確定申告Q&A

医療費控除と確定申告 医療費控除の適用を受けるときの領収書の提出が不要に!

これまで、医療費控除を適用するときは、原則として、確定申告書に医療費の領収書を添付して提出する必要がありました(e-Taxによるときは記載内容を入力して送信することにより、原本の添付等は省略可)。

今回、これについての改正が行われ、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合には、医療費の領収書の添付等の必要はなくなり、その代わりに医療費の明細書または医療保険者等の医療費通知書の確定申告書への添付が必要となりました。ただし、税務署長は、確定申告期限等から5年間、この明細書に係る医療費の領収書の提示や提出を求めることができますので、税務署から求められた場合には、領収書を提示するか提出しなければなりません。そのため、領収書はすぐに捨てるのではなく、一定期間保存しておかないといけません。
なお、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、改正前の医療費の領収書の添付等による医療費控除を適用することもできます。

セルフメディケーション税制を適用する場合も同様で、確定申告にあたって領収書の提出は必要ない代わりに、明細書を添付する必要があります。

サラリーマンの確定申告 年末調整の後、配偶者や扶養親族の状況が変更したときは必ず確定申告が必要?

サラリーマン(会社員)の方は、毎年12月頃、配偶者や扶養親族の状況を記載した「給与所得者の扶養親族等(異動)申告書」を会社に提出します。 会社は、これを受けて、扶養控除や配偶者控除を適用して年末調整を行い所得税の納税が終わりますので、サラリーマン(会社員)の方はその他に確定申告をする事情がなければ、確定申告をする必要はありません。

ただし、会社が年末調整をするのは、その年最後の給与を支払うときなので、配偶者や扶養親族の状況は、最後の給与を支払う日の現況で判断されます。これに対して、所得税法では、12月31日時点の現況で判断するので、年末調整が終わった後、12月31日までの間に配偶者や扶養親族の人数が変わった場合には所得税等の額が変わってきます。

例えば、年末調整が終わった後、12月31日までの間に結婚して控除対象となる配偶者を有することとなった場合などがこれにあたります。 そのようなときは、「給与所得者の扶養親族等(異動)申告書」を会社に提出し、年末調整のやり直しをすることができます。 なお、タイミングなどによって年末調整のやり直しができない場合には、本人が確定申告をすることによって、所得税等の還付を受けることができます。

その逆に、扶養親族が結婚したり、お亡くなりになったことにより、控除対象となる扶養親族の数が減ることもあります。このようなときも、同用意「給与所得者の扶養親族等(異動)申告書」を会社に提出し、年末調整のやり直し(徴収不足額の精算)をしてもらってください。このように徴収不足額がでる場合は、翌年1月末日以降であっても、確定申告するのではなく、年末調整のやり直しを行う必要があります。

医療費控除と確定申告 医療費控除の対象となる交通費

医療費控除では、入院や通院するときの電車代やバス代などの交通費も控除の対象となります。交通費は領収証がなくても記録があれば控除の対象とすることができますので、しっかりと記録を残しておきましょう。


(交通費で医療費控除の対象となるもの、ならないもの)



●タクシー代
タクシー代は通常は医療費控除の対象とはなりません。しかし、病状からみて急を要する場合や電車・バスなどの交通機関を利用できない場合には医療費控除の対象となります。高速道路の利用料金が含まれているときはその分も対象となります。

●ガソリン代や駐車場代
ガソリン代や駐車場代は医療費控除の対象とはなりません。医療費控除の対象となる通院費は電車やバスなど人的役務の対価として支出されるものに限定されています。

●付添人の交通費
親が子の通院に付き添うなど、年齢や病状からみて、一人で通院することが危険であるときには、付添人の交通費も医療費控除の対象に含まれます。
ただし、入院している子の世話のために親が通院するような場合は、患者自身が通院していないので、そのときの交通費は医療費控除の対象とはなりません。医療費控除の対象となる医療費は、患者自身が通院するのに必要なものに限定されています。

住宅ローン控除の確定申告 住宅ローン控除の適用を受けている人が転勤することとなるとき

住宅を取得し住宅ローン控除の適用を受けているものの、その後、転勤などにより住めなくなることがあります。 このような場合は、住んでいない期間について住宅ローン控除の適用を受けることはできませんが、手続をしておけば住宅ローン控除の適用期間中に戻ってきて再び居住したときない、残りの期間について住宅ローン控除の再適用を受けることができます

・住宅ローン控除の適用を受けている人が転居するときの手続

住宅ローン控除の再適用を受けるためには、原則として、居住しなくなる日までに、「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を、税務署に提出しておく必要があります。この届出書には、転居予定日、転居先や転居の理由などを記載しますが、勤務先の証明などは特に必要ありません。また、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」で未使用分があるときは併せて提出します。


