税金にはさまざまな種類がありますが、企業や団体などの法人が支払わないといけない税金のひとつが法人事業税です。
そもそも法人事業税とはどのような性質の税金なのでしょうか。
法人事業税の特徴と法人事業税特有の損金算入について解説します。
法人事業税とは
企業などに課される税金には、法人税、法人住民税、法人事業税などがあります。法人事業税は、そんな法人に課される税金の内のひとつです。
地方自治体である都道府県が、法人の所得に応じて賦課しています。
法人税も同じような性質で、法人の所得に応じて課される税金ですが、異なるのは国税であるということ。
法人事業税は地方税にあたるので、法人税とは分けて考えなくてはなりません。
なお、法人事業税(所得割額)は以下のようにして納める税金の額を求めます。
法人事業税(所得割額) = 所得 × 法人事業税率
法人事業税の大きな特徴は、法人税や法人住民税にはない損金算入が可能だということ。法人事業税を支払った分、法人税や法人住民税は減るということとなります。
ちなみに、大規模な企業になると法人事業税の外形標準課税という税金が課されるようになます。法人事業税は法人の所得に対して課されるため、赤字の場合は発生しません。しかし、外形標準課税は、資本金や付加価値といった法人の所得以外の要素に基づいて税金が課されることとなるため、赤字でも生じることとなります。
資本金1億円以上の企業に課される税金で、従来の法人事業税が十分でなかったことから、補完という形で設定されているものです。
法人事業税の税率は?
法人事業税の税率は標準税率が決まっていて、標準税率から一定の範囲内で各地方自治体が定めています。
大阪府の場合は、資本金や所得によって複数の税率を設けています。
大阪府の所得を課税標準とする普通法人(外形標準課税の適用外の法人)の事業税所得割に対する税率は次のとおりです。
(軽減税率適用法人)
2019/10/1以後開始する事業年度 | 2019/9/30までに開始する事業年度 | |||
超過 | 不均一 | 超過 | 不均一 | |
年400万円以下の所得 | 5.25 | 5 | 3.65 | 3.4 |
年400万円超800万円以下の所得 | 7.665 | 7.3 | 5.465 | 5.1 |
年800万円超の所得 | 10.08 | 9.6 | 7.18 | 6.7 |
(軽減税率不適用法人)
2019/10/1以後開始する事業年度 | 2019/9/30までに開始する事業年度 | |||
超過 | 不均一 | 超過 | 不均一 | |
所得にかかわらず | 10.08 | 9.6 | 7.18 | 6.7 |
大阪府の場合、「資本金の額が1,000万円未満 かつ 事務所等がある都道府県の数が3未満」の法人が軽減税率適用法人となります。
また、「資本金の額が1億円超 または 所得が年5,000万円超」の法人は超過税率が適用され、それ以外の法人は不均一課税適用法人の税率(標準税率)が適用されます。
さらに、基準法人事業税所得割額に対して、地方法人特別税がかかります。
2019/9/30までに開始する事業年度 | |
基準法人事業税所得割額に対して | 43.2 |
2019/10/1以後開始する事業年度より、地方法人特別税が廃止され、その分、事業税の税率が上がることとされています。
事業税は損金算入できる
損金とは、法人税などの計算にあたって収入から差し引くことができるもののことをいいます。損金が多くなるということは税金が少なくなることを意味しています。
法人事業税はこの損金に算入することができるため、法人事業税を支払った期の所得は少なくなり、税金が少なくなります。
なお、損金算入できるのは、法人事業税を支払った期となります。未払計上した期ではないので、注意しましょう。
損金算入できる税金には、このほかに、固定資産税や自動車税、不動産取得税、印紙税などがあります。
しかし、法人の所得を基準に課されることになる税金で損金算入できるのは、法人事業税(地方法人税特別税を含む)だけとなります。
まとめ
法人に課される税金のひとつである法人事業税は、他の法人の所得に対してに課される税金とは異なり損金算入ができます。ただし、損金算入時期は、支払った期となりますので、注意してください。また、事業税の税率は、大阪府のように資本金や所得によって、複数設けている地方自治体もあります。適用を間違えない用意しっかりと確認して税金の申告を行いましょう。よくわからないときはみんなの会計事務所までお気軽にご相談ください。