住宅を取得し住宅ローン控除の適用を受けているものの、その後、転勤などにより住めなくなることがあります。 このような場合は、住んでいない期間について住宅ローン控除の適用を受けることはできませんが、手続をしておけば住宅ローン控除の適用期間中に戻ってきて再び居住したときない、残りの期間について住宅ローン控除の再適用を受けることができます。
住宅ローン控除の再適用を受けるためには、原則として、居住しなくなる日までに、「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を、税務署に提出しておく必要があります。この届出書には、転居予定日、転居先や転居の理由などを記載しますが、勤務先の証明などは特に必要ありません。また、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」で未使用分があるときは併せて提出します。
再び居住し、住宅ローン控除の再適用を受けるためには、住宅借入金等特別控除の計算に関する明細書、住民票の写し、借入金年末残高等証明書を添付して確定申告をする必要があります。ただし、居住を再開した年に、その家屋を賃貸に出している期間がある場合には、その年の翌年から再適用を受けることとなります。
共働きの夫婦などがマイホームを購入するときに、それぞれが住宅ローンを組んで共有名義とすることがあります。このようなケースでは、夫婦それぞれが確定申告をして、住宅ローン控除を適用することができます。
共有名義でマイホームを取得した場合、お互いの共有持分に係る取得費用を上限として計算します。
また、夫婦それぞれの住宅ローンの年末残高をもとに控除できる所得税額を計算します。
例えば、4,000万円の住宅を夫1/4 妻3/4の共有割合で、同額の住宅ローンを組んで取得したときの夫婦の上限は次のように計算します。
夫の上限 4,000万円×1/4=1,000万円
妻の上限 4,000万円×3/4=3,000万円
この上限の範囲で、それぞれの住宅ローンの年末残高等をもとに控除できる金額を計算します。
どちらか一方の単独名義とすると住宅ローン控除の上限額を超えるようなケースでは、共有名義としてそれぞれが住宅ローン控除の適用を受ける方が、所得税においてはメリットが生まれる可能性があるので、活用を検討されるとよいでしょう。ただし、実態に合わない共有割合や住宅ローンの返済となっているときは、贈与の問題が出てきますので注意してください。
住宅ローン控除の適用にあたって、その住宅の取得が「特定取得」に当たるかどうか、で控除できる税額の上限が変わります。
平成26年4月1日から平成31年6月30日までに、通常の住宅に居住したときの控除できる税額の上限は、特定取得に該当する場合は40万円で、特定取得以外のときは20万円となります。 このように特定取得かどうかで、所得税が最大20万円変わるのです。これが控除できる年数続きますので、トータルでは相当税額が変わります。
この特定取得とは、住宅の購入価格などに含まれる消費税が8%(または10%)の税率で計算しているときの住宅の取得等のことをいいます。新築するときの請負工事契約でも構いません。
現行の消費税率は8%だからすべて「特定取得」になるんじゃないか、と考えられるかもしれませんが、そうではありません。中古マンションや中古家屋を、事業を行っていない個人の方から取得した場合など、個人間の売買契約となるときは、消費税等が課税される取引ではないので、購入価格に消費税は含まれていません。そのため、そのような場合には特定取得に当たらず、控除できる上限額は少なくなります。
住宅ローン等を利用してマイホームの新築、購入、増改築等をしたときで、一定の要件を満たすときは、所得税の税額控除を受けることができます(住宅ローン控除)。
この住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)等を初めて適用するときの確定申告を行う際には、従来、添付書類として住民票の写しが必要となっていました。
しかし、マイナンバー制度の導入により、平成28年分の確定申告より、原則として住民票の写しの添付は不要になりました。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
⇒確定申告書の明細書です。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h28/14.pdf
・家屋の登記事項証明書(原本)や請負契約書の写し、売買契約書の写しなどで家屋の取得年月日・床面積・取得価額などがわかるもの
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
⇒金融機関等から交付されます。
(敷地の購入に係るローン等について住宅ローン控除の適用を受けるとき)
・敷地等の登記事項証明書、敷地等の分譲に係る契約書の写しなどで、敷地等の取得年月日・取得価額などがわかるもの
(認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例の適用を受けるとき)
・認定住宅等であることを証明する書類
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を適用している場合で、住宅ローンをより低い金利の住宅ローンに借り換えをすることがあります。借り換えをした場合でも、一定の要件を満たしている場合には、引き続き住宅ローン控除の適用を受けることができます。
次のすべての要件を満たしている場合です。
1.新しい住宅ローン等がもともとの住宅ローン等の返済のためのものであることが明確であること
2.新しい住宅ローン等の返済期間が10年以上であることなど住宅ローン控除の対象となる要件を満たしていること
ただし、住宅ローン控除を受けることができる年数は、住み始めたときから一定期間であり、住宅ローンの借り換えをしたとしても延長されることはありません。
また、借換えした住宅ローン等の残高が借換前の借換時の残高よりも大きいときは、住宅ローン控除できる金額について調整計算が必要となります。
住宅ローン控除の適用初年度は確定申告をすることが必要ですが、適用2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を適用することができます。
年末調整で住宅ローン控除の適用を受けるためには、年末調整の際に、「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」と併せて、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」という書類をお勤め先の会社等の給与の支払者に提出しなければなりません。この書類の提出を受けることにより、給与の支払者は住宅ローン控除できる金額を計算することができます。
この書類を紛失してしまったときには、税務署に対して「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出することで再交付を受けることができます。申請書は、税務署へ持参または送付して提出します。なお、税務署の窓口で代理人が受けとることもできますが、その場合は、委任状を用意する必要があります。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るために所得税について税額が軽減される制度をいいます。
すまい給付金は住宅の取得に対して交付されるもので、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に規定される「住宅の取得等に関して補助金等の交付を受けた場合」に該当します。そのため、すまい給付金の交付を受けた場合で、住宅ローン控除を適用するには、住宅の取得価額から交付されたすまい給付金の金額を控除して、税額控除する金額を計算する必要があります。
なお、特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例、既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除、既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合も同様です。