・再び居住し、住宅ローン控除の再適用を受けるときの手続

再び居住し、住宅ローン控除の再適用を受けるためには、住宅借入金等特別控除の計算に関する明細書、住民票の写し、借入金年末残高等証明書を添付して確定申告をする必要があります。ただし、居住を再開した年に、その家屋を賃貸に出している期間がある場合には、その年の翌年から再適用を受けることとなります。

住宅ローン控除の確定申告 夫婦が共有でマイホームを取得するときの住宅ローン控除

共働きの夫婦などがマイホームを購入するときに、それぞれが住宅ローンを組んで共有名義とすることがあります。このようなケースでは、夫婦それぞれが確定申告をして、住宅ローン控除を適用することができます。

共有名義でマイホームを取得した場合、お互いの共有持分に係る取得費用を上限として計算します。
また、夫婦それぞれの住宅ローンの年末残高をもとに控除できる所得税額を計算します。

例えば、4,000万円の住宅を夫1/4 妻3/4の共有割合で、同額の住宅ローンを組んで取得したときの夫婦の上限は次のように計算します。

夫の上限 4,000万円×1/4=1,000万円
妻の上限 4,000万円×3/4=3,000万円

この上限の範囲で、それぞれの住宅ローンの年末残高等をもとに控除できる金額を計算します。
どちらか一方の単独名義とすると住宅ローン控除の上限額を超えるようなケースでは、共有名義としてそれぞれが住宅ローン控除の適用を受ける方が、所得税においてはメリットが生まれる可能性があるので、活用を検討されるとよいでしょう。ただし、実態に合わない共有割合や住宅ローンの返済となっているときは、贈与の問題が出てきますので注意してください。

住宅ローン控除の確定申告 住宅ローン控除における「特定取得」とは?

住宅ローン控除の適用にあたって、その住宅の取得が「特定取得」に当たるかどうか、で控除できる税額の上限が変わります。

平成26年4月1日から平成31年6月30日までに、通常の住宅に居住したときの控除できる税額の上限は、特定取得に該当する場合は40万円で、特定取得以外のときは20万円となります。 このように特定取得かどうかで、所得税が最大20万円変わるのです。これが控除できる年数続きますので、トータルでは相当税額が変わります。

この特定取得とは、住宅の購入価格などに含まれる消費税が8%(または10%)の税率で計算しているときの住宅の取得等のことをいいます。新築するときの請負工事契約でも構いません。

現行の消費税率は8%だからすべて「特定取得」になるんじゃないか、と考えられるかもしれませんが、そうではありません。中古マンションや中古家屋を、事業を行っていない個人の方から取得した場合など、個人間の売買契約となるときは、消費税等が課税される取引ではないので、購入価格に消費税は含まれていません。そのため、そのような場合には特定取得に当たらず、控除できる上限額は少なくなります。

セルフメディケーション税制 セルフメディケーション税制の「一定の取組」とは?

セルフメディケーション税制の適用を受けるには、適用を受けようとする本人(確定申告をされる方)が「健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」を行っていることが要件とされています。

この「一定の取組」とは次のようなものをいいます。
・健康保険組合や市町村国保などが実施する健康診査(人間ドックや各種健診など)
・市町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象として行われる健康診査)
・定期接種やインフルエンザワクチンなどの予防接種
・勤務先が実施する定期健康診断
・特定健康診査(メタボ健診)または特定保健指導
・市町村が実施するがん検診

これらのすべてを受ける必要はなく、いずれか1つを受けていれば「一定の取組」を行っていることとなります。
ただし、自己負担で任意に受診する健康診査は「一定の取組」には該当されません。そのため、自分で任意に人間ドックや健康診断を受けたとしても、それだけではセルフメディケーション税制を適用することはできません。また、要再検査や要精密検査等と判定されて受けた検査についても対象とはなりません。

譲渡所得と確定申告 株式の譲渡損失の繰越の申告をしていなかったとき

上場株式等を売却して損失がでたときは、確定申告をすることにより、その損失を、翌年以後3年間繰越することができます。つまり、翌年以後3年内に上場株式等を売却して利益がでたときは、まず繰越している損失と相殺してから、残った利益について税金を支払えばよいこととなります。

この上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除を適用するためには、「連続して確定申告書を提出していること」が要件とされています。そのため、上場株式等の売買がなかった年も、譲渡損を翌年へ繰越するための確定申告が必要です。

なお、繰越損失を適用しようとする前年などで確定申告をすることを忘れていたとしても、前年分などについて特例を適用した上で期限後申告をすれば、当年分の確定申告で繰越控除の適用を受けることができます。この場合、前年分などの期限後申告を当年分の確定申告の前に行わなければなりませんので注意してください。
ただし、前年分などについて、繰越損失を記載せずに既に確定申告をしてしまっている場合は、それを後で修正することはできません。そのため、当年で繰越控除を適用することはできないこととなります。

確定申告の基本 確定申告ででた所得税等はどのように支払えばいいですか?

