている場合でも、平成28年9月30日以後に「申請書」を提出して承認を受けない場合、従来の要件で保存しなければなりません。