確定申告で、所得税や復興特別所得税(所得税等)の納付が必要となった場合には、期限までに所得税等を納付しなければなりません。所得税等の税金の納付は、次のいずれかの方法で行います。


1.現金で納付する方法


納付書を金融機関、税務署の納税窓口に持参し、現金で納付します。また、バーコード付納付書があるときは、コンビニエンスストアで納税することもできます。


2.ご自身の預貯金口座から振替納税する方法


事前に振替納税の手続(振替依頼書の提出)をしておけば、ご自身の預貯金口座からの振替により税金を納付することができます。毎年、税金が生じる方は振替納税の手続きをしておくと便利です。


3.ダイレクト納付、インターネットバンキング等からの納付


事前にダイレクト納付の手続をしておけば、e-Taxによる簡単な操作で預貯金口座から振替により税金を納付する方法(ダイレクト納付)を利用することができます。ダイレクト納付以外にも、インターネットバンキングを利用しで税金を電子納付する方法もあります。


4.クレジットカードで納付する方法


国税クレジットカードお支払サイトから、クレジットカードで税金を納付することできます。ただし、決済手数料が必要となります。

サラリーマンの確定申告 退職金を受け取ったときで、確定申告により還付されるケース

退職金に関する所得税や復興特別所得税(所得税等)は、通常、源泉徴収のみで完結するため、確定申告をする必要はありません。
しかし、次のようなケースでは確定申告をすることにより、所得税等が還付される可能性があります。


・年の初めに退職した場合など、その年の退職金以外の所得(給与など)が少ない場合


退職所得以外の所得(給与所得など)で各種所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除など)をフルに控除できていない可能性があります。この場合、確定申告をすると、控除できていない所得控除を退職所得から控除することができ、退職金から源泉徴収された所得税が還付されることとなります。

・退職の際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合


一律に20.42%の税率で源泉徴収されているため、源泉徴収された税額よりも確定申告で計算された正規の税額が少ないときは、退職金から源泉徴収された所得税等が還付されることとなります。

・事業所得や不動産所得が赤字の場合


退職所得と事業所得や不動産所得の赤字を損益通算することにより、退職金から源泉徴収された所得税が還付となる可能性があります。なお、事業所得や不動産所得で生じた赤字は、給与所得、配当所得、雑所得などと損益通算し、それでも赤字のときに退職所得などと損益通算します。

サラリーマンの確定申告 退職金を受け取ったときは確定申告が必要ですか?

サラリーマンが受け取った退職金は「退職所得」となります。
この退職所得は、通常は、退職所得単独で所得税を計算します。そのため、他に給与や事業での所得などがあったとしても税額は変わりません。

退職する際に、会社に「退職所得の受給に関する申告書」というものを提出していれば、会社が退職金に係る所得税額を計算し、退職金の支払いの際に源泉徴収しますので、確定申告をする必要はありません。
ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないときは、退職金の20.42%が源泉徴収されます。その場合は、確定申告をして、退職金に関する所得税額を精算することとなります。

退職所得の金額は、次のように計算します。

(退職金-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

ここで算定された退職所得の金額に所得税の税率を掛けて計算されたものが所得税額となります。

退職所得控除額は、
勤続年数が20年以下のときは「40万円×勤続年数」
勤続年数が20年超のときは「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」
となります。

ふるさと納税と確定申告 ふるさと納税ワンストップ特例制度を適用するときの注意点

ふるさと納税をして、所得税や住民税の控除を受けるためには、原則として確定申告をする必要がありますが、本来確定申告をする必要がない方は、ふるさと納税ワンストップ特例制度という制度を利用することにより、確定申告をしなくても税金の控除を受けることができる場合があります。

このふるさと納税ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税した先の地方自治体が5団体以内の場合に、予めふるさと納税した先の地方自治体に申請しておくことで、確定申告をしなくても、税金の控除を受けることができる、というものです。

ただし、例えば、医療費控除や住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるためなど何らかの理由で確定申告をする必要があり、確定申告をする場合は、ふるさと納税ワンストップ特例制度の申請をしていたとしても、自動的に所得税や住民税の税金の控除を受けることはできません。定申告においてふるさと納税に関する寄付金控除の申告をすることが必要ですので注意してください。

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